ナズナ(ペンペン草)を草花丘陵で愛でる

2000年3月26日



 農業関係の知り合いからメールをもらった。福島では、冬の時期に、ナズナ のロゼットを雪をかきわけて掘りだし、天ぷらやひたしで食べるのだという。
 いままでは、ナズナというと、食べる野草のなかでも、あまり気がすすまない ものの中にいれてきたが、この話を聞いて、試してみることにした。
 どうして、気がすすまなかったかというと、ナズナ、つまりペンペン草は、路 傍の雑草という印象が強かったから。子どものころ、川や畑で遊んで、おしっ こがしたくなると、ペンペン草は格好の標的だった。おしっこのしぶきに体を 揺らす、おもしろい格好の白い花……。
 野草に興味を持ち始めて、図鑑を見るようになって、ナズナ=ペンペン草と いうことを初めて、しっかり確認した。花が終わったあとの実が、三角形で三 味線のバチに似ているから、ペンペン草という名前になったそうな。実は、細 い細い軸の先に付いていて、花茎を指でしごくいて、耳のそばで振ると「チカ チカ・…」と音がする。そんな遊びをした野草だった。

 3月26日の日曜日。午前中は畑でウネ作りやキヌサヤエンドウのフレーム 立ての作業をした。ナズナは畑でも形がいいものが見つかった。もう、花茎を 長く伸ばして、白い花をつけている。驚いたのは根の長さ。細い主根が50セ ンチほども地中に伸びていた。

 昼ご飯の後、秋留台とは平井川をはさんですぐ近くにある草花丘陵へ、妻と 野草摘みに出かけた。平井川のほとりに車を止める。梅の花が散りはじめて いる。田んぼを桃色に染めているのは、ホトケノザの群落。あぜ道や梅林の 中には、ノビルが細い葉をいっぱい茂らせている。
 丘陵の上へ、雑木林のなかの道を登っていくと、そこには林に囲まれた傾斜 のある畑が広がっていた。ちょっと太めで食べごろのカンゾウの芽が生え出し ている。そして、今日の目当てのナズナの群落が、道端の畑のきわに見つか った。ここのナズナも、もうみんな花を盛りにつけていた。

 夕食に、ナズナのゴマ和え、カンゾウの酢味噌和え、それから私の畑の栗林 に自生しているアサツキの酢味噌和えをつくった。ナズナは、湯に入れると鮮 やかな緑色に染まった。息子たちは、「またお父さんが、変なものを食卓に出 してきた」という風でに構えていたが、少しずつ箸を出してきた。
 花茎もいっしょに入れたので、細かい毛の舌ざわりが残ったけれど、くせが ないさわやかな味わいだった。意外にうまかったのは根で、繊維は多かったけ れども、塩ゆでのまま何もつけないで口に入れて、かんでみると、ほのかな甘 味のある味わいがずっと楽しめた。





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野原 森夫
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