空木岳――紅葉とキノコを満喫、雨でも楽し

2004年9月19〜20日、3人パーティー(カミさん、長男と)




紅葉をむかえた空木平の避難小屋

 9月19日、20日と1泊2日で中央アルプスの空木岳(2864メートル) に登ってきました。
 19日は、駒ヶ根市側(萱ノ台登山口)から林道を車で上がって、標高13 70メートルの林道終点から、空木平の空木岳避難小屋(標高2550メート ル)に入りました。
翌20日は、避難小屋から空木岳に登り、往路を下降して、林道終点にもどり ました。

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19日

東京・西端の自宅(2時56分発)車→駒ヶ根・萱ノ台登山口1370 メートル林道終点(5時55分着、6時27分発)
→タカウチ場→池山登山道→池山小屋(7時55分着、8時27分発、 良い水場)→大地獄(9時45分通過)→迷い尾根の上(10時15分 通過)→避難小屋分岐点(11時15分通過)→空木平(11時32分 着)避難小屋に泊まる

20日

空木平(5時12分発)→駒峰ヒュッテ(6時18分着、空木岳山頂往 復、6時52分発)→駒石の尾根を下降→避難小屋分岐(7時02分) →池山小屋の水場(10時18分着、20分発)→池山山頂→林道終点(11時26分着)
車→駒ヶ根で温泉に入り、夕方、帰京。

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9月19日

 池山尾根の登山道は、林道を使うと標高1370メートル余りの地点ま で到達できます。林道の基点は、木曽駒ロープウェイへの登り口の萱ノ台 です。
 私はこのロープウェイに乗ったことがありません。萱ノ台には、1度、ス キーに来たことがあるだけ。そのため、林道をうまく見つけられるかどう か、心配でした。
 そこで念のために、家でハンディGPSに林道の取り付きや道の分岐点を記 録しておきました。これに助けられて、分岐の要所要所で位置を確認しつつ、 古城公園へ登る林道に取り付けました。
 林道終点には15台ほど停車可能。到着したときに、うまく1台分空いた場所があり、 停めることができました。

  6時27分、林道終点発。歩き出してすぐに、小雨が降りだしました。天気 予報では、今日は寒冷前線が抜けて、夜には移動性高気圧におおわれて天気は 好転するはずです。小降りの雨に雨具も着けず、登りにかかりました。コナラ にミズナラや赤松が混じる、気持ちのいい森の道です。
 3キロほど先の池山小屋までは、駒ヶ根市が整備した遊歩道が続きます。作 業車が上がるためでしょう。傾斜がものすごく緩く、だらだらした道です。「鷹 うち場」の先で右に「池山へ 急傾斜」とある道標を見て、たまらずそちらへ 登り出してしまいました。

  後で地図で見たら、これは失敗でした。私たちが登りだした池山は、標高が 1770メートル。池山小屋へはその先で急降下しなければなりません。一方、 遊歩道は、鞍部にある小屋へ、余分な上下がなくつながっていたのでした。
 おまけに、池山山頂への道は笹がかぶさり、枝も行く手をふさぎます。雨も強くなってき て、上下とも雨具を着用。都合、30分ぐらいはタイムロスをしてしまいまし た。

  でも、足元を見ると、秋の始まりを告げるハナイグチが伸びだしています。見 上げれば、それぞれの時期に植林されたカラ松の、明るい森です。道の両脇にはキノコが ずいぶん生え出しています。「帰りもこの道を通ろう」などと話して、池山小屋 にたどり着きました。

 池山小屋は、登山道から80メートルほど離れた、尾根の鞍部に建てられて いました。
 その分岐点には、水場と道標があります。小屋の床も板壁も新しく、30人は泊まる ことができそう。夕べ泊まった人たちのザックが10個ほどデポされています。この長 い尾根をピストンする人が多いのでしょう。



池山小屋そばの水場。2ヶ所あります。これは 帰りの写真。

 行動食をとって、8時27分、池山小屋発。
 カラ松の森は、いったん、コナラなどの広葉樹の森に変わり、すぐにシラビソやツガの 自然の林に移り変わりました。足元には北八ツの森のように苔むした一帯も目に入りま す。森の樹種のこの変化は急激で、池山小屋は、人工林と天然林の境界に位置する場所 になっています。
 今度はショウゲンジやアブラシメジ、それにナラタケなどのキノコが目立ち始めまし た。登りながら、明日、天気がすごく良ければ、檜尾山あたりまで縦走したいと話し あってきたのですが、帰り道に池山尾根をもどるのも、楽しめそうです。

 大地獄、小地獄、迷い尾根などの地点を越えて、快調に高度を上げていきま した。道はよく整備されていて、問題になる場所はまったくありません。狭い尾根が あったり、岩場のへつりで交互通行の架橋箇所などがあるために、下山してくる登 山者との間の取り方が、大事なところです。



空木平の避難小屋への分岐点で(20日)

