スノーシューで「遠望回廊」を見下ろす入笠山へ

2002年12月29日
 2人パーティー




山頂の下で風をよけて食事。富士山方向は、快晴

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東京・西端の自宅(6時30分)車→中央道・八王子インター→ 途中、朝食→諏訪南インター→富士見パノラマスキー場・駐車場 (9時40分着、10時30分発)ゴンドラ→山頂駅(標高17 70メートル、10時40分着、同45分発)→入笠湿原→山彦 荘→御所平峠・マナスル山荘前→入笠山頂(11時48分着、昼 食、12時20分発)→同じコースで下山→ゴンドラ山頂駅(1 2時57分)ゴンドラ→山麓駅(13時10分ごろ)→駐車場 (13時25分ごろ発)車→中央道・長野道経由で松本市内へ (泊)

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 暮れの山行きは、一昨年は根子岳のスキー山行、去年は北横岳 でした。今年も、眺めのいい山に行こうと12月29日に鉢伏山 にスノーシューで登り、その日は松本市に泊る計画を立てていま した。
 ところが、28日の予報では、29日は寒気団が南下し冬型が 強まるとのこと。長野県も中部は雪の予報だったので、ずっと短 時間で山頂に立てて、視界も確保されそうな入笠山に目標を変更 して、出発しました。

 中央道で山梨県内に入ると、案の定、八ヶ岳はふもとまで雪雲 に覆われています。諏訪湖以西の山々も、みな、灰色の雲の中。 でも、南アの稜線筋にある入笠山は、山頂方面にときどき薄い雲 がかかる程度です。中腹の富士見パノラマスキー場の駐車場で は、小雪がぱらついてきましたが、八ヶ岳や北ア方面は無理で も、山頂南側の眺めは、少し期待がもてそうです。

 ここのゴンドラリフトのことは、「超展望の山々」(2002 年4月刊、杉本智彦著)で知りました。標高1770メートルほ どの山頂駅まで一気に上がってしまうのです。山頂までは200 メートル弱の標高差。45分ほどで山頂に立てる、と紹介してい ました。
 雪の状態によっては、さすがにこうはいかないこともあります が、「超
楽ちん」な冬の山歩きであることはまちがいありませ ん。  私と妻も、スキーヤーの群れに混入して、このゴンドラに相乗 りして、山頂駅へと向かいました。スノーハイカー向けに往復券 があり、片道1200円のところ往復で1800円です。

この日のGPSトラックログ。
25000地形図にゴンドラ駅と冬ルートが
記載されていないため、地形図にトラックログをとりこみ
表示しました。
国土地理院25000地形図を
山旅倶楽部からダウンロード。
カシミール3DでGPSデータとともに表示
ゴンドラからふもと方向と八ヶ岳方面を見下ろす。
下降時に撮影

 山頂駅は、入笠山の北東約1.2キロの1799メートルの丸 型のピークにあります。駅から入笠山頂は南西方向にあるのに、 雪面の踏み跡は、いったん1799メートルのこのピークを北側 から西へとまいてすすむため、地図とGPSで現在地確認をしなが ら、歩き出しでまごつきました。
 25000分の1地形図(私は「山旅倶楽部」のを使用)に は、ゴンドラのルートや山頂駅は記載がなく、GPSは出発時から 活躍しました。(が、出発前にGPS測地系設定を「東京」から 「世界測地系」へ変更し、行きは試しにそのまま登ったため、 「東京」で作図した地図の10秒メッシュのラインとGPSの指示 値がマッチせず、何度も頭の中と図上で混乱・修正しました。)

 帰りにわかったのですが、入笠山へは、山頂駅の建物のすぐ北 側から西へ向かって、やや近道のルートがもう1本、開かれてい ました。雪のこの時期、この近道をたどる人は少ない様子です。

 私たちは、1799メートルのピークを北からまく道を進みま した。ルートは次第に真西へと変わり、入笠湿原に下りていきま す。無雪期には、スズランや湿生の高山植物がつぎつぎと咲く場 所です。いまは50〜60センチの雪の下に埋まり、木道?を示 す木杭の列にしたがって、踏み跡を進みました。

 山彦荘前で車道に出て、今度は南に折れて車道を進みます。 やっと入笠山が、正面方向に見え出しました。

 右手に天体望遠鏡を収容した銀色の建屋(屋根)があるマナス ル山荘が見えると、御所平峠です。ここまでは、ゆるやかな登り 下りで、標高はまだ1791メートルです。いよいよ、入笠山頂 へやや急な登りが始まります。
 左手の雪の斜面は、「入笠スキー場」と名前がついています が、いまはもう使われていないのでしょう。ロープトゥーらしい 施設さえ見当たりません。
 この草原も、夏にはヤナギランなどの花が咲くそうです。



