奥利根の森の、山ブドウでジャムづくり

2009年9月末




  

大きめの実がいっぱいついた、山ブドウの房


 その1) 山ブドウを摘む

 奥利根の森にきのこ探索に出かけて、山ブドウを摘んできました。  山ブドウは、この季節、黄色から濃い紅色に染まっていく葉が、遠目にもよく目立ちます。
 実を見つけるのは簡単そうに思えます。しかし、実が付くツルは、10本の山ブドウのツルを 見つけて、やっとに1本くらいしかありません。それに、ある程度、近づかないとブドウが付 いているかどうかも判別できません。やっぱり、きのこや登山など、別の目的を持って山を歩 き、ついでに探すというのが合理的なようです。

  

山ブドウの紅葉

  

採集。崖のそば

  

踏み跡にもどる最中に、何十という数の見事な房をつけた、山ブドウを見つけました。

  

普通の房は、この程度の実の付き具合です。


 もう一つの問題は、せっかく実がなったツルを見つけても、たいていのツルは、見上げるような 高い木の幹を這い上がり、はるか上方でブドウを実らせていることです。木の背丈が2、3メートル 程度のばあいも、崖っぷちに枝を伸ばしていて、近づけないこともあります。
 山ブドウを食べるクマも、視力が足りないと、木の上り下りがたいへんと思います。匂いでも判別できるの かもしれません。実がついたツルであれば、木の枝に座って、周囲からツルをたぐりながら、おやつの のように食べるのでしょうね。
 ドングリやクリは主食で、おやつが山ブドウや、アケビあたりかな。
 ということで、私たちは山歩きのついでに、きのこを探し、そのまたついでに山ブドウを探して、 2日間で3本のうまい具合に実を採集できる木を見つけることができました。
 実を摘むときには、水平に伸びる枝にぶら下がって、足と片手とで体を支え、ブドウの房に手を 伸ばしたり、崖を気にしつつ実をもいだりと、けっこう危なかった。
 でも1本だけ、林道沿いの低い木に鈴なりの実を見つけて、とっても楽に採集できたりもしまし た。

  

熟した粒を頬張ると、とても酸味がありおいしい。ジャム作り用に収穫しました。

 それにしても、これだけのおいしい実をつけてくれる山ブドウは、山の秋のごちそうとしても、なか なか貴重です。山ブドウの種は固くて、結局は皮などのカスといっしょに適当に地面にクマが振りまいてくれる。鳥 やサルも、さらに広範囲に種子を運んでくれる。とても合理的な繁殖作戦と思います。
 山ブドウは、秋口にまず黄色に葉が染まり、続けて赤い色に紅葉します。コシアブラも美しいレ モンイエローに染まって、遠目にもよく目立ちます。
 これも、動物たちを呼び集める目印にもなるなあ、と思ったりしました。

  



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 その2) 山ブドウをジャムにする

  

房から実をはずす。しっかり付いているので、手間がかかります。

  

これを、水なしで鍋にいれて、火にかけます。


  

7、8分煮ると、実が壊れて、種とジュースとが鍋のなかにあふれてきます。

  

きのこ(ハナイグチ)を洗うのに使った、この目の粗い笊で、種を除くために漉しました。


 家に帰って、洗って、水なしでゆでると、エキスが鍋に充満。いい香り。
 冷ましてから、まず粗い目の網で、濾します。皮も漉し除かれて、エキスだけが下の鍋にたまります。
 ついで、濾し取った皮と種を、ふきんで絞り、一番香りとコクのあるエキスを鍋に移します。
 絞ったあとの「皮と種」の形が、ときどき見かける何かに似ている。

 そう、クマの糞そのもの。
 これだったんだ!

  

濾しとった種と皮をふきんで絞り、さらにエキスを鍋に移します。

  

濃いエキスがいっぱい入った山ブドウジャム。


 グラニュー糖を入れて、少し煮詰めて、できあがり。
 すごくいい色。濃厚なジャムです。香りを大事にしたいので、あまり煮詰めないで仕上げました。
 皮をすべて入れようとしましたが、タンニン分が多すぎてしまう。
 やめといてよかった、とこのときは思いました。
 今朝、ヨーグルトでいただきました。香りがいいです。

  

山ブドウのジャムをのせた、アイスクリーム


  



 それにしても山ブドウは極めて酸味が強いので、ジャムにしたときに強いブドウの味と香りがします。
 これまで、私は北海道のハスカップのジャムが一番好きでした。味が濃くて。
 ところが、山ブドウのジャムと食べ比べると、酸味と香り、コクなどの指標で、こっちの方が舌に強く余韻を残しました。
 本物の大自然の味!

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その3) 皮は活かした方が良かった

 山ブドウジャムの作り方で、一つ失敗をしました。
 皮は、煮詰めて、粗目のザルでこしたあと、エキスを絞って種と一緒に除いてしまい ました。
 これは、皮を活かそうにも、種と分別するのが手間がかかりすぎたためでした。

 でも、試しにジャムに少し入れておいた皮が、ねかせているうちにとてもまろやかな、コクを出して きました。
 皮は、全部とはいえないまでも、せめて半分でも使った方が、よりおいしいジャムになりそうです。
 もちろん、煮てから、ふきんで絞っても、皮の香りやエキスはジャムに加わるので、今回のやり方で も失敗ということではありません。しかし、皮は、半分だけでも、皮そのものを使いたかった。

 いったん煮てからだと、種と皮を分けるのはむずかしいです。
 そのため、次の手順で、ジャムを作ります。

 1)最初に、普通のブドウを食べるときのように、皮をはじいて、実と種を取り出します。
 2)次いで、実を煮ます。すると、種は実から出てきます。
 3)そして、煮た実と種を、粗目のザルで分離します。
 4)こうやって得た実とエキスとに、最初にはずしておいた皮を加え、いよいよ砂糖を加えて、煮 込みます。
 5)瓶に詰めて数日ねかせておくうちに、皮は、実やエキスと渾然一体になり、コクのあるジャム に仕上がります。

 皮は、アクっぽいですので、全部入れると砂糖も増やさねばなりません。全体の皮の半分か3分の1 くらい入れると、適量かなと想像します。
 次回は、この段取りでやってみます。

 なお、山ブドウの色と香りは皮にあるので、皮をはずして実だけジャムにしては、持ち味はでませ ん。
 せめて、皮をぎゅっと絞ったエキスだけでも加えないと、ジュースのように軽い味になってしまいます。
 皮そのものを、半分入れるだけでも、味はずっと濃くなります。


 


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     山の便り、大地の恵み (野原森夫)  
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