ハナダイコン(ショカツサイ)

1999・5




秋留台の東秋留駅の線路わき。2000年4月2日

 今朝の電車で、新たに、武蔵境駅の手前70メートルの線路左側に、 コゴミの小さな群落が確認できました。先週、金曜日に見つけていたの ですが、今朝、あらためて、まちがいないと確認できました。
 沿線はすでに初夏の風情で、イタドリは茂みのように枝、葉を広げて います。西国分寺駅手前の土手の法面に群生しているワラビも、すっか り葉を広げました。

 コゴミとの関係で、勢力拡張・侵食が心配なのは、菜の花を青紫の花 びらにしたような、ハナダイコンです。国立駅の東側のポイントも、国 分寺駅の手前のポイントも、背丈のあるハナダイコンがコゴミの群生地 に勢力を広げ、陽射しをさえぎって、姿さえ見えないようなところも出 ています。

 土手や、栗林などを埋め尽くしているのを、眺める分には、ハナダイ コンは季節感があって、鮮やかで、いいのですけれど。図鑑で見ると、 ハナダイコンにはショカツサイ(諸葛菜)という名があって、意外なこ とに原産地は中国でした。江戸時代ないし,その後に渡来したとされ、戦 後、急激にふえたとのことです。大陸での生存競争にも負けなかった品 種なんですね。アブラナ科で、菜の花同様、芽はおひたしにできると か。
 4月初めには、ある新聞が、玉川上水の土手に大繁茂している様子 を、季節もので紹介していました。私は、コゴミだけでなく他の固有の 植物がおびやかされるのではと、心配しています。


          1999・5・10   野原森夫




FYAMAPコメントへの返信

 14日は、仕事で丹沢の北山麓に出かけたのですが、道路脇に帰化植物の ハルジョオンが、例年には見られなかったぐらい、たくさん花をつけて群生 していました。いまの時期、車でも電車でも、どこを走っても、ハルジョオ ンの群生に出会います。
 私が管理している80坪ほどの栗林でも、年に2,3回しか草刈できない ので、雑草がたいへん。いまはハルジョオンが密生しています。家の庭で、 雑草除けにピンポン玉大程度の小石を敷いているところにも、ハルジョオン と、それからこれは在来ですがドクダミが、しぶとく根を張って、葉と茎を 伸ばしてきます。あちこちの土手や道路脇でも、もう少し季節がまわると、 今度はヒメジョオン(同じ北アメリカ原産)が、繁茂してきますね。

 在来の野草にくらべて、著しく繁殖力が強い帰化植物の、異常な進出・繁 茂を心配している方は、ほんとうに多いと思います。
感覚的な印象でいうと、その進出・拡大のスピードは、どんどん加速され ているのではないでしょうか。

 1)道路脇や土砂の堆積地など、人工の手が加わった場所で、他の在来植物 にとっては悪条件か、まだ生息していないところに、在来種をしのぐ生活力 とスピードで領域を広げて行く。
 この拡大が、種子の飛散範囲の新たな拡大の条件にもなっている。  2)在来種の生活の場だった野原や山肌は、人工の手が加わって、在来種が 生存競争に打ち勝つ条件は、ますます小さくなっている。
 3)畑や林で、人間が管理しているところでも、草刈でなく除草剤の使用が 普通になっている。また、草刈機で全面を除草しているのも、通常のこと。 これも、在来種にたいして繁殖力が強い帰化植物に有利に働いている。

 その帰化植物が、その繁殖力によってだけでな く、人の手によっても、自然の奥深くにまで進出しているのは、深刻 ですね。

 実は、前にメダカのレポートを読ませていただいたときに思い 出したことがあります。これは、在来種同士のなかでの生態系の変化の問題 もふくみますが、魚の世界のことです。

 私は、渓流釣りや、展望のない沢筋からの山登りも好きなのですけれど も、1980年に初めて、当時はダム工事のための伐採が始まったばかり だった奥利根・楢俣川の上流に入って、驚かされたことがありました。
 沢の上流部はさすがにイワナの世界でした。しかし、楢俣川の、胴元の滝 (湯の小屋温泉)付近からの中流部は、ブナ林の伐採と林道工事の真っ最中 で、沢床が大量の土砂に埋められつつありました。廊下状の深い淵でルアー を投じたら、追ってきた魚は何十匹ものウグイの群れ。

 帰ってから、群馬県が奥利根地域の自然環境調査をしていたことを知り、 その調査で魚について調べた高校の教師の方に、お話を伺う機会がありまし た。その先生の調査では、楢俣川だけでなく、利根川本流も、相当上流の地 域にまでコイ科のウグイが生息域を広げているとのこと。本流で、イワナの 生息地だった淵に真っ黒になるほどウグイが群れているんですよ、と話して くれました。
 原因は、揚水発電とのことでした。水力発電は日中、一番電力を消費する 時間帯に発電して、夜間は原発などで電力は間に合うため、余った電力でポ ンプを動かして下のダムから上のダムへ揚水する。これを毎日繰り返すなか で、繁殖力が強く、ダム湖の環境にも適応できるウグイが、水といっしょに 上流のダムへ持ち上げられていく、とのことでした。

 今は、事態はどこまですすんでいるのでしょう。外来のブラックバスやブ ルーギルなんかも、ダム湖には上がってしまっているのかもしれませんね。 楢俣川には、とんでもない巨大なロックフィルダムが完成して観光地にな り、川はずっと上流部まで湖水に満たされてしまいました。狩小屋沢出合の ブナ林の中の泊り場なども、水中に没しています。

 人の手で,自然に何か手を加えるときには、植物・動物の世界を問わず、 先ざきまで考え抜いた、またそうした調査に裏付けられた慎重な行為とし て、おこなう必要があると感じています。



       1999・5・15   野原森夫




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野原 森夫
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