五日市のセリ摘み、日の出町のそば屋

2001・3・20


 今日は午後から時間がとれて近場へ出かけました。
 五日市の東部に小さな里山があります。その山の東側斜面 には小広い谷戸があって、小さな沢が幾筋か流れ、田んぼ跡や 湿地が広がっています。
 ぽかぽか陽気にさそわれて、思い立って出かけてみることにしました。

カンゾウの若い芽 近所の女性が摘んだセリを
見せてくれました

 同じあきる野市内ですから、家から車で15分くらい。里山の東側にま わりこむように道を登って行くと、目の前が開けました。
 段々畑のように、田んぼがあります。小さな沢が流れ、湿地や池が見えま す。周囲は雑木林の山に囲まれて、なんだかタイムマシンで数十年前の山 里に入ってしまったよう。4つほどのグループが、思い思いの場所で、野草 摘みに熱中していました。
 私と妻とで、草原や湿地に入ってみました。
 歩きながら、「この場所を誰かに紹介するとしたら、なんていったら、 わかってもらえるだろうか?」と、ふと思いました。うんうん、「黒澤明の、七人の侍 をいま、ロケするとしたら、そこがぴったりなんだ」といったら、想像してもらえるな、 と思い当たりました。まわりの山、流れる小沢、そして湿地、まさにぴったりの 条件です。もちろん、馬で走りまわられたら、せっかくの場所がたいへんな ことになってしまいますが。

 カンゾウの若芽があちこちから生え出しています。まだ太さは足りないもの の、半月もすれば、採りごろになるでしょう。でも、ここは地元でこの自然の 空間の保護の運動も続けられているところですから、カンゾウなどはみんな で摘み取り始めたら、数が減ってしまうかもしれません。あちこち、掘り起こ した後があるのも気になりました。
 でも、セリはすごい。平坦なところの大 部分をしめる湿地の全体がセリに覆われているという感じです。とくに沢の 東側に位置する湿地は、水面全体がびっしりとセリだらけ。
 出会った近所の女性は、袋にいっぱいのセリを手にとって見せてくれまし た。
 私たちもおひたしで一皿分くらい、と片手で握れるくらいのセリを摘み取り ました。毒ゼリがまじらないように、念のため、地中の根を確認しつつ、茎 の部分で摘み取りました。いつも通っている人の話だと、ここのセリはまだ まだこれから大きく育つのだそうです。
 摘んだセリは、沢水で洗いました。沢の中には、オオバタネツケバナか、 クレソンか、まだ生え出した若い株で判断がつかないものもありました。は っきりとクレソンとわかる葉も、沢沿いには多く生えています。

 帰ろうと歩き出したら、田んぼ跡の池にの中に、何かがいっぱいいます。 オタマジャクシです。おびただしい数のオタマジャクシが暖かい陽射しを浴び て、気持ち良さそうにしっぽを動かしていました。
 その池の近くには、「守ってください。ここは私たちのお家です(ト ンボから)」という小さな立て札が立っていました。10年ほど前、JRと都が ここを開発して高級住宅地を造成する計画を出し、いらい、地元では保全 のとりくみがすすめられています。江戸城などの石切り場が残っていたり、 6月には、ホタルが飛び交う場所としても、東京ではなかなか貴重な場所 になっているところです。
 春の盛りに、また来てみたい、静かな場所でした。

沢でセリを洗いました 雙柿庵の辛味大根蕎麦

 帰りは、日の出町に先週、見つけた蕎麦屋に行ってみました。
 つるつる温泉への入り口のちょっと手前、大久野中学校の脇を入って、 この中学校の東側にあたります。かなりわかりにくい場所。それに、店も 普通の民家なので、目の前にいっても蕎麦屋とは気がつきません。

 中に入ると、民家を改造した3つの部屋に、それぞれ木のテーブルが置 かれていました。お品書きを見て、「辛味大根蕎麦」を2つ注文しました。他 には、もり、と、鴨汁蕎麦だけ。
 お酒は店のおすすめのものを置いているようでした。

 まず、辛味大根をおろしたものが、小山に盛られて出てきました。「もの すごく辛いので、少し味見をしてから、召し上がってください」。
 ついで、待ちに待った蕎麦が盛られて登場です。田舎蕎麦風で色は黒 め。でも1ミリもないほど細く断たれています。つやがあります。驚いたの は、蕎麦ざるです。直径17センチくらいで、竹製ですが、これまでに見た ことのないような編み方に仕上げていて、縁もしっかり太く、絞られていま す。
 まず、つゆなしで、ひとくち。
 蕎麦を打つときのあの香りが、しっかりひろがってきます。この季節にこ の香り。久しぶりに、うまい蕎麦に出会いました。私は、2日前に家で蕎麦 を打ったばかりでしたが、この店の蕎麦は、この時期としてはびっくりする ほど香りがあります。ひたむきに打ち込んでいる方なのですね。繊細で、蕎 麦そのものを味わうという趣きでした。石臼で挽いているというだけでなく、 春になっても鮮度を保てるように玄蕎麦の管理もしっかりしている様子でし た。
 辛味大根は、最初は確かに辛くて、少しずつ味わいました。が、慣れてく ると蕎麦との相性もよく、麺にたっぷりからめるようにして、楽しむことがで きました。

 お店の名前は、雙柿庵(双柿庵――そうしあん)。042−597−3802。
 いただいたあと、話をうかがったら、玄蕎麦は今日のものは北海道の幌 加内産のもので「いろいろいい蕎麦をさがしている」とのこと。蕎麦ざるは、 ある美術工芸家の方が試作したもので、この方はいまはヨーロッパにお り、ざるは手に入らない、とのことでした。

 家に帰って、セリは、畑で摘んだナズナ、それに小松菜の菜の花、ブロ ッコリのわき芽の花蕾などと、それぞれおひたしにしました。4皿4種を並 べて、しょうゆ、ゴマ和え、マヨネーズを小皿に用意し、一杯。
 セリは、香りがよく、あの里山の沢水で一冬をすごした味わいがありまし た。ナズナをつまんでゴマ和えで口に入れた長男は、しっかりした歯ごたえ にとまどいながら口を動かして、「縄文人になったみたいだな」と言いまし た。

ナヅナのおひたし セリのおひたし
 

 今日は、庭のギョウジャニンニクの芽を見つけました。ウコギも、例年通 りに、芽吹き始めています。





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野原 森夫
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