ベニザケの燻製づくり





 札幌から東京に来てから、家で燻製を作りたくなってしまいました。北 海道では、渓流で釣れたイワナをそのまま一晩かけて燻製に仕上げた ことがありました(北海道・見市川の記録を参照)。でも、東京や近郊で は、それほど釣れる川はないし、勤め出すと時間も制約があります。

 うまい具合に、上京した1980年ころからは、焚き火を使わなくてもベラ ンダなどで燻製を作ることができる品々が売り出されるようになりました。 なかでも、楢や桜、リンゴなどの木をおがくずにして棒状に固めた燻煙材 は、炎を出して燃える心配がなくて、ベランダで燻煙するには安心です。
 棒の長さは30センチ。端にライターなどで着火すると、細く煙を出して3 時間ほど静かに燻り続けます。さっそくそれに飛びつきました。
 これを煙の元にし、当初は、ダンボール箱の内部に燻煙する魚などを吊 るして、燻製づくりを始めました。

 ダンボール箱の底は、切り取っておきます。そして、ベランダのコンク リートの上に金属製の皿(ステンレスなど)をおき、ここに底の開いたダ ンボール箱をかぶせました。
 かんたん、安価で、それでも香りは十分の本格的な燻製ができまし た。

 ついで1983年ごろに入手したのが、一斗缶を2個、縦に重ねたような 構造の燻煙器でした。上の缶はやや小さく、下の缶はやや大きめに作って あります。缶といってもどちらも上下素通しの筒状で、底に電熱器をおき、 燻煙材を入れるブリキの器をのせます。下と上の缶には、中段に網を載 せる構造になっていて、ここに燻煙する材料をのせます。一番上から蓋を 閉めて、小さな排気穴から煙が逃げていくのを見ながら、燻煙することに なります。
 この燻煙器は、電熱器で温度調節ができ、電熱器を使わなければ、低 い温度での燻製もできます。加熱できるので、例の棒状の燻煙材だけで なく、一般的に使われるチップも使えるし、栗や楢、桜の枝あら自分で細 かく砕いたチップも使うことが出来ます。



生ハムづくり。風乾中

 釣ってきた魚はもちろん、ゆで卵、チーズ、かまぼこ、イカ、タコ、紅鮭、 ホタテなどいといろなものを燻製しました。ベーコンやハム、生ハムにも 挑戦しました。

 つくって手間はかかるけれども、仕上がりまでの経過が楽しめるし、食 べておいしいのは、スモーク・サーモンです。東京の一般の家で作ること ができるのは、気温が下がる真冬の時期にかぎられます。材料は、最 初の挑戦オときは、小樽の知人宅から届いた紅鮭を使いました。この紅 鮭はほんとうによく油がのっていて、3枚におろすと、手も包丁もオレン ジ色の鮭の油に染まりました。
 塩味を適当に効かし、ハーブや玉ねぎなどの野菜を一度、煮込んで、 冷蔵したソミュール液に、身を沈め、さっと流水に洗ってから、ベランダ に吊るして乾かします(風乾)。このときにも、身からオレンジ色の油が 染み出してきて、ベランダの床に落ちました。
 夜、燻煙器の中で、加熱せずに燻煙材の棒だけの煙でいぶしま す。(冷燻)



これは2度目のベニザケ燻製づくりの、ひとこま

 最初は軽く燻煙し、また風乾。翌日、また燻煙と風乾。これを3日ほ ど繰り返して、ようやくスモーク・サーモンが出来あがりました。
 味は、市販のスモーク・サーモンにくらべようもないほど、すばらしい 香りがあり、歯ごたえもしっかりしていました。大事に大事に、いただき ました。
 同じようにして、冷燻で、豚の生ハムづくりにも挑みました。香りはこ れもよかったのですが、歯ごたえがありすぎて、口当たりはいま一つ でした。こちらの方は、まるまる7日も、いぶして、風乾して、を繰り返 しました。

 燻製でつくったオードブルはつまみに最高です。香りが口と鼻腔いっ ぱいに広がり、体やお部屋まで香りに包まれます。この香りの濃さ、 強さが、自分でつくる燻製の醍醐味でしょうか。



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野原 森夫