クワ(ヤマグワ) 

 クワ科  桑(山桑)




 

 「食葉」、「蚕葉」が「クワ」の語源という説があります。絹をとる養蚕で、蚕の 幼虫をこの葉で養うのは良く知られています。養蚕は、「魏志倭人伝」にも出てきま す。この時代からすでに人と深いつながりがあった植物でした。
 私が生まれた福島市も養蚕の盛んなところでした。小学生のころ、近所の農家の母屋や作業 小屋にいくと、屋内を3段、ないし4段の棚に仕切って、それぞれの段で、それぞれの成長 度合いの蚕の幼虫が飼われていました。蚕は始終、桑の葉を食べています。ざわざわ・・と 響くその音が耳に残っています。

 野性のものはヤマグワと呼ばれます。これをもとに長年、人家のそばや畑で育てられ てきたのが、桑の木です。見た目ではっきり違うのは、人里の桑の方が、山桑よりも、 たくさんの実をつけることかな、と感じます。



 

 


 

 桑やコウゾなどの木の実は、鳥の大好物です。私が耕作していた畑の際にも、背丈が 10メートル近い桑の木があり、実が熟する時期には早朝からたくさんのムクドリ、 ヒヨドリなどが集まってきました。

 野鳥は、糞をして、消化できない桑の実の中の種子を、畑に落とします。
 糞が落とされる場所は、桑の木の真下や、周囲の栗林などが多く、畑に下りて 地面に糞をする鳥もいます。
 そにために、畑や栗林では、次々と新しい桑の木が芽を出し、育ちます。成長が 早く、ちょっと間をおくと手では引っこ抜けないくらいに根をはります。

 植物は、種子をどうやって鳥に運ばせるのか。そんな研究がされています。
 それによると、鳥が糞などの形で空から種子を落とすことは、「シード・レイン」、 種子の雨と呼ばれているのだそうです。
 種子が、風によって飛散・散布される場合は、運ばれた種子は、風の向きや、種子 を飛ばすもとになった植物からの距離などに依存します。
 しかし、鳥によって運ばれる場合は、運搬者が生き物だけに様相が異なります。
 たとえば、風の場合のように距離に依存して均一に散布されるのではなく、局所に 集中することがしばしばある。止まり木や、宿り木などで「シード・レイン」がおびただしい ということになります。
 体内滞留時間、つまり消化にかかる時間も、種子の移動距離にかかわってきます。

 

 種子を鳥に運ばせる桑の木の側にも、工夫があります。
 たとえば種の残存率を高める構造。
 桑の実は集合果です。タネは、実の間に埋もれ、タネの周囲にも甘いプリン状物質が とりまいて、タネがクチバシで砕かれるのを保護しています。安全に大多数が、胃袋 の中へ。
 実の色にも工夫があります。
 未熟は白、だんだん赤い鮮やかな色になり、完熟は黒。鳥が、二色以上の植物のこうした 装いが大好きで、寄り集まりやすいことは実験でも確かめられているそうです。さらに、 黒く熟した実も、鳥はとりわけ好きなんだそうです。(「2色同時表示仮説」)



 

 


 

 
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