タラの芽の採り頃 予想式と桜前線

2002年4月





4月13日の収穫です



4月2日(FYAMAP会議室への報告)
 2年前からこのフォーラムの展望の広場や自然の広場で、タラの 芽の採り頃の予測が話題になってきました。

 予測法としては、一つは、中村健さんの「平均気温12°C到達 予想日」の方法があります。これは理科年表の気候データから、創 出した式です。

 12°C到達予想日=4月0日+(北緯−35)×8+標高÷4 0

 ここで、4月0日とは、起点の日で、3月31日と考えていただ ければ、と中村さんは説明してきました。つまり、式の右辺の値 が、ほぼ1となった場合は、4月1日と予想できるということで す。

 もう一つの方法は、私の、「桜の満開とタラの芽の旬の相関法」 です。これは、「ソメイヨシノがそのエリアで満開になると、裏山 あたりのタラの芽は採り頃を迎える」という、きわめてアバウトな 予測方法です。
 中村さんの予想式と異なり、緯度、標高の数値は捨象しているた め、「現場に行って桜を眺めないと、判断できない」というのが難 点。桜の木と、現場(タラの芽自生地域)との距離や標高差は、 「山勘」「経験則」で判断するというところも、もう一つの難点で す。逆に、利点は、年ごとの桜の開花時期(生物季節観測)に合わ せて、その年の早い、遅いを判断できるところでしょうか。満開 は、概ね、開花から5〜7日後ですので、遠隔地の場合でも開花日 から予測をつけることもできます。
 「経験則」としては、たとえば、「中央線国立駅あたりの桜が満 開になると、その10日後に奥多摩駅あたりの桜が満開になり、そ のとき山腹のタラの芽は採り頃を迎えている」という、かなり確か な実績をもつ「法則」も確認されてきています。

 さて、2つの予測方法と、現地フィールドの様子です。今年はど うでしょう。
 桜は、観測史上空前の早咲きでした。タラの芽の目下の実地検分 結果も、史上最速ペースで推移しています。桜の開花から満開まで 日数がかかったのも、今年の特徴です。
 中村さんの予想式は、こういう特別な年だったので、補正値を加 減する必要があります。そこで、とりあえず、観測値だけ紹介しま す。



2002年4月3日、丹沢山麓で

2002年 途中データ(月日)
 東京区部桜の開花    3月16日
 国立駅 満開      3月25日
 秋留台でタラの芽採り頃 3月23日
 丹沢山麓 満開    3月28日
 丹沢山麓 採り頃   3月27日(標高400メートル)

 この推移でいくと、奥多摩の標高600メ−トル当たりでは、4 月4日ごろに、タラの芽は食べごろを迎えると思います。この地域 で、私がもっとも早く、タラの芽採りに行ったのは4月8日で、3 日ほど早すぎたのを覚えています。

 この観測値をもとに、中村さんの予想式のうち、標高部分(標高 が40メートル上がると、1日遅れる)のみ拝借して、奥多摩と丹 沢・道志の2地域の予想日を算出してみます。
 丹沢・道志
 標高400メートル 3月27日(観測起点)
   800メートル 4月 6日
  1200メートル   16日
 奥多摩南部
   600メートル 4月 4日(経験則)
   800        9日
  1200       19日

 さて、当たるかどうか。
 桜の開花日は、毎年、全国各都市で発表されているのが強みなの で、それに満開日までのずれ(5〜7日)を加算し、標高成分を加 算すれば、同様の計算はどこの地域についても可能と思います。  なお、今年の観測地点の、丹沢山麓では、私は初物(30個ほ ど)を定番の天ぷらに揚げて、現地でいただきました。
 標高を上げた地域には、来週には、1年ぶりで訪問できるかもし れません。
 私の畑や、フィールドで観察する限りですが、今年は、ウド、コ ゴミ、アマドコロなど地面から生えだすものが、桜ほど急いでいな いのではと、いまのところ感じています。

 タラの芽もそうですが、今年は5月半ばすぎに時期を迎えるコシ アブラの穴場を近所に見つけたいものです。

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13日に収穫したタラの芽の、一部



4月13日
 今日も、山登りではなくて、タラの芽を追って標高をやや上げた 場所に出かけてきました。といっても、丹沢周辺の1200メート ルばかりのところです。この一帯も、山は芽吹きから新緑へ変わる 過渡期を迎えています。木々は、薄く霞がかかったようなやわらか い緑色。山桜の淡い紅色が日差しに映えて、浮き上がって見えて、 ほんとうに春はいいなあ、と感じます。