 11時15分、分岐点で、駒岩方面への尾根道から左へ折れて、避難小屋がある 空木平へ向かいました。そこはカールになりかけのまま、侵食が中断したような地形 の場所でした。
 その空木平の一角に入り込んだ瞬間、「うわあ、すごい!」「おお、いいなあ」と声を上 げてしまいました。それまでの色彩が一変。周囲は、みな秋の色に染まっていました。 ナナカマド(ウラジロナナカマド)、ダケカンバの赤と黄が抜きん出ていて、そこに草 紅葉が加わります。白い花崗岩が原色の色彩を強調しています。
 2筋が流れる沢の間にカールモレーンのような高台があり、空木岳避難小屋が 建っていました。
 小屋は新しく、中へ入ると床も壁もピカピカ。「いい小屋だね」とすっかり気に入って、 ザックをおろしました。シュラフを広げて、昼寝。のんびりお天気待ちです。



19日夕、霧が晴れて、空木岳が姿を現しました(空木平から)

 夕方4時を過ぎて、ガスが晴れ上がりました。空木岳が、姿を現しました。明るい 夕刻の空に、2筋、飛行雲が伸びていきます。絵のような光景とは、このことでしょう。  南アルプスも見えています。鋸岳、甲斐駒、仙丈ガ岳、北岳、間ノ岳。北岳が、間ノ 岳と対でなければ見分けられないぐらい、輪郭が丸みを帯びて、見えました。
 この夜の泊まり客は、山頂の駒峰ヒュッテが数名、30数人の団体が雨でキャンセ ルだったとか。空木平の避難小屋は、7人パーティーが2つ到着して、18人でした。


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9月20日

 日の出前の、午前5時すぎに、小屋を出発。2600メートル当たりから上では、ガス の中に入りました。風が出るようなら、この霧は晴れるのですが、どんよりした天候で す。


空木平から、山頂への登り(19日早朝)

 駒峰ヒュッテに6時18分着。空木岳山頂は、200メートルほど先です。

 山頂も、霧の中でした。去年、南駒ヶ岳から眺めた空木岳が大きく、立派だった ので、ぜひ今度はと登ったのですが、その南駒ヶ岳を空木岳から眺め返すこと は、かないませんでした。視界はなく、わずか20メートルほどの範囲のあちこちに 花崗岩の大岩が寄り集まっているのが、見えるだけでした。高度感さえありませ ん。これが、南駒から眺めたあの雄大な空木岳の岩の頂なのかと、実感がつかめ ず、不思議な気持ちでした。



2003年夏の空木岳。西面はこんなに険しい(南駒の南尾根の下降で)

 空木岳は、西面は荒々しい花崗岩の断崖ですが、伊那側の空木平から上部では割 と穏やかな斜面になっていて、岩場よりも灌木や草付きの斜面が伸びているように 感じました。限られた視界のなかでの対比です。空木平からの登りでも、濃い赤色 に色づいたチングルマの群落が見られました。




チングルマの紅葉



山頂下で、ウラシマツツジか?


 駒峰ヒュッテにもどって、6時52分、下山開始。
 今度は、池山尾根を忠実に下降します。途中の駒石は、人家というよりもビルに例 えたいほどの大きさで、その巨岩が尾根上にどんとのっています。まさに奇観でした。





コケモモの実。下は熟したもの

 この池山尾根の上部では、ちょっとだけ、秋の木の実を味わいました。赤いコケ モモ、濃い紫に熟したスノキ(アオジクスノキ、オオバスノキ)、ナナカマドの赤い 実、シラタマノキなどです。スノキは、鳥にかなり食べられた跡のようで、実がわずか しか残っていません。「鳥はいいなあ。こんないろいろな実を楽しんで食べて、 ここで生きていけるんだから」とカミさん。木の実では、楽しみにしてきたガンコウラン の実がまったく見つかりませんでした。どこかに穴場があるのでしょう。10月の常念岳 では、食べ放題だったので、まだ少し、早いにしても、姿が見当たりません。




シラタマノキ



アオジクスノキか、オオバスノキ(酢の木)の実

 尾根が狭まり、やせ尾根が始まると、今度は楽しみのキノコ探索です。
 ショウゲンジとナラタケが真っ盛りで、大地獄あたりでは、南側の急な斜面や支尾根に、 群生している場所がありました。しょっちゅう、登山道を離れて、撮影と採集です。よそ 見ばかりして歩いたので、30度余りの急斜面の上で一度、つまづき、体が斜面に放 り出されて、四つんばいで着地。ひやっとさせられました。




ナラタケ。大地獄付近



ショウゲンジ。大地獄付近



ハナイグチ。1700メートル付近

 池山小屋の水場に、10時18分着。足裏が痛いカミさんと長男は、遊歩道で下 降。私は、ハナイグチを求めて、また池山に登りにかかりました。
 紅葉とキノコと木の実の写真を沢山、写すことができたので、満足できました。家に 帰ってから、シラビソの樹林でたくさんとってきたショウゲンジやナラタケを入れて、 豚肉とキムチのチゲ(鍋)を食べました。ショウゲンジは、すき焼きもいいけど、汁 をよく吸うので、キムチ鍋も合いました。




ショウゲンジを入れた、キムチ・チゲ(鍋)。
左の青い器のなかは、ハナイグチの大根おろし和え


 




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野原 森夫