吾妻山 大倉深沢遡行  

1972・6・24、25




大倉深沢F1(これは1972年8月に再訪したときの写真)

 梅雨の中休みの時期の入山で、好天に恵まれた。谷地平小屋はイワナ釣りの人達 でいっぱい。聞くところによると、この季節の週末は、いつもこんな具合だそうだ。

 寒い夜。夜半にライトを点けたら、テントの内面がキラキラと光っている。気温が下 がって、水分が凍りついてしまったよう。朝の撤収にてまどった。テントの外の布バケ ツの水も氷が張っていた。

 谷地平を越して、大倉深沢を渡渉したところに分岐があり、踏み跡を少しすすんだ ところから入渓する。地下足袋、わらじは持っていないので登山靴ですすむ。水にな るべく入らないよう、幾度も石跳びの渡渉をしたり、巻き道をさがしたりしたが、靴の 中が水でじゃぶじゃぶいいだしてからは、かまわず沢水をこいで進んだ。水量は少 ない。



高度4400メートルからのルート。カシミール3D(DAN杉本 作)で描画。
国土地理院数値地図50メートルメッシュ標高を使用。

 1時間半ほどで二股。そこから20分ほどで最初の滝に出る。落差7、8メ−トルく らいか。黒い岩をぬって落ち込む姿は、いままでの地味な遡行に比して新鮮だ。滝 のすぐ左を直登するルートがあり、すぐ上の小さな滝も同じように登ることができる。 その上の滝は、落差12、13メ−トルでナメ状。右岸に針金があり、それを頼りに登 るが、水しぶきを受けながら滝際の階段状の岩を登る方がおもしろい。間をおいて、 4番めの滝は3メ−トル。左岸の足場の悪い短い岩場を登ってやりすごす。すぐに 小さなナメ滝が連続していて、これは左岸の水苔の上を伝う。

 この最後の滝を越えて少し登ると、右岸に道が切られているとろに出た。深沢の 水流がもかなり小さくなったのを見下ろしてこの道を上がる。出たところは、五色沼 へと通じるゆるやかな草原。遡行の最中は、さびしくて歌を歌ったり、声を上げたり して進んできたので、明るいこの草原に飛び出したときには、うれしくてバンザイを してしまった。
(18歳の夏の初めての沢登りの記録)





山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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