ブナ林できのこ採りつつ 雲取山家族登山 1992年10月10日〜11日 ![]() 秋口まで続いた雨不足で今年のキノコ・シーズンはまだ本格的な収穫に恵まれません。 このところの降雨でどれだけ挽回しているかと期待しつつ、奥多摩・雲取山のブナ林を訪 ねました。 十日、立川市から車で二時間余。一二時半に後山林道の車止めに到着。ガケの擁壁工事 のため、林道終点まで三〇分歩き、三条の湯への登山道に入りました。沢は豊富な水量で 、色づき始めた葉を映しています。夫が、山側の急斜面の倒木にいっぱい張りついた白い キノコを見つけ、「おっ、ブナハリタケだ」とよじ登り始めました。息子二人と先に三条 の湯(標高一一〇〇メートル)に着いて待つと、竹カゴをうれしそうにかかえて追いついてきま した。 昼食後、一四時半発。登山道はイヌブナ、ナラ、シイ、クヌギ、クリなどの自然の林を ぬって進みます。「こんなに規模の大きな美しい林が残っているなんて」とびっくりさせ られました。奥多摩に多い杉の人工林はここでは見当たりません。子どもたちはドングリ を拾ったり、数は少ないながらも、ときどき現れるキノコの名前を調べたりして、えらく ゆっくりしたペースで足を進めます。途中のブナの林のなかでは、姿が美しいフチドリツ エタケが採れました。林道のすぐ上の沢筋に横たわるブナの倒木に、ブナハリタケがびっ しり付いているのも見つけましたが、もう、時間がないので下りの楽しみに。 一七時すぎ、やっと稜線の三条ダルミに出ました。シカの鳴き声が聞こえます。ここか ら夕闇の中を山腹をトラバースし、一七時四五分、真っ暗になった雲取山荘に着きました 。小一の二男には、ちょっと怖い道だったよう。連休で小屋は超満員です。満月の下にひ ろがる都会の夜景に、「東京都の最高峰」を実感しました。 十一日は雨模様の天気。ゆっくり起きてホットケーキの朝食を作り、八時前に山荘発。 雲取山頂(二〇一七メートル)は霧の中でした。でも、黄や赤に色づき始めた木々を眺めつつ、 三条の湯への道を下ります。 登りに目をつけていたブナの倒木には、ムキタケも生え出していました。小一時間もか けて採って、もうカゴはいっぱいです。道を横切る倒木にもヌメリツバタケ、ウスヒラタ ケ。「おや、あれは?」とヤブをこいで道から外れると、ヌメリスギタケの株でした。三 条の湯の周辺ではブナシメジも採れ、一三時すぎ、林道の車止めに下り立ちました。 「大収穫だ」と息子たち。夫のうれしそうな顔は、キノコを肴にしての今夜の酒を想っ てか・・・。東京都内に、こんなすばらしい自然が残っていることに、大満足の山行でし た。 |