スエヒロタケ    

真正担子菌綱 帽菌亜綱 ヒダナシタケ目 スエヒロタケ科 スエヒロタケ属
末広茸




奥多摩 11月下旬 

 生え出したばかりのスエヒロタケは、ボタン雪がふんわりと倒木の幹 に舞い降りたような、真っ白、綿屑のような姿をしています。この幼菌 の時期の大きさは直径が3ミリぐらいから10ミリ余り。目を近づけて 見ると、軟らかそうな白い毛を伸ばし、体を包んでいることがわかりま す。小さなぬいぐるみのようです。

 成長すると、毛におおわれた体が指をいっぱいに広げたように、しっか りと育ってきます。扇形の骨が広がったようなこの様子から、末広(扇) の名前がついたようです。
 白い毛は、濡れると体にへばりつきます。

 扇の半径が15ミリほどに成長すると、スエヒロタケの体は薄茶色を 帯び、毛はまばらになり、老菌では毛は失われます。

 ひだ様に見える裏面の形状が、ひだが2枚ずつ重なるように見えるの も、スエヒロタケの特徴です。



湿って毛がへばりついている。  丹沢  11月中旬 

 春から初冬まで、どこにでも目に付くスエヒロタケ。
 このきのこが最近、注目を浴びてきたのは、1つは生活力、生命力の強 いきのこだから。栄養分、あるいは植物の組織を効率よく分解し、きのこ の体をつくる多糖類を生産する能力がすぐれているために、実験用などに 広く使われてきました。
 もともと、きのこは植物の組織を構成する物質(リグニンなど)を分解 する力が優れているものが多いのです。そこで、実験に使いやすいスエヒ ロタケを使って、自然には分解されにくい人工的な化学物質をふくめ、さ まざまなやっかいものの物質を分解する「スーパー・スエヒロタケ」を生 み出す研究などもおこなわれているそうです。



老菌。   丹沢  12月中旬 

 生命力があるきのこ、となれば、これで売ろうという人たちも現れてき ます。スエヒロタケには、免疫力を高める物質が、人の体に吸収されやす い形で含まれているとの説も、出されています。ほかのきのこや自然の食 べ物などに含まれてはいても、水に溶けにくく、人の体に吸収されにくい のだとか。ところがスエヒロタケでは、水に溶けやすい状態で、これらが 含まれている。
 私は、きのこが薬のように人の体に効くという説には、たいていの場 合、与(くみ)しません。ですので、この説もどこまでほんとうかと思い ます。とはいえ、菌界のくみつくせない謎と可能性を具現する1つが、こ のスエヒロタケであることはまちがいないようです。

 強い生命力のせいでしょうか。スエヒロタケは人間の肺にすみつき、病を ひきおこすこともあります。



 

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