湯ノ丸山――スキー登山、北アの展望

2000年3月11日  パーティー  野原森夫、長男、二男



正面が、湯ノ丸山

東京の西多摩・自宅(5時06分)→圏央道青梅インター(5時17分)→ 関越道鶴ヶ島ジャンクション→上信越道佐久PA(6時45分、朝 食、7時20分発)→地蔵峠・湯ノ丸スキー場(7時45分、荷造 りなど、8時45分発)→スキー場を登る→ツツジ平・鐘がある休 み場→二男が初めてのシール登高で悪戦苦闘→湯ノ丸山(11時0 5分、昼食、撮影、12時06分発)→滑降→地蔵峠(12時42 分、13時15分発)→自宅(15時14分)

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 空気が澄んで展望がいい時期のうちに登りたい。そんな山がいくつもあるのに、季節 はどんどん過ぎていく。今回は子どもたちもいっしょに行きたいと いう。スキーで登ることができる山、もし運がよかったら目の前に 北アルプスが眺められるかもしれない山ということで、湯ノ丸山に 行くことにした。

 前の晩、予想天気図を見ると、冬型がゆるんで、高気圧の峰が長 野、関東に張り出していたが、11日には西日本から低気圧が近づ いてくる。予想気温はやや低め。雪が上がったばかりの山々が姿を 現してくれないかと思いつつ準備をした。シール登高は、子どもた ちは初体験。シールも数が足りず、学生時代の古いシールを屋根裏 から引っ張り出した。

 朝4時起床。空には雲がかかっていて、星がところどころしか見 えない。5時すぎに家を出発。関越道を走って、榛名山、赤城山、 浅間山が顔をみせたものの、薄いモヤをかぶっている。遠望はダメ かもしれない。

 地蔵峠に8時前に着いた。「リフトに乗るか」「いいよ、スキー 場をまっすぐ登ろう」。用意には手間取ったけれど、気合は十分で 出発した。リフトの終点からはいよいよツアーのコースになる。カ ラマツの樹林が左手に広がり、右手は夏のあいだの牧場の柵が続 く。「静かでいいよ。こういうスキーをやってみたかったんだ」と 長男がいう。昨日の新雪が10センチほど、古い雪の上にのってい る。

 平坦な尾根をすすんで鐘がある休み場をすぎると、ようやく湯ノ 丸山の頂上へと続く登り。長男が先行する。二男は、傾斜が少しき つくなると、雪面にシールをうまく押さえ付けられずに、ずりずり と後ろすべりする。「かかとでしっかり雪を踏みしめるように押さ えつければ、すべらないから」とアドバイスするが、なかなかピッ チが上がらない。傾斜がある斜面では、大きな電光形に、なるべく 登りやすくコースをとって、登っていった。

 空は高曇り。太陽はなんとか場所がわかるくらい。でも、展望は 意外にも開けてきた。日光の男体山、双眼鏡では薄い雪雲の中に奥 白根山も見える。武尊山は雪が舞っているようでぼんやりしてい る。背後の尾瀬と会越方面は濃い雲の中だ。谷川岳も薄くモヤがか かっているが、厚くかぶった雪が薄桃色に光っている。上越国境か ら志賀高原にかけての山々は完全に姿を見せている。
 南の方面を見ると、富士山が大きい。奥秩父と八ヶ岳も全容を現 している。本当に、こんなに周囲の山々が見渡せるなんて、予想も しなかった。北アルプスはどうだろう。




湯ノ丸山から、左端が立山別山、爺ガ岳の上 に剣岳、その右が鹿島槍ヶ岳、右端が五竜岳



 11時すぎ、湯ノ丸山の山頂に着く。山頂下の雪面に風除けの雪 穴(タテ穴)が掘ってあって、長男はここに入って待っていた。
「剣岳をさがそう」「見えるの?」「雪雲が切れているかもしれな いよ」
 山頂に立って、一気に西から北の方角の展望が広がる。う わーっ、去年(四阿山)と同じだ。北アが全部、見えてるよ。
 空は曇っていて、くっきり度はいま一つだけれど、山はみなしっ かり姿を現していた。去年、四阿山から見えたかどうか、悩みの種 で、その後、WARABIさんの黒斑山からの写真と対照させて見えてい たことが確認できた水晶岳も、この角度からは東沢乗越の上に双耳 峰をくっきり見せている。今年は雪が多い。
 長男は双眼鏡で大好きな剣岳をさがしている。爺ガ岳あたりの上 に山頂部だけ姿を現しているのを見つけて、喜んでいる。
 北アは白馬岳の先まで、よく見渡せた。個性的な山容を連ねた妙 高と戸隠の山々も全部、見えることができた。
 御岳山も見えるのに、南アルプスが見えない。雲にすっぽり隠さ れているのだろうか。八ヶ岳から蓼科山へ、稜線を双眼鏡でゆっく り観察したら、北横岳あたりの上に、ずいぶん高い岩の頂が顔を見 せている。あれが北岳かもしれない。方角はいいのだろうか? 右 には、もう一つ、甲斐駒か何かの頂上がちょっぴり見えていた。

12時すぎに、二男を先頭に地蔵峠に引き返す。滑降を始めてす ぐに、二男ははるか下方へ下ってしまった。長男は滑り止めを掛け 忘れて、片方のスキーを100メートルほど下へ流してしまった。 幸いブッシュで止まった。牧場方面へ落としたら、回収不能となる ところだった。
 夕べの新雪で、スキーが適当にもぐって、スピードが落ちるの で、へたな私には好条件。ときどき遊び心でカラマツや潅木の斜面 にコースを選ぶ。3人が互いに視界で確認しあいながら、30分少 しで地蔵峠まで降り立った。
 苦労した二男も、帰りの滑降ですっかり機嫌が直り、「おもしろ かった」という声が出た。

 展望は、高いところに登ってみないと、わからない。下界のモヤ にだまされてはいけない……。つくづく思い知らされた山行だっ た。






山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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