 さて、自然の広場♯1768以降のツリーで、今年のように桜の 開花が特別早かった年の、タラの芽の摘みごろの「予測法」につい て、書いてきました。

 基本公式は、中村健さんの「平均気温12℃到達予想日」があり ます。
12℃予想日=4月0日+(北緯−35)×8+標高÷40

 この式の右辺で、緯度部分にかかわる項と、標高部分にかかわる 項は、その年の桜の開花や、平均気温の年較差とはかかわりなし に、応用が効くものと考えています。

 それから、もう一つ、私の体験的な法則で「ソメイヨシノが満開 になると、その裏山あたりのタラの芽は摘みごろを迎える」「国立 駅の桜が満開になると、その10日後に奥多摩の標高600メート ル付近でタラの芽が摘みごろを迎える」という経験則もあります。

 今回は、中村さんの公式から標高部分(標高が40メートル高く なると摘みごろは1日遅れる)を拝借して、また桜の満開日からの 予測も加味し、現地観測をもとに異常にあたたかいこの春の予測を 立ててみました。

3月25日 国立駅の桜満開(観測値)
3月27日 丹沢標高400メートルでタラの芽摘み頃(観測値)
3月28日 丹沢標高400メートルで桜満開(観測値)
4月 4日 奥多摩標高600メートルでタラの芽摘み頃(予測)
4月 6日 丹沢標高800メートルで摘み頃(予測)
4月16日 丹沢標高1200メートルで摘み頃(予測)
4月19日 奥多摩標高1200メートルで摘み頃(予測)

 さて、気の早い私は、今日(13日)、予想より3日ほど早めに 丹沢周辺の1200メートル付近に出かけてきました。

 日当たりのいい場所で、ちょうど、摘み頃でした。45分間ほど やぶを漕ぎ回って、かなり大きなタラの木から、80個ほどのタラ の芽を収穫することができました。木陰に入る当たりでは、まだ少 し日が早く、芽が開いていないものもありました。

 今日も、道具を2つ持っていきました。
 タラの木を傷めないように、長さ2メートルほどの木製の柄の先 に、長さ90センチほどのジュラルミン製のひっかけ棒を取り付け たものを1丁、それとそのジュラルミン製のひっかけ棒のみをもう 1丁、長短2つの道具です(HPに写真あり)。

 なるべくは斜面の上部側から、長いひっかけ棒で引き寄せ、さら に先端に短いひっかけ棒をかけて、2つ同時に引き寄せて(これを 片手で持つ)、空いた手でタラの芽を摘み取ります。

 タラの木は、高さ4、5メートルは普通で、太く、曲げて引き寄 せるるにはかなりの力が必要です。しかもうまく滑らかにカーブさ せないと、木が折れてしまいます。そのため、手強そうなタラの木 の場合は、斜面の様子、木の曲がり具合、曲げる方向の邪魔なブッ シュの様子などを見て、作戦をたてて挑んでいきます。

 大きな木の先端に付く、大きなタラの芽は、片手で折り取ろうと しても、根元が太くて(直径4センチ前後)なかなか折れてくれま せん。その部分には、鋭く長いトゲも集中しています。やぶを漕ぎ つつ、30分も格闘を続けると、汗もかいてしまいます。

 途中で、駕籠がずっしりと重くなり、「もう充分にいい思いをさ せてもらった」という気持ちになりました。見上げるタラの木の先 端に、タラの芽は大きく立派で、緑色に光って空に突き上げていま す。もう眺めるだけにしよう。渓流釣りのときも、きのこ狩りのと きも、そして山菜を探すときも、「もういいかな」というときを迎 えて、それからふーっと気持ちが穏やかになっていく、この瞬間が 私は好きです。

 採集するフィールドを後にして、足場の悪い急斜面をトラバース 気味に下り始めると、やっと周囲に目を配る余裕が出てきます。
 隣の山も、谷の向かいの山々も、春爛漫という色でした。
 久しぶりに、タラの芽大漁!の写真も撮れました。

 今日は、アマドコロの芽、フデリンドウの花、たくさんのワラ ビ、コゴミにも出会いました。(写真は続報)





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野原 森夫