榛名・掃部ヶ岳から上越国境の山々の眺め

2002・11・23 2人パーティー



 榛名山は関越道の高崎インターあたりから先で、いつも間近に眺めることが できる山々です。最高峰は掃部ヶ岳。山の形では、富士山そっくりの榛名富士 や、するどく頭を尖らせた榛名相馬山などが、個性的です。
 この榛名山に、初冬の季節の、展望のいい時期に、初めて登ることにしまし た。めざすは、掃部ヶ岳。四周の見晴らしの良さでは、相馬山に劣りますが、こ の山の楽しみは、山頂からマニアックな「山座同定」で北アの白馬岳を見ること ができることです。

 白馬岳は、掃部ヶ岳の山頂から北西の方向、四阿山(あずまやさん)の右の鞍部 越しに、白い頂をのぞかせています。
 この眺めを紹介したのは、「山の展望と地図のフォーラム」(FYAMAP)のEOSさ ん。白馬岳をのぞむこの「展望の窓」は、「EOSコル」(展望名鞍部)の代表的な一つとして、記 憶されています。

 EOSさんは、山岳展望ソフト「カシミール3D」(DAN杉本さん製作)を駆使し、国土 地理院数値地図をもとに、バーチャルでとっても美しいCG展望画像をつくりました。

 そして、バーチャルなこの眺めを現実に確認し、撮影したのは、同じFYAMAPの TYFさん。TYFさんは、まず2000年12月に双眼鏡で、「EOSコル」越しに白馬岳 が見えることを確認。さらにTYFさんは、翌2001年11月23日、澄んだ空気の 朝、再び掃部ヶ岳の頂に登りました。光学10倍ズームのデジカメのレンズを、周囲 の樹木の枝をかいくぐらせて、「EOSコル」方面へと向け、白馬岳の姿を写真 の画像としてとらえました。



EOSさんが「カシミール3D」で作成した、掃部ヶ岳から白馬岳の、展望CG画像
四阿山の右手の鞍部越しに、白馬岳が見えることを、予測した。
国土地理院数値地図50メートルメッシュ標高を使用。
EOS-Ai's Homepageの「カシミールMVQ」のbWを参照




TYFさんが、2001年11月23日、掃部ヶ岳山頂から撮影、確認した、EOSコル越しの白馬岳。
木の枝のとても小さな隙間越しに、EOSコルの彼方の白馬岳をとらえました



 今回、私が登った11月23日は、初めて、「EOSコル越し の白馬岳」のマニアックな展望がTYFさんによって撮影された、とっても縁起のいい 記念日にあたっていたわけでした。

 前日夜の天気予報では、移動性高気圧が本州を覆い、広い地域で晴天。しかも長 野も新潟地方も晴れの予報とあって、期待をもって準備をしました。
 ところが、翌23日、朝、東京地方は本曇りの空。関越道を走る途中、新潟県側は 霧が濃いと告げています。季節はずれの台風が南海上に現れたので、様子がちがったかな、と がっかりしました。群馬県に入っても、榛名山も、赤城山も、浅間山も見えません。ひ どく落胆しましたが、空が明るくなってきたので、まだ期待を残して走りました。

 渋川インター手前で、榛名と赤城の山々がすこしかすんで見え始めました。
 「あの雪山は、谷川岳だよね?」と同乗の妻がいう方角を見ると、稜線、尾根筋が明 るく照らされた谷川岳が正面に見えます。上空は晴れ出した様子です。
 遅出が、今日は幸いしたよう。どんどん雲が消え、青空が広がり出すなかを、榛名湖へ。



榛名湖畔の高台から、左が掃部ヶ岳、右の岩の峰は硯岩。
写真右端の樹林の中の建物が、国民宿舎で、登山口がある



 登山口の目印は、吾妻町営国民宿舎榛名吾妻荘の鉄筋のビルです。この国民宿 舎のすぐ手前を左に上がると町営駐車場。登山口は、国民宿舎の北側、40メートル ほど先にありました。
 11時20分、登山口発。

 初めての場所なのに、こんなに勝手がわかるのは、「山の展望と地図のフォーラ ム」の「展望会議室」の♯17120、♯19197のTYFさんの報告(2000年12月10 日、2001年11月23日)をしっかり読んできたからでした。

 雪化粧の山を歩けるかなと、アイゼンなどの装備を用意してきたのですが、掃部ヶ 岳にはまったく雪は見られませんでした。ごく軽装で出発しました。

 登山道は、落葉広葉樹が主の樹林のなかを、ゆるやかに登っていきます。11月も下旬に 入り、葉はすっかり落ちて、明るい陽だまりの道です。足元に落ちて積もる枯葉は、す でに色を失い、みな灰色にくすんだ茶色に変わっています。
 急登に入ると、すぐに硯岩との峠に出ました。ここから南西に向かう樹林の尾根道を すすみます。地面は霜柱で覆われ、土が固く凍ったままの足場もありました。展望を気 にしてきたので、枝越しに見え隠れし始めた上越の雪山が気にかかります。

