奥秩父のツガの林でツバアブラシメジ   

2007年9月20日


 入山したこの日は、9月下旬というのに九州から札幌まで、最高気温が30度を超え ました。暑い9月。少しでも早めの秋に出合いたいと、奥秩父の標高2400メートル の稜線に、きのこ探索に出かけてきました。
 ねらい目は、ツガの林に出るツバアブラシメジと、ショウゲンジです。  例年なら8月後半から、富士山の4合目付近で時期に入ってきます。しかし、今年 は、特別に秋が遅い。それならば、と、この時期にもかかわらず、思い切り標高を上げて みたわけでした。



奥秩父の標高2400メートルのツガの樹林帯 

 奥秩父は、標高1900メートルくらいから、ツガの林が現われだし ます。さらに高度を上げて、めざす2400メートルの稜線へ出ました。
 道を外れた林に分け入るため、迷ったときの用意にハンディGPS を装備に加えています。
 今年は夏場に雨が少なめでした。そして、9月も台風で短い期間、どっと降った だけでした。林床はやや乾燥気味です。日射を避けて、稜線の北側の山腹へ回 りこんで、探索を始めました。



ミヤマベニイグチ 乾燥気味 



クサハツ 

 最初に出会ったのは、傘も柄も、どっきりするぐらい紅いミヤマベニイ グチ。数日の乾燥で、成菌になりたてのまま、水分が抜けてしぼんでいま した。
 次いで、クサハツ類が、やけに目につきます。これらは、真夏のきのこ なのに、幼菌が半分ほどを占めています。おそらく先日の台風の雨で、よ うやく成長活動を始めた、きのこ達なのでしょう。先が思いやられます。
 次はカワリハツなど、やはりベニタケ類が続きます。



ツバアブラシメジ 

 林床が緑の苔類で覆われる一帯まできて、ようやく、最初のツバアブラシ メジが見つかりました。中指か人差し指くらいの太さで、多くはまっすぐに 伸び上がってきます。傘も、白い柄も、「アブラシメジ」の名があるように 粘性があります。柄の上部は、うっすらと紫色を帯び、中段から下には、茶 色の汚れたようなシミ模様があります。
 夏遅くから秋早い時期にかけての、きのこです。

 林は、傾斜が10度から25度ほどあり、そこに倒木が随所に横渡り、山 腹をトラバースしながら進んでいくのは、相当な運動量になります。足元も、苔 や朽ちた幹を踏み抜くと、その下に空洞が待ち構えている場所もあります。



芽吹いて伸びだしたツガの幼木 

 そういう難所を越えて、気持ちの良い樹林の空間に出ると、きのこもそうい う場所が好きなのか、ツバアブラシメジが4、5本も顔を出し始めている一帯 もありました。
 幼菌ではありますが、きれいなオオツガタケも見つかりました。
 ここまで、ショウゲンジは、旬をとっくにすぎたものが1本あっただけで、期 待はずれでしたが、これも1本、大き目のものが見つかりました。



ムラサキフウセンタケ 

 昼食休憩。
 家に帰って、夫婦で今季初のきのこ汁(2人前)をつくるだけは、すでに採集 できました。
 これからは、撮影に没頭しました。
 アブラシメジ、アメリカウラベニイロガワリ、スミゾメヤマイグチ、スギヒラタケ などが見つかりました。



スミゾメヤマイグチ

 このフィールドは、10数年前に、探索したことがあり、そのときは、キンチャヤ マイグチ、ショウゲンジ、ヌメリササタケなども目立った場所でした。今年は、生 え出したきのこが少なめなだけではなく、時期をすぎて腐りだしたものも、極端 に少ないようです。
 そんななかで、ツバアブラシメジは、なんとか健闘してくれている様子です。



キノコ汁

 午後3時前に、入山地点に戻りました。
 家に帰り、ツバアブラシメジ、ショウゲンジ、オオツガタケ、アブラシメジを 使って、水から煮込み、味噌とネギを加えただけの、ごくシンプルなきのこ味噌汁を つくりました。
 きのこの風味がさわやかな、おいしいきのこ汁を味わいました。




きのこ フィールド・レポート




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野原 森夫