紅鮭1匹を3枚下ろしで、スモーク・サーモンに

2007年12月






 お正月の前に毎年、仕込む燻製づくり。今回は紅鮭(ベニザケ)のごく甘塩の 新巻きを1本、入手して、これ一本分をほとんど丸ごと使うス モーク・サーモンにとりかかりました。
 作業と並行して、日記で進行具合をお知らせします。
 燻製つくり、とくにスモーク・サーモンは、寒い夜空のもとでお こなう風乾の工程が、とっても大事。それだけにお天気に左右され ましたが、1週間かけて、よい仕上がりとなりました。

◇12月23日
 生きのいい魚が入るお店で、紅鮭の新巻を見つけました。冷凍 もので、「オホーツク産」とあります。
 「今年はこれでスモークやってみよ!」
 とカミさんがいうので、1本購入しました。
 体の幅が一番、広いのを選びました。渓流魚では「幅広ヤマメ」 なんていって、うれしがる体形です。お腹が張り出している分、紅 鮭特有のおいしい油がのっているかも。
 家に帰って、凍ったままを、冷蔵庫の野菜室に入れて、1昼夜か けて解凍しました。


 写真の燻製器については、こちらに紹介があります。
http://trace.kinokoyama.net/gear/smoker-seisaku0512.htm





◇12月24日



3枚におろす、途中

 夕方前、かなり解凍がすすんだので、3枚におろして下ごしらえ にかかることにしました。
 頭から尻尾まで63センチ。
 我が家のいつものまな板では、20センチ近くもはみ出します。  まずウロコをていねいに除きました。
 出刃庖丁は先日研いでおいたので、あっという間に3枚におろす ことができました。肉は、紅鮭らしく、濃いサーモン・ピンクの鮮 やかな姿です。

 次に、骨を除きます。
 腹側のあばら骨は、肉を薄くそぐようにして、除きました。
 ちょっと厄介なのは、背側の肉の小骨です。背骨から細い骨が、 肉の内部を並行する形で片側で15本ほど、伸びています。
 これを抜き取っておかないと、スモークサーモンを食べる時、短 く切断されて肉にまじって食べにくい。ソミュール液に漬け込む前 に、1本ずつ抜いてやる必要があります。
 私は。「銀の爪」という道具で抜いています。
http://trace.kinokoyama.net/farmer/strawberry/ichigo- hetatori020527.htm
 渓流魚のイワナやヤマメなどを、丸ごと燻製にして、食べるとき に身をほぐすと、これらの骨は身と離れて、背骨ごととりわけるこ とができます。しかし、薄くスライスして食べるスモーク・サーモ ンでは、食べるために薄切りカットしたときに、この小骨ごと身が 切断されます。それで、仕込み作業のときに、この骨抜き作業があ るんです。





 下処理を終えた紅鮭を、長方形のステンレスの大型バットに身を 寝かせまました。内径40センチあるのに、体を波打たせてやっと 納める大きさ。背骨の1枚も、そのままスモーク用にバットへ。お まけに頭も縦に2つ割にして、バットに入れました。ぜんぶまとめ て、1本まるごと燻製です。
 あら汁に使う部分は、どんぶり1杯ほどのアラが出ただけでした。

 次は、下味をつける工程です。
 今回は、ごく甘塩とはいえ、新巻を使ったので、大事なのは塩加 減のチェックです。腹近くの身を少し削いで、味見。
 お刺身にしてもかまわないほどの薄塩でした。塩がきついと、あ まりしたくない塩抜きが必要になりますので、やった! と思いま した。紅鮭独特のコクのある味です。切り分ける途中で、油分がや や少なめと思いましたが、安心しました。





 次は、下味と塩加減を調整するための「ソミュール液」の仕込み です。
 鍋に、薄切りの玉ねぎ、すりおろしたリンゴ、白ワイン、月桂樹 の葉、塩たっぷり、黒コショウを入れて、数分煮立てておきました 。これは、アラ熱をとるために、冷ましておきます。
 温度が下がったところで、氷を入れて冷やします。これを鮭の身 が入った大型バットに流しいれます。
 冷蔵庫のなかで、1昼夜漬け置きです。

 さあ、明日の夜は、冷たい空っ風が吹いてくれるかな?  明日からは、風乾 → スモーク →風乾 → スモークを、数 日かがりで繰り返すことになります。  

◇12月25日
 今夜の天気予報が気になっていました。
 夜9時すぎからは、空が晴れあげるとのこと。
 よし、今夜から風乾だ。昨夜、ソミュール液に漬け込んで、冷蔵 庫に入れておいた紅鮭(写真1枚目)をとりだし、ざっと水で洗い 、2階のベランダに吊るしました。





 3枚におろしたので、半身が2枚、中骨が1枚、頭2つ割が1セ ット、そして釧路から宅急便で届いたスルメイカも干しました。
 気温が下がり、空気はやや乾き加減に変わってきたようすです。 風がないのが残念ですが、まずまずの条件です。