 北東の奥日光の方面を見ると、烏帽子ヶ岳と鬢櫛(びんぐし?)山の間に、ずんぐり頭の雪化 粧した山が見えています。日光白根山です。
 鬢櫛山の左(北北東)には、大きな雪山が、近い距離に見えます。武尊山です。その左奥には 至仏山が薄雲の彼方に浮かんでいます。そのさらに左奥は、山容からいって平ヶ岳で はないでしょうか。
 どの山も、木の枝や樹幹越しの狭い「窓」のかなたに見え隠れし、方角と位置 を考えつつ眺めるので、名前にたどりつくのに苦労します。

 急登を登りながら、右手(北から北西)に展開する雪山の眺めを目で追い続けます。双 眼鏡も取り出しました。
 尾根からは、やはり部分、部分の眺めながら、谷川連峰は平標岳まで全山が見えています。双耳峰 の谷川岳は、この位置からは耳がかなり接近して見えます。

 山頂の下のやせた小さな岩場では、ずっと北西側に志賀の山々と、岩菅連山の特徴あ る姿がとらえられました。すると、その間にあるのは、白砂山や上越国境のをつなぐ稜線 となりますが、私には名前は出てきません。それにしても、枝越しの切れ切れの映像ではな くて、これがまとまったひと連なりの眺めで目の前にできるなら、本当にすばらしい展望の 尾根になるでしょう。

 11時59分、掃部ヶ岳の山頂に着きました。4パーティー20人ほどが、狭い山頂で休ん でいました。
 上越の山々の視界の大半は木の枝でさえぎられ、私に、いま、与えられた窓は、とても限定された ものです。その窓から撮影して、つぎの山が同定できました。
 中ノ岳、かろうじて枝の陰に越後駒、烏帽子岳と朝日岳(大きい)、谷川岳、一ノ倉岳、芝 倉岳、万太郎山、仙ノ倉山。



掃部ヶ岳の山頂から樹木の枝越しに上越国境の山々



掃部ヶ岳山頂から谷川岳方面の展望CG画像。カシミール3D(DAN杉本 作) で描画。
国土地理院数値地図50メートルメッシュ標高を使用



 今度は南から南西側。こちらは崖状ないし急傾斜の地形で、60度くらいの視野が開けて います。逆光気味ですが、浅間山が立派。雪が山肌の半分ほどに付いています。
 その右、優美なスロープでせり上がっているのは、四阿山。間の鞍部に白い山脈の一部が ぼんやりと見えています。そのうち写真に写った、山稜が鋭角の山は、針ノ木岳と蓮華岳のあ たりでした。

 EOSコルは、四阿山のさらに右の鞍部です。でも、山頂と、そのすぐ下(杖の神峠方面ルー ト)にも少し下っていい位置をさがしましたが、うまく見通せる場所がかぎられています。木の 枝が密に重なり合って視界をさえぎり、遠景を見通せる「小窓」を見つけるのに苦労します。そ して、肝心の白馬岳方面は、もやでもかかっているのでしょうか。それとわかるものが確認でき ません。



山頂にて。右後方に、上越の山々が木の枝越しに見える狭い「窓」があいている


 私の位置どりもうまくなかったのかもしれません。居鞍岳方面へも少し移動してみましたが、こ ちらもだめ。それに、こちら側はトイレに使われていて、一面、臭いやごみが目立ちます。
 時間が遅すぎたせいもあるのでしょう。枝の混み具合も去年からまた変化してきたのかもしれ ません。カメラも3倍×テレコン1.85倍で、非力でした。

 また今度、もっと気温が低い、澄んだ空気の日に再訪しましょう。
 甘酒で、今日の晴天と展望に感謝して、妻と乾杯。
 上越方面の山々を撮影するため、双眼鏡とカメラを首にかけて、またゆっくりと同じ尾根を登 山口へと下りました。午後の時間帯にはいっても、雲一つない晴天が続き、上越の山々をもう 一度、確認しながら、帰ることができました。

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東京・西多摩の自宅(8時45分)車→榛名湖畔・町営駐車場(10時55分着、11時15分発)→ 掃部ヶ岳登山口(11時20分)→硯岩との鞍部(10時35分)→掃部ヶ岳山頂(11時59分着〜 12時37分発)→往復コースで下山→町営駐車場(13時20分着)→帰宅

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 TYFさんが掃部ヶ岳山頂から撮影した、北アルプス。



 左端に山頂部だけが鋭角的に見えているのが、水晶岳。その右に野口五郎岳。
 写真中央は三ツ岳と右に烏帽子岳。その右(奥)には薬師岳も見えています。
 榛名山地が、北ア方面もよく見通せる、すばらしい展望の山であることがわかります。
 こんどは、空気が澄んだ日に、掃部ヶ岳の山頂に立ちたい! と思わせてくれる写真です。
 




山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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