狩勝峠の源流部のアメマス

2004・8・23


 久しぶりの北海道での渓流釣りでした。
 カミさんの母方の実家と親戚がある十勝を訪ね、その道々に釣り竿を振ろうという予 定だったので、時間はわずかしかとれませんでした。でも、昔のデータが生きて、尺も ののアメマスと対面することができました。

 8月22日、往路は、札幌市郊外の北広島市のカミさんの実家から、夕張の樹海ロー ドを経て、日勝峠を越え、十勝清水から帯広に入りました。
 途中、日高町側では、町外れを抜けるあたりで、右手の日高山脈側から良い渓相の支 流が何本か入ってきます。道路沿いの本流も入りやすい場所で、フライをふる釣り人の 姿が見えました。

 翌23日は、中札内町の美術村を往復して、美瑛経由で、旭川をまわり、北広島市へ。
 美術村の開館が午前10時だったので、日高のトッタベツ(戸蔦別)川を見に行きま した。拓成で車道がトッタベツ川を横断する場所は、発電・農業用水の取水堰があり、 堰の上が大きなプールになっています。ここで、5グラムのスピナーを何度か遠投しま したが、追いも当たりもなし。ニジマスが増えているというトッタベツ川ですが、この あたりはまだまだなのか。圧倒的な水量と透明度は、さすが日高の名渓でした。



狩勝峠から、夕張岳方面の眺め

 帯広市から狩勝峠へ向かいました。今日は、富良野市、美瑛をめざします。
 峠を越した一帯は源流エリアで、私も何度か楽しい釣りを体験したところでした。
 フライの釣り人が多い昨今、フライを振り込みにくい、小回りが効かない枝沢の一つ 、しかも70年代から相当な実績がある沢で、少し、試してみることにしました。過去 の実績がある沢は、大きな伐採や土木工事でもないかぎり、川虫も水質も良い状態が保 たれて、魚影も濃いはずです。

 沢幅は、5メートルほど。入渓して最初の深瀬に、3・5グラムのスピナー(メップ ス・アグリアTW)を落としました。ルアーを引いてくると25センチほどのイワナが 追ってきました。これは、魚が濃いようです。

 次のポイントは、立ちこんだ位置から8メートルほど先に、段差のある落ち込みがあ り、腰ぐらいの深さの緩い流れが続いています。落ち込み付近は、日陰で暗い。立ち込 んだ位置からその深みまでは、両岸から木の枝が突き出て、その細い空間を通り抜けて ルアーを投じなければなりません。私は上流から見て左岸に立っていましたが、右岸の 方が右利きでは投げやすい。けれど、この位置から体を動かすのは、気づかれる恐れが あるため、竿を持った右手を体の左側に回して、逆ハンドで手首を逆に返した勢いで、 ルアーを投げました。落ち込みのすぐ下を狙ったのに、ルアーは1・5メートルほど下 流に落ちてしまいました。かまわず、引くと、暗い深みを抜けるあたりでゴン!という 重い当たりがありました。横に動くラインにかまわず、リールを回し、引き寄せます。



 目の前まで引き寄せると、なかなかいい型です。重い引きも、久しぶりのものでした。
 せいぜいためし釣りをと遡行してきただけなので、タモ網なんて用意してい ません。仕方がないので、水中から石ころの岸辺に引き抜きにかかりました。岸の石こ ろの上に完全に引きずり上げたところで、魚がひと暴れし、ラインがスイベルとの結び 目のところでほどけてしまいました。あわてて両手で押さえ、そばの浅い水溜りに魚体 を移しました。それにしても太い背です。



31・5センチのアメマスでした

 大きな白い斑点、真っ白な腹。下流のダムで育ったと思われるアメマスでした。 ヒレが大きく、とても美しい体です。イワナとしては十分な大きさに育ってきたのに、 顔や口がまだ成熟した大人になりきっていないのは、ここまで育つのが相当に早かった からでしょう。

 記念写真を写そうとしても、すぐに暴れだして、なかなか画面に収まりません。なん とか撮影を終えて、川へもどしました。沢水にそっともどされたアメマスは、流心の深 みで川底に体をおいてしばし呼吸を整えたあと、すすっと上流に遡っていきました。

 この沢を、まる一日釣りのぼれば、いったいどれだけのイワナやオショロコマが釣れ ることでしょう。でも、尺を超す良型は、北海道の沢でも日にそう何匹も上がることは ありません。  あんなに美しいアメマスに出会えた幸せで、心が満たされた私は、沢水の冷たさを心 地よく感じながら、車道をめざして沢を下降しました。

 


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野原 森夫