フキノトウの秘伝の味噌汁

 釣りには、一匹も釣れな い「ボウズ」ということば がありますが、山菜採りに は、まず、この心配はあり ません。野山ならどこにで も生えているフキがあるか らです。
 山で泊まって、味噌汁の 具が足りないときなど、フ キの葉の茎(葉柄)を二、 三本とってきて鍋の上でそ ぎ切りにすると、ひと味違 う味噌汁となります。

 秋田県にすむ友人を訪ね たとき、「ちょっと季節は ずれだけど」といって、香 りがすばらしく良い味噌汁 を出してもらったことがあ りました。早春に芽吹くフ キノトウを生のまま冷凍庫 に保存しておいて、一個ず つ取り出しては、花のまわ りの小さな葉をむしってみ そ汁の鍋にパラパラと振り かけるのです。

 五月にはいってしまうと 、芽吹いたばかりのフキノ トウは山地でもないかぎり なかなか手にはいりません 。でも、花の茎が二〇センチほ どに伸びてしまったもので も、同じ手は使えますので 、試してみてはどうでしょ う。

 これより少し手間がかか りますが、ごはんやつまみ にいいのが、きゃらぶきと 佃煮です。
 葉柄を使うときは、おと なの指くらいの太さに成長 した葉の柄をとってくると 、たくさんつくれるし、煮 物にも使えます。でも、こ ういう太い葉柄は、@まな 板の上で塩をすりつけなが ら手でころがす、A軽くゆ でる、B水にさらす、C皮 をむく、とアク抜きと下ご しらえに手間がかかります 。
 そこで私は、せいぜい鉛 筆程度の太さの葉柄をとっ てきます。フキの葉はこの 程度の大きさのものがもと もと多いし、春ならなおさ らなので、採取にも苦労し ません。アクが少ないフキ は水辺に近いところにあり ます。やわらかいので、下 ごしらえは、一度、軽くゆ でて水にくぐらせるだけ。 あとは、しょう油、みりん 、砂糖、ごま油少々で味付 けして、煮汁がなくなるま で煮込みます。
 葉も佃煮にできます。大 きさは手のひらくらいまで のものを。柄よりアクがあ るので、水にさらす時間を 長くします。水にさらした 葉を油で炒め、しょう油、 みりんで味付けして、ごま を振りかけるのも一法。

 葉柄と同じ方法で、二〇 センチほどに伸びた花の茎を使 うこともできます。先端の 花の部分は苦いので、除く こと。好みで入れる場合も 、少しだけにした方が食べ やすいものです。

 苦い花を除くと食べやす いのは、フキノトウの天ぷ らの場合も同じです。天ぷ らには、子どもの手のひら 大の葉も使えます。いずれ も、油の温度をやや高めに して、短時間でカラッと揚 げます。

(1990年4月25日)





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野原 森夫
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