実山椒、晩夏に熟す。粉山椒づくり

2004年8〜9月




8月末から9月上旬の山は、まだ緑色。
そのなかで山椒の実は、こんなふうに一足早く、色づきます。(9月5日撮影)




同じ木を、一週間後に撮影(9月12日、今度は晴天)


 8月末の朝、中央線の通勤電車で立川駅から新宿駅方面に向かっていたら、線路脇の 庭先に赤く染まりだした実山椒を見つけました。私は、車窓から野草や花の姿を通勤時 の楽しみにしてきましたが、山椒を見つけたのはこれが初めてでした。実山椒が、秋を 知らせる赤い色に、染まりだしたので、車窓からも目印になったためでした。

 「今ならば、山で実山椒を見つけるのも、具合がいいかもしれない」。
 秋の紅葉が始まれば、真っ赤な実山椒も、紅葉の色に埋もれてしまいます。樹木がま だ緑色のこの時期ならば、夏の終わりに一足早く染まり始めた実山椒は、よい目印にな るでしょう。

 9月5日、奥多摩に探索に出かけました。最高気温がようやく30度を切り始めた時 期で、蒸し暑い。萩の花が見ごろで、山桜の枝先の葉が少しずつ、黄色に変わりだして いたけれど、山はまだ緑色。
 ツリフネソウや、キンミズヒキなどを見つけ、大風で落果したミズナラ、コナラのド ングリを拾いつつ、赤い実山椒を探しました。実がつかない雄木は、ときどき目につく のですが、目立つはずの雌の木は、意外に見つからないものです。

 林道の傍らに、背丈20センチほどの山椒の幼木が、いっぱい伸びだしている場所が ありました。「もしかして、上から種が落ちてきたのでは?」と見上げると、大人の腕 ほどの太い枝が頭上2メートルほどの高さに、目に留まりました。山椒の木です。その 真下に、私はいたのです。



9月5日撮影



9月5日撮影



9月12日撮影



9月12日撮影

 背丈が6メートルはある大きな木です。視線をその枝先に移すと、小さな赤い実が見 えました。体を木の外に移動させて、高さが1・8メートルほどのところまで垂れ下が った枝先を、今度は外側から見ました。いやあ、可愛らしいものです。体の半分とか、 3分の1ほどを赤く染め始めた実山椒が、鈴なりです。外側から、この木を眺めると、 実山椒の赤い色が山椒の緑色の葉のなかから浮き出て、美しく、鮮やかな眺めになって いました。染まりかけた赤色は、どくとくの色合いです。
 離れて見れば、この時期は、やっぱりよく目に留まります。

 その後、もう1本、今度は背丈が3メートルほどの実山椒の木も見つかりました。
 これから日をおかずに真っ赤に染まる実山椒は、さらに黒く色が変わります。その実 がはじけて、中の種子が顔をのぞかせます。
 そのころの山椒の木の様子を、また写しに来たいものです。

 赤く染まりかけて、全体はまだ薄緑色の実山椒は、すごく香りがいい。その香りを ちょっと試そうと、40粒ほどを見つけた木からいただいてきました。



 家に帰って、出窓の際に一日おいたら、すぐに乾燥がすすんで、黒い種がもうはじけ だしてきました。この皮肉の部分だけをもう少し乾燥させて、小さなすり鉢で粉にしようと 思います。


 9月26日 ハタケシメジと鶏肉の山椒実の佃煮風

 赤く熟した山椒の実は、種がはじけて飛び出して、乾燥がすすむと、皮ばかりになります。



種がはじけて出てきた山椒の実

 種をのぞき、この皮だけのような実を、すりばちで粉にして、ウナギの蒲焼に使ってみました。
 たっぷりと、かけて。
 色は、ふつうの山椒の粉のように、くすんだ緑色ではありません。
 くすんだ、赤茶色。
 すばらしい香りでした。舌が少し麻痺するほどの存在感。やみつきになりそうでした。

 

ハタケシメジ(栽培物)

 次に、乾かした実をとりだして、写真のハタケシメジ(市販)と、鶏肉の細切れといっしょに、 お酒と醤油で、弱火でゆっくり煮込みました。



ハタケシメジと鶏肉の山椒実の佃煮風

 山椒の実は、水分を吸ってふくれ、また丸い形にもどりました。
 これもご飯に、お酒に合いました。





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野原 森夫