 一晩干して、明日は冷蔵庫にねかせ、明日の晩、晴天ならば、ま た干します。スモークのときだけでなく、この風乾のあいだに、鮭 はぐっと味がよくなります。煙の香りと味が、肉の隅々まで浸透し ていきます。スモーカーの中で乾燥させる温燻と、生の軟らかい条 件を大事にする冷燻との違いが、ここにあります。
 熟成がすすむ様子は、表面が次第にアメ色に変わり、皮も透き通 ってくる様子や、肉に弾力が出てくる様子などからも、観察できま す。
 干し具合いと天気にもよりますが、2日後くらいには、最初の燻 煙にかかれそうです。干して、ねかせて、燻煙して。これを数日か けて、出来上がり。
 早朝からやってくる鳥たちから鮭を守るために、干場の一角を金 網で囲いました。



26日朝

◇12月26日
 昨夜は気温がぐんと下がって、微風も出て、とても順調に風乾が すすみました。
 明後日、28日以降は天気が崩れるとの予報が出たので、それま での2日間、好条件を有効に使いたい。
 それで26日夕方、急きょ、1回目の燻煙をすることにしました。



サクラの太い枝。2年間乾燥させたもの

 燻煙材には、サクラやナラなどが一般的です。私は、知り合いの 庭の枝打ちで廃棄されようとしていたサクラの枝を車に積んで、持 ちかえっていました。持ち帰ってから、車庫の屋根裏(車庫は自家 製なので、いろいろ収納力があります)で2年間、乾燥させたもの。
 写真は、そのうち短い枝の1本です。これをナタでチップにして 、使います。
 温度を60度ほどまで上げる温燻では、小さな電熱器の上に、小 さなパエリア皿をのせて、チップを燻します。
 スモーク・サーモンなど、30度前後までの低い温度で燻製をす る冷燻では、スモーク・ウッドといわれるおがくずを固めた燻煙材 を使います。



燻煙を始めました

 スモーク開始。(写真は、扉を開けて撮影)
 紅鮭のほかに、スルメイカ、ほたて貝柱、チーズ、シシャモも、 道連れにしました。
 スモークは、6時間。
 その後、スモーカーから紅鮭、ホタテを取り出し、夜空のもとに 再度、風乾をしました。

◇12月27日
 干しておいた紅鮭を、朝、いったん、冷蔵庫にねかせるために、 収容しました。
 香りがたまりません。いい色に変わってきました。
 紅鮭のスモーク・サーモン用は、冷燻オンリーです。夕べ、また 干して、今朝はそのまま冷蔵庫にねかせました。弾力のある肉質に なってきました。
 今夜、いま一度、スモークをする予定です。
 良い紅鮭だと、風乾しているときに、ポタッポタッ、と、濃いオ レンジ色の油がしたたり落ちてくるのです。今回のは、そこまでは いきませんが、少し身を削いで味見した結果では、まずまずの出来になりそう です。

 一方、早朝の短い時間を使って、温燻(60度前後)をしました 。これらは、温度を上げた方がおいしい分で、ホタテ、ゆでたまご 、紅鮭の頭と中骨部分、シシャモ、スルメイカ、追加で蒲鉾を、ス モークしました。出勤時間があるので、7時で終了。こちらも冷蔵 庫に収めてねかせました。
 今晩からは強い雨の予報が出ています。
 夜、雨が降り出したなか、帰宅してから、これらの材料に再度、 温燻をしました。軒下でも雨が少し、降りかかります。スモーカー の屋根には、トタンを被せました。
 紅鮭の方は、冷燻と風乾が残っています。この天気はとても無理 。明日29日の午後以降は冬型がもどるので、仕上げの干し上げが できそうです。

◇12月29日
 今夜半過ぎには晴れ上がるとの予報で、年 賀状を書きながら、紅鮭に仕上げの燻煙をしました。

◇12月30日
 日付が変わって、午前1時すぎ、夜空の雲が割れだして回復し始 めたので、雨のかからない場所で、夜風にあてました。



干し上がりました

 朝、今日は、晴天のはずでした。でも、黒い雲がときどきやって きて、にわか雨。ぱらぱら、と降りかかり、あられも混じります。
 その雨も一段落して、夕方から、もう一度、干し直して、ようや くスモーク・サーモンが仕上がりました。
 子どもたちも久しぶりに我が家に帰って、なんとかいつも通りの 合格点の評価でした。いい色、香りと、深い味わいでした。



できあがりを、カットします。





 しっかり干し上げたホタテと、燻製にして少しあぶったシシャモ も、好評でした。
 かまぼこに、中まで燻製の味がしみ込んだものは、別の味って感 じがします。
 鮭の頭は、油たっぷりの肉と、こりこりの軟骨、氷頭あたりが、そ のまま肴になり、ごちそうになります。ざくっと切り分けて、粕汁す ると、独特の出汁が楽しめます。

◇12月31日
 今日の昼は、3枚におろしたうちの中骨の部分の燻製から、身をと り、これをジェノベーゼに和えてパスタをいただきました。





 バジルの香りとよく合いました。
 夕方は、また燻製で宴。
 冷蔵庫でねかせているうちに、スモーク・サーモンは、身がしっと りし、甘味を感じるほどに味がまろかやになってきました。

 東京は、気温が高めで、冬でさえ燻製づくりには制限があります。で も、天気に恵まれると、冷燻だってできるのが、冬の日々です。今回は なんとかよい終結にいたることができました。



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野原 森夫