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「ワサビ沢」を遡行。シドケが原で白花延齢草を愛でる 2006年5月
中流部の大岩地帯 春の連休の1日を使って、ガイドブックに記録のない、奥多摩の沢を登ってきま
した。 このワサビ沢を遡行するには、林道を使って標高500メートル余りの
場所から入渓することができます。源頭の山道まで、行程は正味約3時間。下りは山腹を
たどる山道を1時間余り下降して、取り付き点にもどります。
ワサビ沢の中流部の、穏やかな流れのあたり
源流部、大岩の堆積地帯
ワサビ(上)と、シドケ(下) 人が入った形跡があったのは、下流部にあるワサビ田までの間でした。この区間は 水流幅が4メートルから5メートルくらい。どうもこの沢は、渓流魚がいないために、釣 り人も入り込まない様子です。淵や小滝を高まきする場所でも、踏み跡の形跡がまったく なし。浮石だらけの高まきや、ヤブが連続し、中流部のV字谷では、足場に苦労させられ ました。それがまた、ちょっと新鮮。冒険心をそそられました。 その上部で水流幅が3メートルから2メートルほどに小さくなってくると、今度 は高まきの場合も、沢床をすすむ場合も、密生したヤブをこぐことになります。野 イバラのほか、クマイチゴの豪壮なヤブは手ごわく、下半身はトゲあとだらけにな りました。私は中型ザックにしっかり装備とカメラ用品を運んできたので、斜めに 這うクマイチゴの強靭な、トゲだらけの枝に、何度もザックがつっかえて、難儀し ました。 中流部まできても、ずいぶん昔に放棄され、河原状となった小さなワサビ田跡がと
ころどころにあります。両側からヤブで狭められてまっているものの、ワサビの小さ
な葉や株が点在していました。
シドケの群生
水流そばの苔むした石に、シドケの若い芽
ワサビ 大石が堆積する地帯をなんどか抜けながら、高度を上げていくと、水流幅は2 メートル前後に細くなり、源頭が近づいたことを教えてくれます。 そこまで登りあがったところで、小広い沢床に上がりつきました。シロバナノ
エンレイソウが幾つもの群落をつくって、咲き競っていました。カンアオイ、山
菜のシドケ(モミジガサ)、そして野生化したワサビも、人知れずという言葉が
そのままに、沢床の一角にいっぱい群生していました。
シロナバノエンレイソウ 同じ一帯にワサビとシドケが、こんなにもたくさん共生しているのを見ると、こ の2つの山菜は、生息条件がとっても似ているのだなと感じさせられました。水辺 や時に流水が洗うような場所にはワサビが、そして沢床から駆け上がるような急斜面 にはシドケが、ともに生き抜いていました。 この沢には、ヨブスマソウの1種も、けっこう濃く分布しています。奥多摩の 手付かずの自然の生態が、いまも残されている一帯といえるでしょう。 期待を超えるほどの、その美しい沢床を後にして、さらに30分ほどの
遡行とヤブこぎを続けて、私たちは目的の源頭部にたどりつきました。3時間半
の行動時間でした。 |