1979年1月 札幌から正月に福島市へ帰省すると、何年か連続でよく出かけていたのが家 形山へのツアー・スキーだった。正月だと吾妻連峰の東側の山々は、まだ積雪 が少なくて、中腹まではスキーに乗ることができない場合もあった。また、家形 山から稜線を霧ノ平に下降するところが、またスキーでは難物で、この時期は まだ樹林がほとんど出ているし、ブッシュもひどい。それでも、霧ノ平から滑川 温泉、そして峠駅へ、6キロほどの滑走が楽しみなルートだった。 ノートの記録をとっていないため、おおよそのルート概況として紹介する。 ![]() 高湯から、家形山に登り、滑川、峠駅へ下降するルート。 カシミール3D(DAN杉本 作)でルートを入れて描画。 国土地理院数値地図50メートルメッシュ標高を使用。 福島市からは、朝一番の福島駅発のバスが6時20分ごろ出る。高湯温泉に着 くのが7時15分ごろ。標高650メートルほどのこの停留所から、シールを付けて 登高を始める。年によっては雪が少なくて、標高1200メートルの不動沢あたりま で、スキーを担ぐこともある。 不動沢からも夏道に忠実に登っていく。 その先で左に、慶応吾妻山荘へのルートを分ける。雪原で不明瞭。 ビューッ! と西風が吹きつけてきたら、もう五色沼のふちに着いている。 家形山の山頂から、樹氷をぬって、霧ノ平への下降にかかる。滑走はまだでき ず、シールは付けていないと、危ない。途中、かなり急な下りもあり、雪庇も少々、 成長を始めている。一度、踏みぬいて、右下(福島市側)の尾根下へ20メートル ほど落ちて、ブッシュで止まったことがあった。落ちても滑落するような厳しいとこ ろではないものの、登り返すのはつらいところ。この尾根は春にならないと十分な 雪が積もらずに、雪が異常に少ない年の正月は、スキーを脱いで引いて歩く距離 の方がはるかに長いこともあった。 ふたたび雪が飛ばされた場所に出る。小広い鞍部で、ここが霧ノ平。風が強
い。 霧ノ平でシールを外し、滑降に入る。西側へ下れば、標高差200メートル余り で、かならず林道に出る。滑りやすいところを選んで下りればいい。風は急にお さまる。 この日帰りのツアーコースで、一番長い滑走を楽しめるのが、林道に降り立っ てからの、滑川温泉、そして峠駅までの下りだ。温泉から萱峠までは緩い登り返 しだが、萱峠からは痛快な林道滑走が峠駅前まで続いた。 ![]() 山の便り、大地の恵み (野原森夫) http://trace.kinokoyama.net 東北の山 Index へ HomePage TOP へ 記事、写真の無断転載を禁じます Copyright (c) Nohara Morio. since Nov.2000 |