体験的 キノコ狩りの楽しみ
あなたも、キノコ鍋に挑戦
第1回 ハナイグチ

このシリーズは、1992年にある新聞に連載したものです。


 秋風がさわやかな季節に なりました。キノコ狩りも いよいよ本番です。「この 秋こそは、自分で採ったキ ノコで、おいしいキノコ汁 を」というあなたに、体験 をまじえつつ、むずかしく ないキノコ狩りの楽しみ方 を案内します。




         ハナイグチ。ジコボウ、リ コボウ、北日本ではラクヨ ウ(落葉)などと呼ばれる 。


竹カゴにずっしりと

 九月下旬の日曜日、奥秩 父山系の瑞牆山(みずがき やま)は久しぶりの晴天の もと、山頂をめざすハイカ ーでにぎわっていました。 夫婦、息子二人の私の家族 もその中にありましたが、 ザックの他に竹のカゴを腰 に下げた格好はちょっと異 質。おまけに、私たち四人 組は、キノコを見つけるた びに「オッ、あそこにある ぞ」と声を上げては、登山 道を右に左にはずれて、林 の中に分け入ります。カラ 松にナラなどの雑木が混じ る美しい林の中を一時間余 りかけて富士見平小屋に着 いたときには、腰のカゴは 「秋の味覚」でずっしりと 重くなっていました。

 カゴを小屋に置いて、今 度はポリ袋にキノコを収穫 しつつ、山頂を往復です。 道々、「どんなのが食べら れるの?」と聞かれると、 私たちは、覚えやすく、収 量も多い、ハナイグチを紹 介することにしています。

黄色のスポンジが目印

 ハナイグチは、カサの表 面が赤茶色で光沢と強いぬ めりがある、美しいキノコ です。普通のキノコはカサ の裏側にヒダがありますが 、ハナイグチなどイグチの 仲間ではスポンジのような 編み目状です。そのスポン ジの色も、ハナイグチの場 合は鮮やかな黄色なので、 初めての人にもよい目印に なります。





 さがすときは、樹齢を重 ねた、太いカラ松(落葉松 )の林へ。ハナイグチは、 他のキノコ同様に笹などの 下生えがない、開けた林内 を好みます。群れるように 何本も生え出し数多く採れ るので、ポピュラーなキノ コの代表格になっています 。

 もちろん、味も上々。キ ノコ汁にすると、ナメコの ようなぬめりとよいだしが 出て、ポリポリと歯ごたえ があります。ゆでで水にさ らし、大根おろしや刺身風 (わさびや生姜醤油で)も 合います。イグチの仲間は 傷みやすいので、その夜の うちに調理するのがコツ。 我が家では、瑞牆山で採れ たハナイグチを他のキノコ といっしょに一度ゆで水に さらした後、酒と醤油で一 煮立ちさせて「醤油漬け」 をつくりました。冷蔵庫か ら出して酒の肴に。煮物や 味噌汁の具にも使えます。
     




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山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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