母子ネコ 続報
2000年5月〜6月
5月24日

 ゆっくりと成長の様子を観察できると楽しみにしていたのに、母 子ネコが、姿を消してしまいました。

 昨日、朝、4日間を出張であけて、久しぶりに作業小屋へ行って みたら、母ネコは小屋から飛び出してきません。
 どうしたのかと、中をのぞいてみると、干しわらのふとんの上 は、からっぽでした。

 まだ、子ネコはしっかり歩けないはずだったのに、母ネコに首で も加えられて、どこかへ引っ越しをしてしまった様子です。

 これも、野良に生きるネコの、身を守る手だてなのでしょうか。 それとも、不在のあいだに、何か事件があって、引っ越しを迫られ たのでしょうか。エサ場が遠くて、移動を決めたのかもしれません。

 いずれにしても、初対面から、姿を隠すまで、人間などにはおか まいなしで、超然としていたネコの母子でした。

6月17日

 いったい何が気にいらなかったのか、それともひとところ にとどまれないのが、野良ネコ母子の習性なのか、畑の作業 小屋の母子ネコは引っ越して行ってしまいました。けれど も、こんどは、我が家の庭に、別の1家族が住みついてしま いました。
 一昨日、夜、3日間の出張から帰った私に、妻がこう詰問 しました。
「そこにネコが住みついたのよ。あなた、まさか、畑のネコ を連れてきたんじゃないでしょうね。子どもたちも、お父さ んじゃないかって言ってるよ」
「じょうだんじゃない!! ずっと出張続きで、そんないと まがあるわけないでしょうに………」
 まさか、畑と家とは、1キロ近くも離れています。あの母 子がここまで歩いてくることができるはずはありません。そ れに、ネコは、私の家なんて、どこだか知らないはずです。

 翌朝、「どれどれ」と見にいってみると、屋根の下で雨を 避けられる縁側の板の上に、2匹の子ネコがくっついて寝そ べっていました。私を見つけて、ぱっと起き上がって、すば しっこく逃げていきます。なるほど、畑のあの子ネコも1ヵ 月以上も間をおいたら、あのくらいに成長しているのかもし れない。頭胴長で20センチくらいでしょうか。人間なら小 学1、2年生といったあたりです。
 畑のとは、模様が違う。1匹は手足以外は真っ黒、もう1 匹は畑のに似て、黒茶色のドラネコです。

 そして今朝、部屋から縁側が見える障子戸を静かに開けて みました。ガラス戸と網戸を透かして、ネコたちがとてもよ く見えます。
 母ネコが板の上に寝そべっていました。見つけてみれば母 親は、家の回りでよく見かけるネコで、模様は手足以外は 真っ黒なやつ。子ネコは、なんと3匹もいて、もう1匹も手 足以外は真っ黒でした。
 3匹は、妻が丹精こめているハーブの花壇に突進し、踏み にじり、体をぶつけあい、ころげまわっています。「そん な!! いったい、なんの気してんの!!」と、思わず妻が 声を上げました。
 玄関にも出没して、生協の宅配の発砲スチロール箱が、爪 で削られ、白い破片だらけになりました。

 ここらへんならお宮だってあるんだから、早く追い出して くださいよ、と妻はいいます。それでも2人で、畑のあのネ コの家族も、こんなふうに元気にしているといいね、と話し 合いました。朝7時半ごろになると、母子連れ立って、どこ かへ餌をさがしに出かけていくのもおもいしろい。
 追い出すのは、もう少し、様子を見てから。また、突然、 ぷいっと自然に引っ越して行くのを待ってからとも思いま す。

 今朝早く、畑に出たときは、キジがのびのびと走り回って いました。キジだって、子育ては命懸けです。この秋留台に 野良猫が増えすぎたら、他の動物たちにもいろんな影響がで るなあ、とも考えました。

6月24日

 我が家に居候している母子ネコ一家の続報です。

 この数日、雨が少なかったあいだに、いつのまにか、夜に 軒先に泊まりに来なくなりました。
 「雨が降れば、また雨宿りにくるのかな」と思っていたの ですが、今朝は雨でも、姿が見えません。
 野良ネコらしく、気ままな無宿ネコ暮らしをしているので しょう。子どもたちの話では、午後や夕方など、ネコたちは しょっちゅう、家の周囲を徘徊しているそうです。

 2組の一家の様子を、限られた時間だけ観察して来た感想 です。いままでは、私も、野良猫として捨てる前に、また飼 われているネコの場合も外でパートナーを見つけてしまう前 に、できるだけ不妊の手術を受けさせた方がいい、と思って きました。
 でも、母子の様子を見て、ネコにとっての幸せにも、思い がおよぶようになりました。
 賛成、反対と、単純にいう自信がなくなりました。

 子どもらによれば、お宮の涌き水の池が家から15メート ルくらいのところにあるのですが、そこの鯉を、ネコが捕っ てしまうのだそうです。岸の岩の上で、鯉が浮上してくるの をじっと待ち、前足の爪で一撃をくれるのだとか。
 ときどき、食べ残しの鯉が、地面に打ち捨てられていま す。

 なかなか、平和的共存は、ただの理想で、いろいろ軋轢、 格闘がありますね。




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    山の便り、大地の恵み (野原森夫)  
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