ミソガワソウ     

シソ科  イヌハッカ属  味噌川草  




南アルプス・北岳 大樺沢  2005年7月中旬 

 北アルプスの穂高連峰の涸沢カールから、前穂高岳の支尾根の鞍部を乗り越し て、徳沢へと下山する「パノラマ・コース」という登山道があります。支尾根を 乗り越す鞍部は、「屏風のコル」と呼ばれ、その付近から眺める涸沢カールと周 囲に立ち並ぶ穂高連峰の眺めは、まさにパノラマそのものです。
 長男が7歳、二男が4歳のころ、家族4人で涸沢から徳沢へ、この道を歩きま した。奥穂高岳の登山の帰り道です。
 屏風のコルを越え、上高地側への下降に移ったところに、小広い草の斜面があ りました。斜面は、色とりどりの花で埋まっていましたが、そのなかに、ミソガ ワソウがありました。そのとき、私はこの花の名前がわからず、紫色の独特の形 の花に惹かれて写真におさめ、家で図鑑で調べて、ミソガワソウの名前を知りま した。
 名前の由来は、岐阜県の木曽川の上流域にある、支流の「味噌川」の流域で発 見されたため、とのことでした。「味噌」という名前に、花の美しい姿がそぐわ ないと感じてしまったため、この花はそのこともふくめて印象に残る花となりま した。
 ミソガワソウの「味噌川」という字は、「未噌川」という字で紹介されること もあります。川の名前、山の名前は、いろいろな字が当てられることがあります ので、もしかしたら二通りの字で通用しているのかもしれません。現在、木曽谷 の木曽福島のやや北方には、「味噌川ダム」が建設・運用されています。
 4歳のあのとき、二男は、ミソガワソウに出会ったあの屏風のコルから、延々 と続いた急な下降で、何度も泣きました。長男が懸命に励まし、子どもには段差 が大きな下降を、どうにか下りきり、徳沢の天場には大幅に時間を超過してたど りつきました。それでも、テントを張り、夕ご飯づくりにかかるあいだ、兄弟で 森の中を動き回り、キノコ探しをする元気を見せていました。
 二男が大学一年生になった夏、2人で南アルプス・北岳の大樺沢へ、花の撮影 に出かけました。
 その雪渓の脇の草原には、ミソガワソウが随所に群落をつくって、花が咲き出 していました。
 15年後の彼は、美術(油絵)を志す学生になりました。雄大な景観に包まれた 雪渓の傍らでスケッチにいそしみ、絵のテーマがいくつか拾えたと、喜んでいま した。

 


 



 



 

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