奥利根の森 ハナイグチとナラタケと山ブドウ   

2009年9月26〜28日




 

 9月末、2泊3日で奥利根のブナの樹海と、カラ松の尾根に入りました。
 26日は、標高1000〜1600メートルのブナ林へ。
 踏み跡を完全に離れて、ブナ林のネマガリダケなどの藪と歩きやすい場所とを、移動しました。
 ハンディGPSと、緯度経度を入れた地図が役に立ちます。
 一帯はそこここにクマなどの獣のフィールドサインが見られました。
 きのこは、秋本番のものはまだでしたが、ナラタケは盛期に入り、ムキタケなどが盛期の入り口という感じでした。



ナラタケ。伸びたきのこの根元に、
コメ粒のような小さいな幼菌が見えます。 




ナラタケは、あと5日ほどで最盛期。
太い倒木にいっせいに生えだしています。 




アカチシオタケ 



チシオタケの勢ぞろい。
一列に並んでいるのは、地表に細めの枝があり、
そこに菌がついたための様子です。 




ブナシメジ。このきのこは、暗がりが好きです。 



ツキヨタケ。
盛期をむかえていました。 




変形菌の仲間。
直径1ミリ前後のバブル状、つぶつぶの球体が寄り集まって
ひと固まりをつくっています。
姿、位置を変える菌類で、写真には倒木の木肌を下方向に
ぬめって動いた様子が残されています。 





 翌27日は、標高1100〜1200メートルほどの長い尾根道を登り口から下山口まで5時間ほどかけて探索しました。
 この尾根は自然のブナ・ミズナラなどの林のうち、平坦な場所が伐採されて、カラマツが植林されたところ。
 25年ほど前、伐採と植林ががすすめられた直後のころは、日当たりがよい尾根でした。
 今回、ほんとうに久しぶりに通しで歩いてみると、カラマツは大きく育ち、自然の森が残された部分も手があまり入っておらず、尾根全体が森の道にもどっていました。

 以前には、5月末にウドやワラビがいっぱい生えていましたが、今は木漏れ日が差す程度です。どちらもほとんど見られません。

 カラマツはルート全体の2割ほど。笹の下生えが育っていない場所も多く、カラ松林の代表的なきのこのハナイグチがいっせいに生えだしていました。気候変動の影響か、ハナイグチがこの標高で幼菌が出始めというのは、とても遅いと思います。
 きのこを求めてここまで入る人は、ほとんどいないのでしょう奥利根では、ハナイグチよりも、1にマイタケ、2にナメコという感じで、カラ松林はあまり好まれません。ハナイグチは尾根の道にも、林の中にも、いっぱい生えていて、手つかずでした。
 私たちは、家で食べられる分だけ、しかも今晩も奥利根泊りのため、ごく若い幼菌のみを30本ほど摘みました。

 尾根を先へすすむと、ふたたびブナ、ミズナラ、黒檜などの林にもどりました。アップダウンののち、登山道に出会い、林道に降り立ちました。林道をすすむと、昨日同様、山ブドウの実を見つけて、しばし収穫。
 ザックがきのこと山ブドウで重たくなりました。
 林道の途中から沢筋の踏み跡に移って、最短ルートを藪こぎを交えて下降し、麓の車道へと下山しました。



最初のカラ松林で、若いハナイグチ。 



2つめのカラ松林で、ハナイグチの幼菌。標高1000メートルを超したあたり。 



摘んだハナイグチ。日持ちを考えて幼菌のみ選びました。 



山ブドウの紅葉 



山ブドウ。 



採集。崖のそば 



実が大きめのすばらしい房です。 



 




山ブドウは、実が付くツルは、10本に1本くらいしかありませんので、クマさんも視力が足りないと、木の上り下りがたいへんと思います。匂いでも判別できるのかなあ。
 実がついたツルであれば、木の枝に座って、周囲からツルをたぐりながら、おやつののように食べるのでしょうね。
 ドングリやクリは主食で、おやつが山ブドウや、アケビあたりかな。
 山ブドウの種は固くて、結局は皮などのカスといっしょに適当に地面にクマが振りまいてくれる。鳥やサルも、さらに広範囲に種子を運んでくれる。とても合理的な繁殖作戦と思います。
 山ブドウは、秋口にまず黄色に葉が染まり、続けて赤い色に紅葉します。コシアブラも美しいレモンイエローに染まって、遠目にもよく目立ちます。
 これも、動物たちを呼び集める目印にもなるなあ、と思ったりしました。





家に帰って、きのこ汁の仕込み。
ハナイグチです。 




ゆでます。 



ナラタケもこれだけ加えます。 



ハナイグチの刺身。大根おろしで食べました。 



きのこと豆腐とネギと味噌で、純なきのこ汁 



山ブドウはジャムにしました。 



 




きのこ フィールド・レポート

菌界に分け入る きのこ探索図鑑


http://trace.kinokoyama.net


記事、写真の無断転載を禁じます Copyright (c) Nohara Morio.
since Nov.2000


野原 森夫