![]() 「すみません。そちらの駅の広場の桜は、
もう咲いたでしょうか」 例年より二週間も早いだけに、駅からの山 道の登りは心配でした。はたして、標高六五 〇メートルほどのめざす一帯に到着すると、タラの 芽は堅いつぼみを開き、やわらかそうな淡い 緑色の芽を伸ばし始めて、私たちを迎えてく れました。 タラの木はとげにおおわれ、ほとんど枝分 かれをせずに直立しているので、よく目だち ます。山道や林道を歩くときなど、タラの木 が目につく地域をふだんからさがしておくと 、春本番のときに目的地が定まり助かります 。タラは伐採跡の荒れ地などに群生しやすい ので、こういう場所を見つけておくのも収穫 量をふやすこつ。 もう一つは、装備です。毎年、六〇センチ程度
ずつ幹を伸ばすタラは、数年で背丈が三、四
メートルを超すほどに成長します。幹の根元の太さ
は五、六センチほどにも。こんなタラには大きく
ておいしい芽が出ます。でも、とげと高さに
はばまれて、手も足も出ません。 タラは一度摘まれても「二番芽」を出すの で、大事にすれば毎年、同じ地域で楽しむこ とができます。標高が高くなると芽が出る時 期も遅くなり、関東近県では五月半ばごろま で楽しめます。 三年前の七月、北海道・日高山脈に登った とき、林道脇に幹から二、三〇センチほども伸び てしまったタラの芽がいっぱい目につきまし た。その芽のやわらかい先端、五、六センチほど を摘んで歩き、泊まり場に着いてから油で炒 め、しょうゆをたらして、香りの良いつまみ をつくりました。タラや山ウド(次回に紹介 )は、時期が過ぎてもこんな楽しみ方があり ます。 (1990年4月17日) |