飯縄山―スキーで登って、ぐるりと名山展望

2002年2月16日


 念願の飯縄山に、2月16日、すばらしい晴天と展望のなかを、 登ってきました。
 ルートは、戸隠スキー場からリフトで瑪瑙(めのう)山に上が り、鞍部へ滑って、登り返して飯縄山へ。下降は、飯縄神社のピー クを経て、瑪瑙沢左岸側の尾根を中社スキー場に下り立ち、今度は ここのリフトで怪無山のピークに上がって、車をおいた戸隠スキー の駐車場まで滑りました。
 遠望こそいま一つだったものの、周囲のおもな山はみな見えまし た。目の前に戸隠連峰、高妻山。北アは槍・穂高から白馬岳まで全 て見え、妙高も姿を現しました。そしてガスと雲に隠れていた奥志賀も、 山頂に着いたときにはちょうど岩 菅連山が姿を現してくれました。
 飯縄山は、名山にぐるりと囲まれた絶景の山だと実感しました。



今回のルート。GPSトラックログをもとに、カシミール3Dで描いた。
国土地理院数値地図50メートルメッシュ標高を使用
黄色い直線はリフト利用部分。赤い軌跡はツアーのトラック・ログ。

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東京・西多摩の自宅(5時09分発)車→青梅インター→圏央道→ 関越道(少し渋滞)→藤岡ジャンクション→上信越道→長野イン ター(8時07分)→戸隠スキー場(9時08分着)
戸隠スキー場(9時48分)リフト2つ乗り継ぐ→怪無山→瑪瑙山 (1718メートル、10時07分〜15分)→下降→鞍部(16 39メートル、10時28分〜45分、食、シール付ける)→登高 →飯縄山(12時16分着、32分発)→飯縄神社のピーク(12 時45分〜52分、食)→下降→1750メートルの分岐(13時 32分)→雪庇の尾根→1431メートルのお社・萱の宮(13時57分、 休憩)→上部の林道跡(1370メートルあたり)→1330メー トル付近→尾根から瑪瑙沢へ下降→林道の橋(14時30分)→林 道を徒歩→中社スキー場(15時05分着、同17分発)リフト2 つ乗り継ぐ→怪無山(15時31分)滑走→戸隠スキー場(15時 40分着)
スキー場(15時57分発)→信濃町インター(16時20分)→ 上信越道、長野道、中央道→八王子インター(19時07分)→西 多摩の自宅(19時26分着)

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 飯縄山のスキーツアーは、標高1718メートルの瑪瑙山まで一 気にリフトで上がって、そこから2時間ほどで山頂(1917メー トル)に行けてしまいます。風と視界の2つの条件にさえ恵まれれ ば、楽ちんコースのはず。
 リフト券売り場で聞くと、まず目の前の 4人乗りクワッドリフトで怪無山の最高点に上がり、そこから東へ 尾根を滑走して次のリフトへ乗り継ぎ、瑪瑙山に上がるとのこと。 古いガイドブックでは4つのリフトを乗り継ぐと説明してあるのも ありますが、2つの新型リフトで、わずか20分弱で瑪瑙山の頂に 着きました。(10時07分着)



瑪瑙山からの下降ルートを鞍部から振り返る

 山頂には名古屋からの12人ほどのパーティーが、明日の登高の 下見に来ていました。飯縄山方面を眺めると、2人パーティーが鞍 部まで見事なシュプールを描いて滑走し、飯縄山へ向けて登り返し にかかっています。私は、ギャラリーがいなくなったところを見計 らって、下手な斜滑降をまじえて鞍部へと下降しました。(10時 28分着)
 ここで腹ごしらえをし、シールを付けて、いよいよ登高開始。3 00メートルほどの標高差の登り返しです。



鞍部手前から飯縄山への尾根道を見上げる。ガスが晴れてきた

 飯縄山への尾根は、瑪瑙山側にくらべてかなり細く、遠目に眺めたときには心 配しました。が、取り付くと雪面を電光形に切って登るだけの幅はあ ります。最初の小さな高みの登りで1ヶ所だけ、岩が露出している ところがあり、ここはスキーを担いで上がりました。
 100メートル分ほど登り返したあたりで振り返ると、瑪瑙山の 右手後方に、真っ白な鋭角の山が姿を見せています。高妻山で、な かなかの高さです。ずいぶん稜線の傾斜がきつい。その左には屏風 のように戸隠連峰の岩山が連なっています。至近距離だけに、いず れもすごい迫力。天気予報通りで、ガスがうまく消え始めてくれま した。目指す飯縄山頂も、姿を現し始めました。



飯縄山への登りの途中から、白馬岳〜戸隠〜高妻山のパノラマ

 空は快晴。ほとんど風もなく、顔が熱い。久しぶりのシール登高 のうえに、雪もくさり加減で重たく、カメラを出しては何度も休憩 しました。
 白馬岳から、五竜、鹿島槍、針ノ木、野口五郎あたりまで、ずら りと北アの峰が見えてきました。山頂下の最後の登りの手前では、 槍ヶ岳が見えだしました。穂高連峰は、かなり北から眺めるので、 峰が重なりあっています。振り返ると、妙高の焼山、火打山も見え 始め、妙高山もガスの間に見え隠れしてます。それにしても、飯縄 山は、いい位置を得た独立峰だとつくづく思いました。



