ブナの鍋倉山。飯山市の茶屋池から往復

2001年9月8日
2人パーティー(妻と)






 ブナの「巨木の谷」があることで知られる飯山市の鍋倉山(128 9メートル)に登ってきました。巨木の谷に入るには、道がわかりに くく、地元の人の案内が必要なため、今回は遠目に眺めるだけにし、 関田峠の下の茶屋池から、県境の稜線の登山道を往復するコースをと りました。

 関田峠から稜線の登山道をたどると、山頂への標高差は150メー トル。(^^;
 往復3時間弱の行程です。
 日本海の海岸線や、奥志賀の眺めは、雲が多くて、なし。巨木はな いコースだったものの、終始、ブナの木の中をたどる道で、きのこを 愛でながら、歩くことができました。

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7日
東京・西多摩の自宅(8時25分発)→車(川越から関越道)→塩 沢・石打インター(11時27分)→津南町の蕎麦屋で昼食→関田峠 (13時25分)
雨のため、この日の登山は中止して、野沢温泉で一泊。
8日
野沢温泉(9時19分発)→温井集落(9時31分)→茶屋池ハウ ス・登山口(9時56分着、10時13分発)→茶屋池を南側からま く歩道をたどる→県境稜線の登山道・茶屋池分岐(10時30分)→黒 倉山(11時02分着、同13分発)→鍋倉山(11時29分着、 食、同54分発)→黒倉山(12時10分)→茶屋池分岐(同40 分)→茶屋池ハウス(同56分着)
→飯山線・上境駅そばの湯滝温泉で汗を流す→夜は、飯山市富倉地区 に泊る。
9日
飯山→小諸→佐久→十石峠→上野村→秩父をへて、帰宅。大雨。

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 9月の7日か、8日、どちらか天気がいい日に鍋倉山に登ることに して、出発しました。

 7日は、鍋倉山のふもとの温井の集落に入ったあたりから、雨が落 ち始めました。田茂木池まで上がると周囲が開けて鍋倉山の南東斜面 が間近に見えてきます。
 「巨木の谷」は以前、テレビで紹介されたことがあります。そのと きのビデオを出発前に見て、映像で、谷の地形の特徴を覚えておきま した。離れた位置からも、谷の位置がよくわかります。その谷には直 径1メートルを超す大きなブナの木が200本前後も並び立っている とのことですが、なるほど、ずいぶん大きな、そして背丈のあるブナ の木が集まっています。
 さらに車道を上がって、茶屋池まで上がる途中、踏み跡をたどって この谷に入る入り口らしき地点があり、小さな駐車ポイントもありま した。

 登山道の起点の関田峠では、道路に水柱が立つほどの本降りの雨に なってしまいました。今日の登山は、断念。下見だけにして、明日の 好天を願って、山道を下りました。
 帰り道、温井の集落から4キロほど北東にある「なべくら高原・森 の家」に立ち寄り、「巨木の谷」のルートについて、次に来るときの ために情報を収集してきました。「谷」の位置はまちがいなかったも のの、そこにいたる道はやはりわかりにくく、しかもいろいろな踏み 跡が錯綜しています。途中で立ち消えになるルートも。また、ルート そのものが「概念図」に近いものはあっても、地図上に正確に落とし たものは、得られませんでした。やはり、見通しの利く積雪期の入山 がベストです。

 今回はブナの巨木・森太郎(ブナとしては全国第7位ともいわれ る)の訪問はおあずけになるものの、資料は、この次、残雪期に訪問 するときの、大事なデータになりそうです。
 夜は、野沢温泉に泊りました。

 9月8日。朝、宿の窓から青空が見えました。今日は登れそうで す。
 野沢温泉からは、千曲川をはさんだ反対側が、鍋倉山です。千曲川 の橋をめがけて下って、橋を渡って、登り返して。10数分走ると、 登り口の温井の集落に着いてしまいました。
 2軒ほどしかなかった店にお茶を買いに寄った妻と、店の女性との 会話。
妻「(鍋倉山のパンフレットを見て)昨日、雨の中、上の峠まで下見 に行ったんですよ」
店の人「(半分、あきれながら)そうだったんですか。鍋倉山は、な かなか顔を出さない山で、晴れていても、見えないことが多いんです よ」

 そのころ、車に残った私は、目の前に山頂部に雲がかかった鍋倉山 を見て、カメラを出そうとしていました。ところが、車の中に見当た らず、家に置いてきてしまったことを知り、がっくりしていました。
 まあ、ともかく、ここまで来たら、登って、この目に日本海や奥志 賀の山々の眺めをしかりと刻み付けるしかありません。ところが、車 へもどった妻の話を聞くと、その展望も鍋倉山ではなかなかむずかし そう。「眺めはきびしいかもしれない」と思いつつ、車を走らせまし た。

 関田峠の少し手前にある茶屋池のほとりに、10時前に着きまし た。昨日の偵察と情報収集で、この池を起点に池の南側を周回する散 策路を使って、稜線の登山道に出ようと相談してきました。池のまわ りをたどるこの道は、ブナの木がよく成長していて、歩く楽しみも多 いと判断したためです。

