八ヶ岳山麓のコシアブラ

2002年5月4日


 5月3日、八ヶ岳の赤岳に登り、今朝(4日)、八ヶ岳の山麓でコシアブラを たくさん摘んできました。



 3日は、赤岳から美濃戸口に下山。茅野市にある、私の職場の宿 泊施設に泊りました。
 夜、そこの管理人のKさんに、「美濃戸からの往復でコシアブラ を捜したけれど、タラの芽が採られているのを見ただけで、コシア ブラは見当たらなかった」と話したところ……。Kさんは、「この あいだ、エンジン刈り払い機でヤブの中、いろんな木をずいぶん倒 したけれど、そのなかにコシアブラがあったかもしれない」という のです。ここへきてまだ2年のKさんですが、近所の農家のMさん から、コシアブラのうまさは聞いていて、細い灰色の木であること も知っていました。
 そのヤブは、Kさんが管理している場所にあり、宿泊施設から3 00メートルほどしか離れていません。広さは800坪ほど。

 翌朝、6時の起きて、さっそくヨメさんと2人で探索に行ってみ ました。


 途中、Mさん所有のカラマツ林にも、川に沿ってよさそうな雑木 林があり、エンレイソウを見つけたりして、時間を食いました。



 はたして、800坪の現場へ行くと…。
 そこは、やはりカラマツの疎林で、半分ほどの面積は下生えが刈 り払われていました。タラの木は、あちこちに切り残されていま す。けれど、コシアブラはなかなか見つからない。ヤブのまま手が ついていない半分は、野バラ混じりのひどい密林状態で、捜索はな かなかはかどりません。1度、周囲を回って、また刈り払いした場 所に出たところで、無残にも折られているコシアブラの木を見つけ ました。折られていたのは2本のうち1本で、高さは5メートルほ ど。昨日か、一昨日のことらしい。取り残しの芽がまだ元気です。 すぐそばに車道があり、いろんな会社の保養施設が並んでいるた め、目につきやすかったのかもしれません。



コシアブラの木を、フックでひきよせ、ゆるやかに曲げて写した写真。
水平方向が上下になっています。

 さらに目配りすると、少し離れたカラマツのそばに、もう1本、 コシアブラが見つかりました。これも、タラの木のようにまっす ぐ、高く、かなり上部まで枝なしでひょろひょろに育った木です。 日差しを得がたい林の中だからでしょうか。新潟や東北の山で出会 う、枝分かれをして、葉をいっぱい繁らせたコシアブラとはずいぶ ん違う姿です。枝が少ない分、1本の木から生え出す芽も少ない。
 折られたコシアブラは、枝先がまだ元気そうなので、挿し木をす るために数本、持ち帰りました。

 朝食後、ふたたび、800坪の現場の、こんどはヤブの中へ。
 ありました。細く、ひょろひょろに伸びたコシアブラの幼木が、 ある場所にほぼまとまって20本ほど見つかりました。中には、直 径8センチほどの根元をもつコシアブラが、横倒しにされ、その幹 から真上に枝が伸びて、芽が出ているものもありました。食べ頃の 芽を摘み、そのあとでコシアブラの木によく光が当たるように、周 囲のヤブを除いて進みました。Kさんが刈り払いしたコシアブラも 何本かみつかり、手遅れかもしれませんが、その場に挿し木をして みました。ここに生き残った2本の幼木は、根元からていねいに手 で掘りだし、1本は宿泊施設の庭へ、もう1本、わずか30センチ の背丈のものは、私がいただいて、うちの栗林の木漏れ日の条件の ところに、植え付けることにしました。



 タラの芽もたくさん摘んで、宿泊施設のKさんのもとへ。居合せ たなかには、地元の女性もいて、「ここらでも、好きな人は目当て の場所をもって、とりに行っているんだよ」と話してくれました。
 私は、今後のヤブの刈り払いで、残ったコシアブラが全滅しないように、 目印のテープを付けておきました。Kさんは、「ヤブを払ってしまうと、 また人が入ってしまうので、刈り払いはやめておこう」と話していました。
 この一帯は、私有地が多いので、採集は制約がありますが、道路沿い の手ごろなヤブや林は、このあたりではいい場所になると思いま す。



 今季初物のコシアブラ。私の場合は、2年前の5月末の苗場山い らいです。
 今度も、美濃戸山荘そばの小屋では、小さな1袋を500円で 売っていました。そういうものに手を出さず、探索して出会って、 写真をいっぱい撮って、手にしただけに、うれしさひとしお、で す。Kさんらと、私の家の分と、2つに分けて持ち帰り、さきほど 天ぷらでいただきました。

 同じ生育条件では、タラの芽よりコシアブラの方が、2、3日、 生育が遅れることもわかりました。標高は1100メートル。ヤブ のすぐそばで、すばらしく大きな木の山桜が満開でした。




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     山の便り、大地の恵み (野原森夫)  
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