マツタケとチャナメツムタケ

富士山 ある日の探索
1994・10・2


 富士山の吉田口にキノコ狩りに通い出して、3年目。いつも入る 林道を、下から上まで、ゆっくり探索することにした。
 キャンプ、アウトドア仲間のKさん一家といっしょ。真っ白な富士山の 頂が秋空に映える、すばらしい天気だった。



ショウゲンジ

 ふもとの赤松まじりの林には、午前7時前に 着いた。道路わきの林へ、みんなで分け入る。
 道路から50メートルほど進むと、人の目を逃れたキノコが、あちこちに 見つかり出した。ショウゲンジがちょうど盛りで、ここだけで40本ほど 採れた。ついで多いのはアミタケ。ただ、少し時期が過ぎていて、老菌 のようになってしまったものが、多い。ハナイグチやキシメジも見つかった。

 150メートルほど、道路から奥へと分け入ったあたりで、Uターンして、 車道へと戻る。みんなはどんどん戻っていったが、私は 写真をとったりしてもたもたし、あちこち、ジグザグに歩いて、一瞬、方角 がわからなくなってしまった。耳をすますと、車道を走る車の音が聞こえる。 が、反対側から有料道路の車の音も響いてきて、困ってしまう。



富士山のマツタケ


 そのとき、足元に、薄い茶色のキノコの頭を見つけた。傘の模様に目 を引かれる。もしかして! と目を近づけて見ると、マツタケだった。松葉 が混じった、ふっくらとした土に指をさしこんで、柄の根元を確かめ、掘り出した。
 傘がまだ開いていない、若いマツタケだった。長さは13センチくらいで、 小さめだったが、初物はうれしい。

 そうだ、自分は方角を失っていたんだ、と思いなおして、とりあえずこの マツタケ・ポイントの周囲の様子を、メモした。
 車の音のする方に進んでいくと、子どもたちが呼ぶ声が聞こえる。
 道路にもどって、マツタケを見せたら、みんな大喜びだった。

 次にめざす林道へ向かう。
 林道には、秋晴れのドライブ組や、キノコ狩りのグループなど、たくさん の車が上がっていた。2合目まで上がると、秩父、八ヶ岳方面のすばらしい 展望が広がる。
 2・5合目あたりにカラマツ林があって、ハナイグチを追加する。
 車道の上に、ブナとナラなどのいい林を見つけ、みんなで登った。枝が 枯れて地面に落ちている場所に、ナメコに似た小さな丸い茶色のキノコ が生え出していた。傘が開く前のチャナメツムタケの幼菌だ。地面に 伏して、カメラで接写する。なんて、愛らしいキノコだろう。
 傘が開いた、チャナメツムタケも、周囲に見つかった。



チャナメツムタケ

 このポイントでは、少し上がったところに枯れた広葉樹があり、私の胸の高さ くらいのところにヌメリスギタケが一株、生え出しているのも見つかった。うれしい。 今夜は豪勢なキノコ汁になりそう。

 この日、採れたキノコは、ほかに、アケボノサクラシメジ、ホテイシメジ、 ナラタケ、アイシメジ、キシメジ、カヤタケ、スギヒラタケ、ニカワハリタケ、 オオツガタケ、アカモミタケ、キノボリイグチ、シロヌメリイグチなど。
 富士山は、近くて、いいフィールドです。

マツタケの土瓶蒸し



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山の便り、大地の恵み (野原森夫)
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