鶴峠から、三頭山の前衛峰の小焼山へ


2008年2月17日 2人パーティー


 東京の多摩地域には、この20日ほどの間に 2度の「大雪」がありました。気にかけていた 「あのコース」から三頭山(1531メートル)へ登るには良いころ あいになったと、出かけることにしました。
 三頭山というと、東京都側の「都民の森」な どのブナの樹林帯が思い浮かびます。が、山梨 県の小菅村、上野原町の側も部分部分に自然林 は広がり、とくに鶴峠からの尾根の南西面は小 菅村から見上げると大きな自然林がつながって います。
 この鶴峠から三頭山の間の尾根には登山道が ありますが、樹林とヤブのなかの道のため、晩 秋から春先にかけてがトレースするには良い季 節になります。 

 西多摩の自宅から、登山口の鶴峠までは50 キロ、1時間20分の行程。午前8時25分に 登山口の3台だけの駐車スペースに着きました。



小焼山へのルート。GPSトラックログを赤いラインで表示。
山旅倶楽部より国土地理院25000分の1地形図を使用。カシミール3Dによる  


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東京・西多摩の自宅(7時02分)車→鶴峠(870メートル 8時25分着)
鶴峠(8時50分発)→1087メートル峰手前(9時20分、食) →右から夏道が合流・ブナ林(9時52分)→向山からの夏道との分岐 (1263メートル 10時42分、食)→小焼山(1322メートル 11時16分)→ 鶴峠(12時55分)
鶴峠(13時10分)車→自宅(14時45分)

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ふもとの西原の集落では、梅の蕾がひらきかけ  



登山口の様子  

 8時50分、登山口を出発。林道状のルート を進みだす最初から、雪の上に乗りました。
 5分ほど先で尾根の形が明確になったあたり で、登山道を離れ、尾根筋を忠実にたどるルー トをとりました。積雪は30センチ弱。ヒバや 桧の植林地の急な登りになりました。
 尾根の左(南西側)には、細い林道のような 道、右(南東側)には登山道と思われる道が、 それぞれ斜面をトラバースしながら伸びていま す。



登山口の上は林道状の道をすすむ  



林道を離れて、尾根を登る  

 登山口から15分ほどで、小さな鞍部に出ま した。登山道が、右手から鞍部に登り上がり、 尾根の左へ移行しています。積雪は30センチ を超えました。登山道に先行者の踏み跡はあり ません。ここから上部は、登山道は尾根南西面 の急な樹林帯を進んでいるため、窪んだ道の上 では雪はより深い。先には小さな崩壊地形もあ ります。
 安全なのは尾根筋です。引き続き、尾根を忠 実にたどって登り上がりました。尾根は明るく 、ヤブは雪の下に隠れ、葉を落とした樹木は冬 らしい美しい眺めです。少し開けた平坦地を見 つけて、和菓子と熱いハーブティーで一服。着 けずに我慢してきてしまったアイゼンを、ここ で装着しました。
 GPSで現在地確認。1087メートルの細 長いピークの手前に、上がってきたようです。



ハリギリの冬芽  



コシアブラの冬芽  

 尾根を引き続きたどります。アイゼンは、急 な登りではとても楽。でも、雪の下に、ときど き太い枝や石の角などがあって、足元をとられ ます。尾根の雪の上には、ときどき、たくさん の鹿が進んでいった跡があったりします。彼ら はルートどりは気まま。何か見つけたり、気が 向くたびに、全体が、あるいは数頭づつが、左 右に出入りします。



尾根筋をすすむ鹿の群れの足跡  



鹿がリョウブの皮を剥いて食べた跡  

 左手から小さな尾根を合わせた先で、明瞭な鞍部に出ました。周 囲はブナ主体にする森です。さきほどの鞍部で尾根の左斜面を伸び ていったはずの登山道が、また右から合流してきます。気がつかなかったけ れども、夏道がどこかで、尾根を乗り越えていたのかな?



