奥多摩――御前山

1986年11月30日 岳彦(4歳)と



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山頂へ元気に登る


 大岳山、御前山、三頭山の三連山のうち、一山だけ登っていなかった御前 山(1405メートル)に、岳彦と二人で登った。

 11月も末になると、奥多摩の山もさすがに冷える。境橋から1時間半ほ どの大滝(標高800メートル)の付近からは、登山道に雪がついていた。登り もぐんときつくなって、岳彦を励まし、励まし、ようやく頂上下の避難小屋に 着く。




新雪が珍しくて、盛んに触る





微妙な味・・・。塩味は鼻水のせいだぜ


 どんな小屋かなと楽しみにしてきた御前山の小屋。木造の古い小屋で、 内部は土間の休み場とタタミ4畳分ほどの床がある。そばに水場もあり、感 じがよい。屋根に吹き抜けや煙突がないから火は焚けず、冬期は寒そう だが、一度、泊りに来てみたいところだ。
 先に来ていた東村山(?)あたりの先生 たちのパーティーに、岳彦は可愛がられた。「ボク、えらいね」「がんばったね」。 親以外の人に声をかけられると、俄然、力が出てくる岳彦だった。あったかいおでんをいただいて、おにぎりだけの昼食 にする。
 (その後、2006年に御前山を再訪したときは、すっかり立派な小屋に変貌していた。)




山頂へ向かう。途中にドラム缶橋方面との分岐。岳彦はうとうと





当時、御前山の山頂には掛け小屋があり、山麓からおばあちゃんが店番に来ていた。


 しかし、一休みしているうちに、岳彦はまぶたが重くなる。眠たそうな岳彦を背負子にくくりつけて、新雪を踏んで山項をめぎす。
 ひと登りで着いた頂上には掛小屋があり、ふもとの栃寄から通ってくるという おばあちやんと飼い犬が迎えてくれた。「今日はもう人が来ないようだから 帰る」という。いつの間にか眠りこけた岳彦を背負って、こちらも西に傾き だした冬の陽に追われるように、すぐ下山だ。

 ところが・・…。

 奥多摩のダムまでまっしぐらに下る大ブナ尾根は、大変なコースだった。 雪が融けて、ツルツル滑るドロ道が、すごい傾斜で続いている。岳彦を背負 ったままツーッと尻滑りをしてしまい、体はドロだらけになった。起きて歩 いてもらわないと帰ることもできなくなる。ベソをかく岳彦の手をひいて、 えんえんと続く急板をダムヘと向かった。
 ブナの林はなかなかいいけれど、 下りにこのルートを選んだのは失敗だった。岳彦は二、三歩下りるごとに、 尻滑りを繰り返す。2時間もこんな下りが続いて、ようやく夕暮れの奥多摩 のダムにたどりついた。


 バスに間に合って、奥多摩駅へ。とりあえず、家には帰ることができる。カミさんに電話。
 男2人の短い山旅は、完遂した。




真っ暗の奥多摩駅から、電車に乗る






山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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