 10時13分、茶屋池ハウス前を出発。
 稜線の陰になる場所だけに、池の付近には直径7、80センチほど までのブナの木が見られます。一方で、冬の多量の積雪で地を這うよ うな姿になって伸びていく若い木も目立ちます。樹林の中の道は、き のこが目立ちます。チチタケ、ムラサキフウセンタケ、ドクツルタ ケ、そしてツチカブリのりっぱな群生などもあって、カメラを忘れて きたことが悔やまれました。

 池の南西端までいくと、そこにブナの太い木に囲まれた気持ちのい い広場がありました。周回の散策路を離れ、左手に分かれる踏み跡を たどって、稜線の登山道に合流しました。
 このあたりは、筒方峠という古い地名があるところで、小さな池や 湿地があります。

 合流地点から黒倉山まで、稜線通しの道となり、やはりブナが中心 の樹林が続くものの、季節風と降雪とで、根元が屈曲した若く、細い 木ばかりになってしまいました。それでも背丈は数メートルはあっ て、ずっと、ブナの木の葉のトンネルは続きます。

 道は、稜線(尾根)の新潟県側をおもにたどります。不思議だな、 なぜ、尾根のてっぺんをたどるように道を開かなかったのだろうと、 登りのときに考えながら上がりました。帰りに上から眺めてわかった のは、この県境の稜線にそった断層面で、新潟県側に長い地滑りが起 こった地形になっていることでした。そのため、稜線が規模の小さな 二重山稜地形になっているところが多く、二つの山稜の中間は溝が掘 れて、木が生えにくくなっています。省エネで登山道を開こうと思っ たら、だれだってここをルートに選ぶでしょう。

 この区間も始終、きのこが多い道でした。一瞬、シイタケかなと思 わされた若いツキヨタケ、けっこう味がいいムラサキアブラシメジ、 新鮮なハナビラニカワタケ、一番目立つのはUFOがブナの幹にとりつい たようなヌメリツバタケ、誰かに足で蹴飛ばされたセンボンイチメガ サ、きれいなヒメベニテングタケなど。

 途中、わずかな切り開きがあって、新潟県側に視界が開けました。 雲とガスとで海は見えませんでしたが、中腹の光が丘牧場と施設の赤 い屋根が見えました。

 11時すぎ、黒倉山着。新潟県側は完全に開けています。けれど、 見えるのは、光が丘牧場の草地と、赤い屋根の施設だけでした。
 山頂には新潟県から来た2人がいました。この日、鍋倉山の往復で は5パーティー11人に会いました。うち3パーティーが新潟からの 人でした。

 

 黒倉山からは、短い鞍部を越して、500メートルほどで、鍋倉山 となります。
 鞍部には、左へ「巨木の谷」とをつなぐ連絡道の分岐がありまし た。この踏み跡も不明瞭で、地図に正確に落とした図面はない様子で す。私は今回、稜線の登山道部分をハンディGPSでテレースしてデータ をとりました。いずれ「巨木の谷」を訪問するときには、GPSで正確な トラックログをとりたいと思います。(今回、車道から谷への取り付 き点は、GPSのウェイポイントを記録しておきました。)

 小さな鞍部からは、稜線が小規模な二重山稜となり、その間の窪み はぬかるみ、足場が悪い場所です。その区間も短く、そしてルートは 明瞭です。黒倉山から、わずかに16分の行程で、鍋倉山の頂に到達 できました。(11時29分)
 山頂には広さ6畳くらいの広場がひらかれていて、小さな控えめの 祠と、これも控えめの手製の標識(「鍋倉山」)が立ててありまし た。見晴らしはほとんどなく、営林署が刈り払った西側の斜面の彼方 に、関田山地の稜線が望めるだけでした。



 山頂から30メートルほどヤブを漕いで南に下ると、奥志賀の山々 が望める開けた場所があると聞いていたのですが、その方向にも踏み 跡と刈り払いの跡がありました。開けた場所まで降りてみました。も やが濃く、下方に陽光を反射する千曲川と飯山方面の眺めが見えただ けでした。
 山頂の周囲の樹木を見ると、細いながらも、やはりブナが大半で す。鍋倉山は中腹から山頂まで、ずっとブナに包まれた山でした。

 営林署の人たちが作業の合間に休むためにつくったのでしょうか。 ブナの根元に、伐採した枝を水平に並べて、簡易のベンチが設けてあ りました。そこはちょうど、ブナの木陰になるところ。私たちも、そ のベンチで温泉の宿で握ってもらったおにぎりを食べ、このときのた めに持ってきた温泉饅頭をほおばりました。
 東京からははるかに遠い憧れの山の頂に、こうして登ることができ たのですから、やはり満足でした。

 

 下降では、またブナの樹林のトンネルを抜け、きのこの姿を楽しみ つつ、ゆっくり降りました。山頂を11時54分発、茶屋池に12時 56分着。

 車道を下る途中で、正面にブナの谷が間近に見える場所があるのに 気づいて、車を止めて眺めいりました。ちょうど季節風をさえぎる地 形になっているその谷に、周囲からは頭抜けて大きなブナの木が並ん でいます。谷の上部には、ひときわ背丈があり、肩が張った巨木が並 んでいます。あのどれかが、森太郎(直径190センチ内外)かもし れません。(眺めた地点は、地形図で959メートルの標高の地点が 書きこまれているあたりです。)

 

 今度は、子どもたちとスノーシューかスキーで来れるといいねと話 しながら、山を降りました。





山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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