うこぎ ご飯





ウコギの若い芽(家の垣根で、2000年4月2日)

 私が生まれ育ったのは、東北の福島市だった。5月になると、毎年の決まりご とのように、母に「うくぎ摘み」を手伝わされた。姉2人に、弟の私。3人それぞれ が小さな竹かごをもって、とげがいっぱいの「うくぎ」の木にとりつく。この樹木は、 垣根の一角に植えつけられていて、高さは2メートルくらい。細い、白い枝を周囲 に何本も伸ばし、その枝から光沢のある、緑色の若芽がいっぱい伸び出してい た。
 「うくぎ」は、小さな、まだ葉が開きかけの芽がやわらかくておいしい。そういう芽 を指先で摘んでいくのは、なかなか手間がかかる。とげにも何度も刺される。小 1時間して、ようやく、小さなカゴがいっぱいになった。
 母と姉たちは、「うくぎ」の若芽の根元にある、堅い木質の部分を、一つ一つて いねいに除く。そして、「そんなに、いっぱい!」というぐらいの量を、釜に入れ て、ご飯を炊きあげた。
「いい香りだ」といって、おしいそうに「うくぎご飯」を食べる母。私は、苦労して摘 んだわりに、あんまりおいしいとは思わないで、このご飯を食べていた。



 それから30年近い時が流れて、いまのあきる野市に家を建てることになったと き、母は「うくぎ」の木を一株、庭に植えるようにいって、帰省した私にもたせてよ こした。庭は狭く、また、「うくぎ」を植え付けた場所は、東側の隣家との境の場所 だったので、日当たりも半日あまりという条件が悪いところだった。
 それでも「うくぎ」は、背丈が1・5メートルほどに伸び、枝も15本ほどが八方に 伸び出した。
 植えつけて、3年目の春。初めて、「うくぎ」を摘んで、ご飯を炊いてみた。このと きには、すでに、「うくぎ」は「うこぎ」であり、ご飯に混ぜ込むと、独特の品のある香 りが楽しめることを、私は聞きかじっていた。図鑑でも調べ済みだった。
 母のやり方とは、ちょっと違って、まず、うこぎの芽をさっと茹で上げ、この湯に いれておいた塩で味を含ませた。水を切って、まないたでざくざくときざみ、炊き あげたご飯に、混ぜ合わせた。
 うこぎの芽の若葉色と、白いご飯。なんてきれいな色合いだろう。香りが懐かし い、ご飯ができあがった。



追記。2000年4月2日。
 庭のウコギを見に出てみたら、もうやわらかそうな新芽がびっしりとついていた。写真 を撮りながら、今夜は、今年初めてのうこぎご飯にしようと思う。ちょうど、日曜日だもの。
 夕ご飯の時間に暗がりのなかでウコギの若芽を摘んだ。暗くて、ウコギの枝に ついているトゲで指を強くひっかれてしまった。トゲだから、痛い。
 下準備。5枚の葉の茎の根元に、 ちょっと固いサヤがあるので、これは除く。湯にさっと数秒つけて、すぐザルにとって、 水を切った。塩を少しふって、炊き上がったご飯と混ぜる。まだ小さな若い芽なので、 そのまま切らないでちょうどいい大きさ。
 二男は、一口ほおばって、「これ、サワヤカ系だね」。私も食べてみた。葉の細い 茎のしゃきしゃきした感じが残っていて、香りのよい一品だった。

 


ウコギ

 五加(ウコギ)。葉が5枚出るから? 夏に小さな白い花が群がるように 咲く。春の若い芽を摘む。ご飯が一般的だが、天ぷら、ひたしも。 蒸して乾かしウコギ茶も。フキ味噌のように和えるのもおいしいとのこと。





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野原 森夫
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