ブナの大木  



三頭山のブナ林は、この尾根筋にも広がっていました  

 このあたりから地形が少し険しくなり、左の 斜面をすすむ登山道は、前方の樹林で相当な斜 度の雪面に入り込んで行きます。
 ともかく、尾根をルートに使える限りは、ど んどんこれを進むだけです。
 鞍部から尾根への登り上がりは、急で、ジグ ザグを切って上がりました。風で独特の樹形を 見せるブナがありました。尾根の右側は植林地 ですが、左側には斜面のずっと下方まで大きな 自然林が広がっています。



向山への夏道の分岐付近の尾根で  



向山への夏道の分岐から、小焼山・三頭山方面への夏道  



きのこ  

 10時42分、尾根上のヤブがやや強くなったなかを、小菅 村の向山から上がってくる尾根との合流地点ま で上がり、2度目の休憩。
 尾根の小さな高みのすぐ10メートル下で、 並行してきた登山道と、向山からの登山道が合 流しています。
 ふりかえると、鶴峠の向こうに和名倉山から 、南へ松姫峠、大マテイ、そして大菩薩嶺への 稜線が標高よりもずっと大きな姿連なっていま す。左背後の小金沢連嶺も、2000メートル 級の峰を連ねていますから、雪化粧をして立派 です。

 そろそろ11時です。登山口までの車のなか で電話があり、長男夫妻と孫が、今夕、突然や ってくることになりました。迎える準備を考え ると、下山は14時すぎとしないといけません 。往復5時間で大丈夫かも?と思ってきたので すが、まだ三頭山までの行程の半分しか到達し ておらず、予定した山頂往復はむずかしそう。 ラッセル気味の行程で、夏の2倍近い時間がか かっています。

 地図で、20分ほど先のピークに小焼山があ ります。前方を見ると、ひょっこり明確な高み になっていて、雪も一段と深そう。あそこまで 行って来ようということで、登りだしました。



小焼山への登り  

 地形がまた険しくなり、尾根の稜線部分は岩 場と潅木まじりで、少し迂回します。そのため 、夏道を進んでみたのですが、積雪は40セン チ余り、ときに50センチ以上の吹き溜まりが あり、ラッセル気味になりました。
 左へ落ちる斜面が急傾斜になると、雪がほど ほどに柔らかく、また固すぎないからいいもの の、クラスとなんかしていたら、スリップが怖 い地形です。
 小焼山を通り越すあたりまで進んで、ようや く斜度が緩い登高ルートが、このピークの山頂 まで続いているあたりから、夏道沿いを離れ、 樹林帯の斜面を登りだしました。斜度がまだあ るので、木の枝をつかんだり、電光形を切って 、上がって行きます。



小焼山の山頂。右後方は三頭山方面  



小焼山から、眼下に小菅村の集落。その上は大菩薩嶺方面の稜線  

 11時16分、小焼山の山頂着。「1322m」と標高を書いた 小さな板が掲示されていました。好ましい雰囲気の ピークです。
 西面の眺め。奥多摩のダム湖のもっとも上流部分が見下ろ せました。その背後に石尾根の稜線。雲取山、 飛竜山から笠取山方面への奥秩父の稜線も見え ます。が、その後方や大菩薩側は、雪雲に包ま れ、しかも雪雲は小菅村の上方に広がってきま した。まずは、願っていた眺めでした。樹幹越 しなのが難点ですが、この標高からですから、 奥多摩としては良い条件でしょう。
 進行方向前方には、三頭山がかなり近づいて 見えます。まあ、次の機会に、また来ましょう 。この時期に、同じ程度の積雪で来る場合は、 あと2時間は早立ちしないと難しそう。それと 、尾根にところどころある難所や、条件が悪い 雪質の場合なども考えると、ピッケルも含めた 装備も用意だけはしてきたほうが、良さそうで す。まあ、使っても部分的ですが。私たちも、 急な雪面では、12本爪アイゼンに助けられま した。



ウサギの足跡  

 下山です。登る途中、色合いの美しさや、防 寒装備の見事さなどから、いろいろな木の芽が いっぱいあったので、今度はそれらを撮影しな がら下降して行きました。向山の分岐の直前で 、短い区間だけ夏道をまた降りてみましたが、 ラッセルの大変さのため、尾根のトレースに戻 りました。
 風に乗って飛んできた雲が上空の青空を隠し ます。小雪が頬にあたり、耳が冷たい。帽子の 耳被いを下して、防御です。



クルミの冬芽?  

 途中、要所で夏道の確認もしましたが、かな り下った位置で試しに下りてみたら、折り返し て植林地をひどく下りだしているので、またヤ ブコギで尾根に合流したりしました。夏道は、 この時期、とくに下降に使うと、なかなか難し さがあります。下部では見通しが今ひとつの樹 林帯の下降。自分たちのトレースがあればこそ 、迷いもしません。冬のピストン登山はいろん な意味で合理的だなと思いました。
 12時40分、登山口の鶴峠に下りつきまし た。



  






 
山の便り、大地の恵み (野原森夫)  
http://trace.kinokoyama.net/