頂上手前から、鹿島槍と五竜

 山頂への最後の登りは、やや広めの雪面で、傾斜がきつく、新雪 の後などは小さな雪崩がありそうなところ。新雪がごく薄くのり、その下はクラストしています。 雪面の様子を注意深く 見守りながら、大きくジグザグを切って、高度を稼ぎました。先行 する2人はすぐ目の前です。1人はスノボを背負っていて、つぼ足で 登っています。



飯縄山頂で一服。前方は高妻山方面



白馬3山と戸隠方面



妙高・火打方面も、雲がとれてきた

 丸みのある真っ白な雪の高みに出たところが、山頂の一角でし た。(12時16分着)
 残念ながら東から東南にかけてはガスが視界をさえぎっていま す。そのガスが割れたところに、遠く岩菅連山がくっきりと姿を現 しました。山頂にいた人たちから、どよめきが上がります。
 ところで、山頂にはてっきり2人+私だけと思ってきたのに、3 パーティー15人ほどの人がいて、中には山頂の一角の雪を掘り下 げた場所で、にぎやかに昼ごはんの最中という人たちもいました。 聞いてみると、南側山麓の登山口から隣りの飯縄神社があるピーク に登る登山道(一の鳥居からの「南登山道」)があって、雪がよく踏まれたこの道を往復するコース で、みなさん、上がってきたとの事。つぼ足あり、わかんあり、ス ノーシューありで、装備もさまざまです。
 山頂からは北アがいよいよくっきり見えます。この近さは、湯ノ 丸山や四阿山などにはなかったものです。とくに白馬から五竜、鹿 島槍、針ノ木にかけては圧巻。
 よく見ると、野口五郎の右手に水晶岳の北峰が見えています。鹿 島槍の右には、ほんのちょっぴり、剣岳が姿を見せているようで す。帰ってから確認しなくては。

 さて下降です。まず、ほとんど傾斜がないかに見える飯縄神社の ピークへ450メートルほど移動。うち半分ほどはスキーが滑りま した。



飯縄神社のピークから、過ぎてきた飯縄山頂方面を振り返る。
足元のこのピークには鳥居などがあるはずだが、すべて雪の下。


 そこからは、広い雪面の尾根を斜滑降で滑走。途中で、南側から 登ってきた登山者の踏み跡と左に分かれ、トレースのない細い雪の 尾根を下降しました(ほぼ西登山道伝い)。途中、小型トラックや乗用車ほどの大きさの 雪庇が大きく波打ったちょっと悪い場 所があり、そこを抜けると、潅木から針葉樹帯の尾根をたどるよう になりました。
 尾根はときに広く、そして幾度も狭まり、支尾根が分岐してわか りにくところですが、今日はなんといっても見晴らしがよく効き、 条件に恵まれました。とにかく右下の瑪瑙沢の谷から離れぬよう に、行程をかせぎました。GPSには分岐ごとにウェイポイントを設定 してきたため、地図と合わせて、しっかり現在地を確認することも できました。

 とはいっても、ミズナラまじりの尾根は、つぎにカラマツ(落葉 松)の森に変わり、スキーのへたな私はこの下降が今回の山行で一 番、つらい思いを味わうことになりました。おまけに、雪面は風で 大きく浪打ち、くさった雪にスキーのトップが突き刺さります。
「こんなコースをツアールートに推奨するなんて、ひどいよな」。 実際、下降で存分に楽しむというコースではありません。上手い人なら楽しめるのでしょうけれど。
 ともかく、こんな条件も、来てしまった以上は、楽しむしかありま せん。落葉松の明るい林、なだらかに変わってきた雪の道、転んで もちっとも冷たくない上天気。自分が予定した通りにコースをとっ て、下降しました。
 標高1431メートルにある、木造の小さなお社(萱の宮)は、半分ほど雪の 上に出ていました。鳥居も上半分が、雪上に姿を現しています。
 ここで、寝 転がって大休止。重たい雪と格闘した下半身がもうがたがたで、魔 法瓶に入れてきた甘酒の残りを飲みながら、足を休ませました。

 標高1330メートル付近、そろそろ林道に出るのも近いとい うところで、右手の瑪瑙沢へ斜面を下降。林道への近道ルートとして、 予定していたルートです。河原に下り立ってGPSで位置確認すると、30メート ルほど下流にめざす林道の橋があることがわかり、どんぴしゃりで 林道に出会いました。
 橋からは、林道を1キロ弱歩いて、中社スキー場に着き、ふたた び2つのリフトを乗り継いで、山(怪無山)向こうの戸隠スキー場 へと滑り降りました。

 

 帰りは、長野市内を通りぬけるのを避けて、戸隠から北東方向に 走り、信濃町インター(上信越道)へ向かいました。道路の両脇は 高さ2メートルほどの雪の壁です。雲は完全に晴れて、妙高が全容 を現し、途中の高台から志賀高原の山々と、前山の上にぽっかり頭 を出した鳥甲山が眺められました。北信地方は、いつ来ても、すご い山々があるなあと、感心させられます。





山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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