三頭山
1986年10月  家族4人



三頭山の山頂手前で昼ごはん


 秋川渓谷の上流・数馬(かずま)の里から2時間で山項 に立てる三頭山(みとうさん)は、車で奥多摩有料道路を 上がると、さらに30、40分は行程が短縮できる。これ なら岳彦も歩きとうせるかもと、全員で登る目標をこの山 にきめた。標高は1527メートル。有料道路わきの駐車 場の標高は900メートル少しだから、約600メートル の標高差だ。

 鞘口峠(1141メートル)へは、30分で着く。くす んだ緑色になった山肌に、ポツンポツンと色づいた木々が めだちはじめた。稜線をいく道にはドングリやイヌブナの 実が落ちている。坂が急になると、岳彦は落ち葉で足をす べらせて悪戦苦闘。手もまっ黒。

 でも、空気はさわやか。みんな、いい気持ち。遥子が一番快調で、背負子にのっ て楽ちんの峻二は、葉っぱをつかもうと伸び上がったり、 「んぷ−、んぶ−……」と元気に声をかけたり。山頂にだ いぶ近づいたあたりで、岳彦が「もうオンプして」「あき ちゃん、もう、ここでやすむ」とベソをかきはじめるが、 先をいく遥子のチョコレートにつられて、気をとりなおし てエイヤとすすむ。ドングリもポケットにいっぱいひろっ た。

 雲取山が見える山頂へ。大休止で腰をおろした場所から は、7合目まで雪をかぶった富士山が見えた。大きい。ガ スがやってきて、その姿をいっペんにかき消してしまう。

 初めて、山の頭上にたった人・峻二(0歳11カ月29 日)

 初めて、頂上に自力で登った人・岳彦(4歳1カ月)

 下りは三頭の大滝回りのコースにする。沢を何度も渡り 返し、足元の悪い道だが、平らなところがないだけ効率よ く下る。濃い霧がでてきて夕暮れのよう。岳彦は最後まで 歩ききり、大得意。峻二は背中で揺られ、沢音を聞きなが ら眠りこけて山を下りた。

            



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