蕎麦の製粉をする、石臼がきたぞ!
2000・10・12



 蕎麦を挽く石臼を市価よりもずいぶん格安で入手しました。 重さは40キロ数キロあります。
 作ってくださったMさんは、石の加工や建設工事などをして いる個人の方です。蕎麦好きがこうじて、あちこち食べ歩いて いるうち、蕎麦の栽培を茨城の畑で始め、石臼も作ってしまっ たとのこと。

 この石臼は、茨城の花崗岩を使ったそうです。手作り風だけに、工 夫や材料の応用が加わっています。

挽き手

 まず、挽き手です。
 石臼を回す取っ手にあたる部分です。これは、丸い石臼の 側面に穴をあけて、木のハンドルを付けてあるものと、 石臼の一部を外周から外に突き出すように彫り込んで、 そこへ穴をあけて木の取っ手を付けたものがあります。 石そのものを突き出させた後者では、彫る加工もむずかしいでしょうし、 ぶつけたらたいへんですね。

 以前に私が実物を見たものは、木のハンドル型です。
 上の臼(上臼)の横に、水平に小さめの丸い穴をあ け、ここに木の横棒(くさび状)を差し込んでありました。木の棒の端 には穴を開けていて、そこへ、臼を回 す把手を上から差し込みます。回す力は、手 →垂直 の把手 →水平の木の棒 →上の石臼、と伝わります。

 Mさんの石臼は、木の横棒の替わりに、建築工事などで使う 鉄製の太いペグ(テントのロープを張るペグのお化けのような 頑丈なもので、市販品)を使っています。石臼の横に穴を2個あけて、鉄 ペグを1本ずつそこへ差し込み、コンクリートをすきまに充填 して、固定。ペグには、先端を丸く曲げて、直径3センチほど の穴があいていて、ここへ把手の木の棒を、2つの穴を縦に貫 通して差し込みます。
 穴にぴったり合うように木の把手の直径を加工しているし、 ペグも2本がしっかり石臼に固定されているので、がたつきが なく、重い石臼に回す力がうまく伝達します。
 Mさんは、私が早く入手したいとせかしてしまったために、 急いで把手づくりをし、カンナで指を切ってしまったそうです。すみません。
 把手の木の棒の長さや、これに竹筒を被せて回転をよくする などの改良は、私の方で引き続いておこなうことにしました。 (竹筒でなく、手回しドリルの把手のように、握りだけが回転 する木のパーツを見つけて、セットしてしまうのも手かもしれ ません。)


 Mさんは、自家製の玄蕎麦をひとつかみ、ふたつかみ、上臼 の穴(もの入れ)から中へ入れて、実演もしてくれました。
 「こんなに溝を 切った石と石が上下から擦れあって、うまく回るのかな。石の 破片がこぼれてくるのでは」というのが私の心配でした。
 けれど、蕎麦が上下の臼の間に入っていくと、重いのは当然として も、思ったよりも滑らかに臼が回り、周囲から粉や殻が少しず つこぼれてきます。見とれてしまいました。上下の溝の間には さまった蕎麦の粒や殻、粉が、摩擦を適当に小さくしてしまう のです。
 上臼を外して、Mさんが説明します。
「石臼は、このぎ ざぎざの部分は種を砕くだけで、細かく粉にするのはへりの、 この平らに見える部分なんだ。ここには、とても細いスジを 切ってあって、ここで粉になる」。
 「どうやって、こんな細い溝を切ったんです?」
 「グラインダーの刃で、こういう細かいのがあるんだ。ずっ と昔はみんな鏨(たがね)で彫ったものだけれど、刃がすぐに 駄目になってしまう。今は、石よりも硬い刃があるから、楽に なった」。そして、「この粉にするへりの部分が、石臼で大事 な部分だから、ぶつけて欠いたりしないように注意してね」と もいわれました。

 縁の部分をほとんど平らにして、そこに細かい溝を切るつくり は、「刻み周縁型」と呼ばれることを、あとで知りました。これにたいして、 臼の噛み合わせ面の全体に6面ないし8面に分けた放射状の 溝を切ってあるものは、普通の石臼に多いタイプです。これは、 中心から縁まで、溝が切ってあります。

重い石臼を回すと、全体が移動する

 実演のときには、力を入れて回すと石臼全体が把手に引かれ て前後左右に滑り動きました。その防止のために、下の臼の底 は、ごく浅いすりばち状に石を削り、中心に縦3センチ×横6 センチ×深さ3センチくらいの長方形の穴を開けています。 「コンパネ(厚いベニヤ板)にこの穴に合うサイズの木の突起 を固定し、そこへ臼を置けば、動かないですね」と私。「そう だね。そうやってコンパネに座って回せば、臼が動かないか ら」とMさん。本来は、蕎麦を挽く仕事台に石臼受けの木の突 起を作るのがベストのようです。「粉受けも兼ねた“石臼乗せ 台”を作ってしまうのもいいな」と思いました。

軸と軸受け

 上の臼と下の臼は、回転しても同心円できれいに合わさっ て、滑らかに回ります。どうやって合体させているのかと見てみると、下の臼の中心に鉄 筋を短く切って埋め込んでいます。鉄筋は3センチほど上臼に向かって 突き出ています。(軸)
 この突き出た鉄筋は滑らかに表面を加工、上の臼の方には 「雌ねじ」役に、鉄筋より もわずかに径が大きい鉄製の「ネジ穴」を仕込んでいます(軸受け)。少 し緩いこの穴に鉄筋が合わさって、そこが回転の軸になって、 石臼が回ります。
 昔ながらの石臼は、回転軸に木を使ったのかな? 
郷土資料館などで古い石臼を見てきましたが、そこまでは確認 していませんでした。

 この石臼で、蕎麦を挽くのが楽しみです。始めは、また試行 錯誤をすると思います。
 Mさんはあと2つ、石臼を作っています。
 もし、入手したい方は、野原森夫にメールをください。



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 蕎麦の種まき・芽吹き
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 花は満開。でも倒伏が心配
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 蕎麦打ちに初挑戦の顛末 1)製粉
 蕎麦打ちの顛末 2)打つ
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