青山椒(サンショウの若い実)で、ちりめん山椒づくり

2004年6月



 先週末、丹沢で青山椒(サンショウの若い実)を摘みました。 香りを生かすには「ちりめん山椒」が一番、でしょう。
 雌雄異株の山椒は、実は雌株にだけ、つきます。秋には、実が赤くなり、種子を外し てすりおろして粉にします。初夏の時期は、青い実をまるごと、料理に使うことが出来 ます。



青山椒。実には、枝についていたときの、細い柄が付いています。
 


 家に帰って、まず、実についている細い柄を除きます。
 若い実では、生のまま爪でとることができます。
 実の生長が進んだものでは、これを生のまま抜き取ろうとすると、皮がはがれるなど実が壊れます。 下ゆでしてから、道具(はさみ、とげぬきなど)を使って、取ります。
 根気よく除去します。こまかい作業なので100グラム余りの山椒の実 に、2時間近くかかってしまいました。

 次は、下ゆで、アク抜きです。
 若い実では、逆にアクも刺激成分もほとんどないため、煮汁を捨てないで そのまま香りを生かして、そのままを、ちりめん山椒に使います。
 味見で確かめつつ、対応するのが、決め手です。

 一方、生長がすすんだ実の場合は、塩がきつめの熱湯で6,7分ほどゆで、実を鍋から ざるに受け、水にさらします。
 この加減も、実の生長具合に応じて、味見をしながら、適切に。
 今回使った青山椒は、生長がすすんでいました。アク抜きは、ボールに冷水を 張って、実を沈め、冷蔵に一昼夜。
 そろそろかなと、取り出して、1個かじってみたら、舌を刺すような強烈な渋みと独 特の苦味があり、とても食べられる状態ではありません。実が少し、成長しすぎたから か。舌は15分ほど、局所が麻痺したようでした。
 さらに、水を替え、重曹を一つまみの、そのまた3分の1くらいの、ごく微量を加えて、また一 昼夜、冷蔵庫へねかせました。
 もともと局所麻酔にも使われてきた山椒の実です。舌が他人のもののようになるのは、 当然なのでしょう。中華料理の麻婆豆腐の「麻」は山椒の実の辛味のことだそうな。それも、 舌が麻痺するような辛味を「麻」と呼ぶのだそうです。

 実の収穫から、2晩目の夕刻、そろそろいいころあいです。
 まず「ちりめんじゃこ」100 グラムを醤油、酒、みりんで、弱火で煮ました。水を少し加えて。
 次いで、アク抜きした山椒の実を15グラムほどを鍋に入れ、やさしく混ぜながら、煮詰めていき ました。
 その合間に、あく抜き後の実を1個、かじってみました。うーん、こんどは穏やかな香 りです。かじると、あれれ、今度は舌にこない。と、思ったら、種子の中心を、がりん、と かじったところで、今度もまた強烈な山椒の衝撃を受けました。それでも、前回と違う のは、舌を刺すような渋み、苦味がおだやかになり、逆に山椒の粉のような味わいが出 始めていることでした。
 それにしても、この実をかじったら、ごはんのおかずには、きつすぎるのでは、と心配 になりました。煮詰めて、辛味をちりめんじゃこに移せば、和らぐのかもしれません。



 煮詰めて、汁がわずかになったところで、広い皿に移し、縁側からの風にあてて、汁を すべてちりめんじゃこに、吸わせました。実は、少し醤油に染まりだしましたが、まだ 若い青山椒の色です。
 しっとり感が残った状態で、水気をほどよく飛ばし、一晩、冷蔵庫へ。

 さあ、ようやく、味見です。
 青山椒は、すっかり汁に染まりました。ご飯にかけて、一口。奥歯で実もとろともかみ 締めると、口いっぱいに、山椒の香りがひろがり、それがずっとずっと長く口中に残り ました。渋みは消える一方で、苦味はこの香りに転化したのでしょう。ごはんと口の一 帯が、ちりめん山椒のうまみと香りの渦中にあるという具合。



 初夏の味わいを大事に食べていきたい。アク抜きをすませた青山椒の半分 は、冷凍庫に保存し、次の出番を待っています。





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野原 森夫