コマクサ     

ケマンソウ科(あるいはケシ科)  コマクサ属  駒草  




木曽駒ヶ岳 2005年8月 

 コマクサは、明治時代に世に紹介された最初のときから「高山植物の女王」などと呼ばれてい ます。観賞用に園芸品種や外来種も広く流通しています。
 でも、コマクサへの私のイメージは、少し違います。

 北アルプスに針ノ木岳という鋭鋒があり、その北側の稜線にはにマヤクボ沢が登りつめていま す。稜線から見下ろすと、急峻なカール(圏谷)が落ち込み、はるか下方には大きな雪田が展開 している場所です。
 風が、吹き抜ける縦走路。こまかく砕かれた岩葛や砂礫が、さらさらとカール底へと流下して いきます。
 足場を支えるようなものもない、その急斜面に、コマクサは一面に咲いていました。今日と明 日とでは、おそらく周囲の砂礫は別のものに流れ変っているのではないか。そんな激しく厳しい 場所に根を下して、コマクサは、柔らかく、やさしげな花を無数に咲かせていました。

 北アルプスの北部、白馬連峰の三方境と呼ばれるピークを通ったときは、雨と霧が断続するよ うな天候、空は真っ暗でした。雨具をたたく強い風が吹き付ける縦走路の足元に、2、3株ずつ かたまって、コマクサの群落がありました。おもたげな花の形、細い茎、風には耐えられそうも ない姿のコマクサが、裸地が目立つような厳しい地形の場所に、生き抜いていました。
 これほど、容姿や構造と、生育条件が、ミスマッチに思える花はありません。



 

 大雪山では、特産のウスバキチョウの幼虫が、コマクサを食草として生息しています。コマク サの花と茎の付根の部分を好んで食べるために、花が落ちてしまいます。

 おもしろい花の形で、厳しい生育条件。コマクサはどうやって受粉し、種子をつくるのかに、 興味がわきます。
 調査では、自家受粉が、1つ確かめられています。
 下向きの花は、花粉を食べに来る「敵」である蜂などは止りにくい。でも、コマクサは甘い蜜 をもち、これをすいに来るマルハナバチなどが、お尻に花粉をつけて、つぎのコマクサへと花粉 を運んでいく様子も観察されています。



 

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