きのこ狩りに必携のロング・ポール

道具の話 その1


奥利根・ブナの山でナメコを採る


 きのこは、地面や木の根元にばかりでなく、幹のかなり高い場所にも 生えます。
 ずいぶん前に八ヶ岳に通いだしたころ、稲子湯に近い湿った樹林で、 毎年のように幹にヌメリスギタケが生えだす朽ち木を見つけました。ヌメリ スギタケが生える木は、3本ありました。時期はけっこう早くて、9月上旬 あたりから。
 でも、この木はいずれも倒木でなくて、きのこは高さ2メートルから5メートル もある高い場所に、点々とつきます。しっかりした幹に付いたきのこは、登って収穫しました。 でも、倒れそうな不安定な木のきのこは、手が届くところまでが限度です。近くの枯れ枝を伸ばして 、それでやっと届くところを落として、きのこを手に入れました。

 奥利根のブナの山の林に通いだした90年代。枝が高いところにしか なく、表面が平滑なブナの幹は、とても登ることなどできません。その朽ちた 木の幹に、きのこはいろんな種類が生え出してきます。ナメコ、ムキタケ、 ヒラタケ、ブナハリタケ、ブナシメジ……。
 高い場所のは、20メートルだって普通。そこまでは無理としても、なんとか 収穫できる範囲を拡張したい、と道具を考えました。
 軽くて、上部で、持ち運びにもいいもの……。



 そこで、到達した結論が、このジュラルミン製の伸縮式ポール。長さは1.2メートル に縮まり、伸ばすと4段式で4.5メートルほどになります。 私の背丈と伸ばした腕の長さも入れて、6メートル以上の高さでも、届く勘定。 それでも、ブナの幹のきのこ にはまだ不足です。が、金属製だけに、先端につけたブレードを使って、 力を入れてきのこを削ぎ落とせます。それに、意外に軽量で、腕に楽です。

 実は、このポールは、いろいろな団体が集会などで使う旗を立てる、旗ざおなんです。 きのこの写真撮影のときには、このポールを立ち木にくくりつけて、ストロボを固定する一本スタンドにもなります。

 瑞牆山から乙女高原への舗装された林道を走っていたときに、道の脇にヌメリスギタケ (モドキ)が生え出した木がありました。道路の脇の段差の地面から幹を伸ばしている 木で、きのこは高さ5メートルほどに、何ヶ所かに分かれて生え出しています。道路が高い 位置にあったので、十分にこのポールで届きました。
 採っていたら、地元のきのこ狩りのおじさんたちが通りかかって、「おや、いい棒を持ってるね。 それ、どこで売ってるの」。
 「デモとか集会に行くと、いっぱい旗ざおが立っているでしょう。あれですよ。けっこうハイカラなのがあるでしょう」
 「そうかい、そんなのがあるのかい」……。




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山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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