杖突峠から雪の守屋山、ぐるり大展望

2004年2月8日




守屋山の東峰から、最高峰の西峰へのつり尾根をたどる

 

 守屋山は、南アの稜線が、甲斐駒からさらに北西へと伸びて、諏訪湖の南 西部まで達した位置にあります。標高1650メートル。雪も少なめで、気 軽に登れて、大展望が待っているという評判にひかれて、登ってきました。
 この日は日曜日に、うまい具合に冬型が緩み出した、好条件。展望を楽し みに久しぶりの山行きとなりました。

 
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東京・西多摩の自宅(7時20分発)車→八王子インター→中央道・談合 坂SAで朝食→諏訪インター(9時58分)→国道152号→杖突峠・登 山口駐車場(10時13分着)

杖突峠・登山口(10時33分発)→守屋山・東峰(11時37分)→守屋 山・西峰(11時57分着、12時33分発)→登路を往復→杖突峠・登山 口(13時37分)

杖突峠駐車場(13時45分ごろ発)車→富士見町・白州町経由→小淵沢 インター→八王子インター→自宅(16時50分ごろ着)

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 快晴の朝。自宅出発は7時すぎでした。そのうえ、途中の談合坂SAで 1時間余り、朝食休憩をとりました。笹子トンネルを抜けて甲府盆地に入 ると、南アの雪の峰峰がずらりと並んでいます。今日は眺めが期待できそ うです。
 諏訪インターで下りて、国道152号の急坂を登り、インターからわず か15分で、杖突峠を少し高遠町側に越した場所にある登山口(駐車場) に着きました。インターからこんなに近い登山口もめずらしい。
 身づくろいをして、10時33分発。これなら昼には、一等三角点のある 守屋山山頂(西峰)に着けそうです。
積雪は登山口のカラマツ林内で30センチほどですが、ルート上の雪は厚さ 10センチもないくらいに、よく踏みしめられています。スノーシューはも ちろん車に残し、アイゼンもはかずに、登り出しました。

 道は、右に林道を見送ってカラマツ林をまっすぐに登っていきます。登り きるとまた林道に出会い、斜めに横断。林内を進んでまた林道に出会い、横 断します。蛇行する林道を突ききるように、道は伸びています。



 2度目の横断のあと、くぼ地状の場所に下りていくと「アカエ沢源頭」で す。幅1・5メートルほどのこの沢を木の橋で渡ります。一帯は春にはザゼ ンソウが群生する場所だそうですが、今は40センチほどの雪の下です。
 橋から50メートルほどで林道へ上がり、森林組合が立てた避難小屋に出ま した(駐車場から20分余り)。内部はたたみ敷きで、明るくきれい。仮設トイレもあります。そばに屋 根つきの休憩所が設営され、一休みにはいいところです。
(無雪期は、林道をここまで車で上がってくることができ、「登山口」と なっています。)

 この避難小屋には、2003年の1月あたりに、南らんぼうさんが守屋山に 登ったときの新聞紙上の「紀行」が戸板に張られていました。山頂からは、深 田百名山が32座ないし36座、見えるとのこと。そうだったんですか。この 数、正式にはどっちなんでしょう。
 こんなに見晴らしがいいのは、守屋山が、諏訪湖に突き出した好位置にあるう えに、周囲に高い山がなく、南・中央・北の大山脈がみな見渡せるのが幸いし ているのでしょう。らんぼうさんの文章には、「立ち去りがたい展望の山頂」 との趣旨が書かれてありました。冬は、とびきりの晴天の日を選んで、やっぱりこういう山行 きがいいですねえ。



 避難小屋にくるまでの道々、守屋山の東峰が、けっこう大きく、思ったより も遠く、見えていました。小屋からはいよいよその尾根筋に取り付きます。新 雪が数センチ降った樹林は、ますます明るく、振り返ると梢越しに蓼科山方面 が見え隠れして、登る元気を倍加してくれます。
 妻が先行して進み、8人ほどのグループに先を行かせてもらったところで、グ ループの1人の女性に「あれ、野原さん! やっぱりそうだ」と声をかけられ ました。「ええっ! どうして私のハンドルネーム(ネット上の名前)を???」 と内心びっくりして、「どなたでしたっけ?」と尋ねると、「去年、越百山で いっしょしたでしょ」。「なるほど」。越百山の小屋で、我がホームページを おすすめしてしまった八王子市の山の会の方たちでした。わずか半年余りで、ま たお会いできるなんて、みなさん、活発に山行を重ねている証拠ですね。



八ヶ岳方面。これは西峰から撮影。
手前に見えるなだらかなピークは、守屋山の東峰


(こちらに、実際の肉眼での眺めに近い、大きな画像(196キロバイト)をリンクしています。)