御所平峠から、山頂方向への登り

 この登りで、山頂から下りてきた2人のご夫妻に出会いまし た。「雪が深くて、ふとももまで埋まってしまって、たいへん だった。腰までくるところもあった」といいます。続いて、若い 2人連れも下りてきました。今年は入笠山でも雪が早く、多い様 子です。
 この登りにさしかかってから、ようやく私たちのスノーシュー が本領を発揮し始めました。吹き溜まりの場所では、積雪が1 メートルは超していて、つぼ足なら完全に埋まってしまいそうな 場所もあります。登山道に忠実に進むと、溝道状に掘れたところ では、両側から雪が崩れ落ちて、足が深く埋もれてしまいます。

 スノーシューでも急な場所では膝上まで重い雪に没することも ありました。でも、そういう場所は短い区間です。だいたいは膝 下以下でぐんぐん登っていけました。ときには登山道を離れて、 風で締まった雪面をつたって、行程をかせぎました。



山頂直下の付近。下降時に撮影。
大きく蛇行して下っている踏み跡は、
私が下降したトレース。スノーシューの爪が
私のは短く、下降では滑りやすいため


 

 スノーシューでのストック操作は、緩い斜面では足と交互にリ ズミカルにストックをくりだして進みますが、斜面が急だった り、雪が深いところでは、2本のストックを体の両側の雪 面に差し込んで、両手に力をこめて支えつつ、後足を前に踏み出 します。ラッセルも同じ。
 体が温まって、帽子を取り、ジャケットの胸も開いて登りまし た。途中、稜線の風当たりが強いところで冷たい西風に吹かれ、 頭部からどんどん熱が放散されて、いい気持ち。でも風が強すぎ て耳が冷たい思いをし、あわてて帽子を被りなおしました。

 斜面がぐっと急になって、すぐに緩やかな傾斜に変わると、そ こが入笠山の丸みのある山頂部でした。途中から先行した妻が、三 角点の石積みを風除けにして、腰を下ろしていました。
 入笠山の山頂は、立ったときの感じがとっても気持ちがいいと ころで、丸い頂の一番の高みに出ると、視界をさえぎるものがす べて失せて、四周の眺望がぐぐーっと開け、空が大きく頭上に広 がりました。気持ちいい。



入笠山頂から、中央アルプス方面



左に遠く富士山、南アは鳳凰、甲斐駒、鋸、奥に間ノ岳、右端に仙丈ケ岳。逆光でした

 中央アルプスが正面に姿を現し、大きく連なっています。山頂 部は雪雲の中ですが、雪の尾根と深い谷が見事です。
 南には、仙丈ケ岳、間ノ岳、鋸岳、甲斐駒、うっすらと鳳凰山 の一部も見えます。甲斐駒が、なかでもいちばん、見映えがしま す。

 山頂の最後の登りで見えていた富士山が、遠く高く、眺められ ます。  御坂と笹子方面、奥多摩、奥秩父方面は、雲がまるでなく、上空には澄 んだ空が広がっていました。

 八ヶ岳は何も見えません。車山と諏訪湖からは、雪雲がはらわ れていました。

 風が強くて、カメラの三脚が倒れされそう。写真は早々に切り 上げて登山道を50メートルほど下り、風をよけられる雪面で昼 食をとりました。

 目の下には、八ヶ岳の南西斜面のゆるやかなスロープがありま す。のびやかな斜面は、中央道、中央線、釜無川へと下っていま す。八ヶ岳と、入笠山との間の、この大地の深い鞍部が、入笠山 からはとても実感的に眺めることができます。諏訪湖と韮崎間の 中央道の「最高地点」(分水嶺)も、目の下にあります。

 

 この大地の鞍部は、遠く御坂山塊の黒岳や、道志・丹沢あたり の稜線から、茅ヶ岳の南の裾を経て、諏訪湖、さらに北西の北ア ルプスの方角へ続く、一筋の直線の通り道です。直線は、南関東 の山から、北アを遠望するときの「ライン・オブ・サイト」で す。

 実際に、たとえば富士山の5合目とか、三つ峠脇の本社ヶ丸の 頂などから北アの槍ヶ岳を遠望するときには、ちょうど、茅ヶ 岳・八ヶ岳と、入笠山の間に開いた大地の窓(鞍部)越しに、槍 や常念、穂高連峰が姿を見せてくれます。

 その「遠望回廊」を、今回は初めてじっくりと、眺めおろすこ とができました。

 帰りも、同じコースをとりました。登りの倍くらい速いペース でぐんぐん下降。スキー場内はスノーシューは禁止されているた め、下りもゴンドラで下りました。
 松本市への移動の途中、諏訪湖サービスエリア内の「ハイウェ イ温泉」で一休み。湯からあがって、ぽかぽかの体で外に出る と、蓼科山も、美ヶ原も、鉢伏山も、雲はすっかり消えて、青空 が広がっていました。



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野原 森夫