北アの山々を眺めて、常念岳から蝶ヶ岳

2002年10月12〜13日
前夜登山口泊・日帰り




常念岳。ナナカマドが色づく縦走路で

 秋晴れの好天続きに誘われて、10月13日(日)、松本(豊 科)側の登山口の三股を起点に、→常念岳→蝶ヶ岳→三股と縦走し てきました。

 東京の自宅を午後9時すぎ発。長野道を豊科インターで降り、林 道を走って終点近くの三股登山口の駐車場へ。ときどき体験するこ ととはいえ、夜半の林道走行は、やはり寂しいものでした。深い森 のなかに伸びる道を、「今夜は一人で静かな夜だな」と思って走っ ていったら、駐車場には40台以上の車が止まっていて、車内灯を つけて明朝の出発準備の車も数台。私も眠ろうとしたら、1台、ま た1台と車が登ってきて、空きスペースをさがして駐車場をうろう ろ。ずいぶんにぎやかな夜になってしまいました。

 登山者が置いていった空き車の屋根には、霜が降り始めていまし た。すばらしく澄んだ星空でした。車の窓ガラスをあけて、何十 万、何百万個も見えようかという星と、輪郭がくっきりした天の川 を見上げながら、シュラフで一眠りしました。

 翌朝、目覚まし時計で5時すぎに起きて、5時45分出発。東の 空にオリオンが光っています。
 コースタイムは約12時間。常念岳までは、標高差は1520 メートルです。しかし蝶ヶ岳ヒュッテまでの縦走の途中に4度の登 り下りがあり、これを加えると登りの積算標高は計2190メート ル。同じ標高差分の下りと、道のりの長さを勘案すると、行程はか なりしんどそう。夕方5時30分ごろには暗くなり季節でもあり、 午前11時までに常念岳の山頂に行きつけないときは、常念岳の往 復にすることにしました。
 朝日を浴びて明るく染まる山肌には、雪はありません。アイゼン は車に置いて、出発。



樹林帯を抜ける場所で、常念岳(左奥)、前常念が姿をあらわす

 

 霜柱をふむ秋の山の登りは、爽快です。汗もほとんどかかずに、 ブナから針葉樹に変わっていく樹林を上がっていきました。途中で 朝食。
 標高2200メートル付近で樹林を抜けると、展望がどんどん開 けていきました。そこは前常念岳に向かって花崗岩のガレ場の急な 登りにかかるところで、常念岳から蝶ヶ岳、大滝山方面への稜線の 全体が見渡せます。そして北穂のドームの一角が稜線の上に姿を現 し始めました。



前常念の登りで、蝶ヶ岳への縦走路の尾根越しに、
穂高連峰


 前常念岳は、常念岳から東に張り出した岩の稜線の肩にあたりま す。そこからは北アの中央部から北部の山々が見渡せました。



前常念から、常念岳へ向かう

 山頂直下では、新雪が日陰に少し、残っていました。
 2857メートルの常念岳山頂に、10時14分着。
 すばらしい展望です。松本方面は薄い雲海の下ですが、上層は雲 がありません。北アと、そして長野県周辺の山々は、全部、見えて いるのではないでしょうか。



常念岳から、槍・穂高連峰。5キロ前後の距離です
 

 槍・穂高の山々は、梓川上流の谷を隔てて、正面に堂々とした姿 で並んでいます。この時刻でもまだ、もやは少なく、岩場のごつご つした様子もくわしくわかります。北鎌尾根を真東から、こんなに近い距 離で眺めたのは初めてでした。南には乗鞍岳。



常念岳から、北アの中央部・北部の展望

 槍ヶ岳の右奥に、三俣蓮華岳、小屋が双眼鏡で確認できます。 その右には、雲ノ平のせりあがりが一部、見えています。そして鷲羽 岳、赤岳の奥に水晶岳。右に大きな山頂部は野口五郎岳。背後に立山と剣岳。

 後立山では、針ノ木岳が大きく、立派です。鹿島槍の双耳のピー クはここからは重なって見えます。そのすぐ右奥に山頂部だけ姿を 現しているのは、白馬岳でしょう。
 手前の山々は、大きな山体の大天井岳、燕岳、右に餓鬼岳も眺められます。

 北ア以外では、雨飾山、焼山・火打・妙高、岩菅山、横手山。上信国境 では、穂先がとがった四阿山が目立ちます。このあたりは、もやで シルエット状態です。四阿山の左右、はるか遠くには、尾瀬・日 光か武尊山方面と思われる山容も薄く望めました。浅間山あたりは 大きな山の塊に見えます。

 さらに右(南)へ、蓼科山、八ヶ岳、奥秩父、そして富士山は3 合目あたりから上がみな見えて、大きい。3年前に富士山の近くの 本社ヶ丸から、常念岳方面を眺めたことを思い出しました。
 南アルプスも甲斐駒から赤石岳あたりまで、みなピークを指呼で きます。
 中アも見えていますが、個々の山のピークは判断できませんでし た。

 常念岳の山頂を、10時45分に出発して、蝶ヶ岳へ縦走。槍・ 穂高連峰は、位置を変えることに見え方が変化していきます。その なかでも蝶ヶ岳からの眺めは、槍沢から駆け上がるルートがくわし く眺められ、槍の穂先も一番、とがって見えました。涸沢まで幾つ も並んだカールの形状も、一番ととのって見え、槍・穂高を望む 「正面の特等席」という感じがしました。

 驚いたのは、この縦走路が、常念を下りきってから、蝶槍の登り の7分めまで、ずいぶん長く樹林帯のなかを通っていたことです。 標高が2300前後なので、当然かもしれません。ガイドブックな どで、ずっと槍・穂の眺めとともに歩く、という印象をうけていた ので、意外な感じがしました。

 

 蝶ヶ岳から三股へは足場が悪く、浮石が
多い。体も重くなって足 を痛めないように、ゆっくり下降しました。  針葉樹の林は、谷が迫ると、再び広葉樹の林にもどってきます。 赤く染まった葉、枝のすべての葉が黄色に染まった樹種もありまし た。紅葉した樹林の中では、夕暮れが迫る空の明るみが、足元まで 届き、落ち葉がその光を受けて、森全体が明るく感じました。
 そのなかで、黄色というよりも、レモンイエローに葉が色づいて いるのは、コシアブラで、この季節、とてもよく目立ちます。標高 1800〜1500メートルあたりでは、このコシアブラの大きな 木がずいぶん見られました。

 17時14分、三股の駐車場着。なんとかヘッドランプを持ち出 さなくていい時間に、帰りつくことができました。



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野原 森夫