 尾根筋に出て、左に明瞭な踏み跡を分け、さらにその先の守屋神社からの道の 分岐を越すと、東峰の山頂です。11時37分着。「うっひょう!! すごい眺 め」。八ヶ岳が荒々しく、蓼科山は丸みのある頂をすくっと立ち上げています。浅 間山、黒斑山をはさんで、車山、美ヶ原、鉢盛山まで、ずらりと雪の稜線がなら びます。北アは雪雲の中で残念。


左の車山の右後方に、黒斑山と、浅間山(西峰から撮影)

 東峰山頂の展望案内板によると南アルプスは聖岳、光岳まですべて見えるとのこ とで、好展望の今日はその通り、ほとんど全部、確認できました。塩見岳は塩見 小屋の裏手の岩峰が明瞭に立ち上がって見えました。(展望案内板で、赤石岳などの 右手奥に光岳が、東に緩やかな山頂稜線を長く伸ばして、見えるように描いていたと 思います。実際には、光岳はわずかに山頂を覗かせているか、否か。肉眼での確認は相当にむず かしい。光岳のように描きこんでいたのは、奥茶臼岳でした。これは、帰宅後、カシミ ール3Dで確認しました。)
南アのパノラマは、こちら

 この東峰の山頂では、チェンソーを使って山頂の諏訪湖側のカラマツの幹が切り 倒されていました。「眺めがさえぎられないように、倒しているんだ」とのこと。作 業にあたっていた男性2人は地元の方のようでした。
 立ち話だけで、20分先の最高峰・西峰を目指します。枝ぶりのいいブナの木 や、よくカモシカが立っているという「カモシカ岩」を過ぎ、小さな笹原の高みを 目指します。つり尾根のようなこの稜線で、積雪は60センチほど。でもルート上 は相変わらず、雪は踏みしめられています。



守屋山の西峰の登り

 11時57分、守屋山の山頂(西峰)に着きました。北アは相変わらず稜線を 雪雲が覆っています。晴れ上がっていれば、白馬岳までの大パノラマを期待できた ところでした。楽しみは中央アルプスです。着いたばかりのときは木曽前 岳の尾根しか見えなかったのですが、しばらくして木曽駒も姿を現しました。雲がか かっていたので確信がもてませんが、ここから見えるのは空木岳までで、以南の山 は、その背後に重なっていたのかもしれません。今日の条件では、その空木岳も、中 腹から下が見えるだけです。(帰宅してから、カシミール3Dで確認したところ、 南駒ケ岳までは主稜線が見渡せることがわかりました。)


 経ヶ岳の右奥に見えるはずの木曾御岳はおぼろで判別が難しく、乗鞍岳も見えません。
 今日は、都合いくつの名山が見えているのでしょうか。それを考えるだけでも楽し い、展望の奥が深い、守屋山の頂でした。私は、間近に見下ろす冬の諏訪湖の美しさ にも惹かれました。



 西峰山頂直下には内部が1坪ほどの、小さな小屋があります。東峰で伐採をしていた 男性の1人と、登山口をほぼ一緒に出た2人の女性が、小屋に上がってきまし た。「コーヒーを飲んでいかないかい?」とやさしい声がかかりました。小屋の土間 には、火鉢型の丸い石油ストーブややかんなどもあり、おじさんは「年に50回は守 屋山に登るようにしている」と話します。おそらく、天気のいい休日は、ほとんど毎 回、山頂のこの小屋ですごしておられるのでしょう。女性のうち1人は、このおじさ んの奥さんらしい。女性2人は、登山口には軽トラックで乗りつけ、深い長靴で足固 めをして、雪道を登ってきました。軽トラックで登山口に乗りつけた女性の登山者を 見たのは、初めてでした。



西峰の小屋

 守屋山は、登りやすいうえに、びっくりするような絶品の眺めが、登山者を迎えて くれる山です。地元で信仰の山とされ、東峰が奥宮と定められているのは、人をひき つけるこの魅力の故でしょうか。日本全国、信仰の山というと、岩場が屹立したり、あ るいは噴気を勢いよく上げて、登る人をひれ伏させるところもあります。けれど、こ んな親しみのある信仰の山もあるんだなあと、思ったものでした。

 帰路は、滑り止めにアイゼンを着けて、歩幅も大きく、ぐんぐん下りました。尾根 から樹林に向かう獣の足跡を幾度も見ましたが、登山口で出会った猟師さんらは、「イ ノシシと鹿を、月に数頭は獲る」と話していました。動物たちにとっては、この山も また、狩りに追われる場所なのでしょうか。
 登りは気合を入れて一気に上がった山道でしたが、下ってみると、けっこう急な道を 登ったものだと、思わされるルートでした。アイゼンに助けられてなんとか転ばずに、 いいペースで下りきり、13時37分、登山口に下り立ちました。

(出会った登山者19人。往復3時間4分)



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野原 森夫