ネムノキ    

マメ科   合歓木




 

 ネムノキの葉は、鳥の羽毛のような形式をしていて、小さなたくさんの小葉があ ります。夜になると、この小葉は閉じるため、眠る木、転じて眠の木になったと、こ の木を知った子どものころは思い込んでいました。
 でも、実は、ネムノキは「合歓木」と書き、大人にならないと実のところは知る由 もない、深い思いが込められた名前がつけられていたのです。  合歓とは、心引かれ合う男女が共に眠ること。
 たとえば、ある人の妃であった紀郎女 ( きのいらつめ )が、22歳の大伴家持に 贈った、こんな歌があります。

晝(ひる)は咲き夜は戀(こ)ひ宿(ぬ)る合歓木の花君のみ見めやわけさへに見よ

 ネムノキの花枝も、歌には添えられていました。
 会いに来て、と受けとった家持の返歌。

我妹子(わぎもこ)が形見の合歓は花のみに咲きてけだしく実にならじかも

 まあ、異次元の社交世界というべきでしょうか。ともかくネムノキとは、そういう種類 の花なのです。

 奥の細道をたずねた松尾芭蕉も、当世第一の景勝地・象潟の美しい景観と、ネムノキの 姿から、中国・春秋時代の越の美女だった西施と彼女の悲劇を思い、句を献じています。

象潟や雨に西施が合歓の花

 ネムノキの面影には、人の世のよろこびと交わり、そして悲しい物語さえもが、凝縮され ています。

  


 



 

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