紅玉りんごのアップル・パイ(皮つきでいい色に)
2007年11月





紅玉りんご。実がしっかり固く、
皮が濃い色のものを使います


 アップル・パイには、紅玉りんごが一番、合うと思います。焼き上げると、強い酸味 のあるりんごの濃い味わいが出てくるし、また、うまく水分を抜くと、焼きりんご風の歯触りを 楽しめるからです。煮るとすぐに溶けて、ペースト状になる他のりんごでは、この風味は出て きません。
 また、紅玉りんごは、皮や、実の種の部分(芯)に含まれるペクチンと香りを引き出す と、そのうまみと自然のとろみも、生かすことができます。
 10月半ばすぎ、紅玉りんごが出始めると、我が家では毎週のように、アップル・パイ や焼きりんご風プリザーブを作ります。紅玉りんごの美しい赤い色と、香りを引き出す工夫 も試みています。


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 作り方
 1)りんごを選ぶ

 りんごは、紅玉を入手します。どこの果物屋さんにでもあるというものでは、あ りません。昔はたくさん生産されてきましたが、一時はほとんど見かけなくなり、 近年はお菓子づくりに向く味わいが見直されて、一定量が出回っています。
 値段は、中玉で1個180円から250円と高めです。
 成熟する一歩手前のもので、実が堅くしっかりしたもの。色は濃い赤色のものを 選びます。
紅玉は出回りが短期間です。11月半ばごろには、多くの店頭で、姿を消します。

 2)三日月形に切る

 りんごは、4つ割にしたうえで、種の部分(芯)をとりわけます。
 皮は、むいても、むかなくても、かまいません。けれども、香りとペクチンの 効果、そして皮の部分の濃いうまみを引き出すために、たとえ皮をむく場合で も、その皮は捨てないで利用します。(後述)
 実は4つ割にしたものを、三日月型にさらに4等分します。1玉を16等分 する勘定です。

 3)電子レンジで、最初の過熱

 切り終わった実をボールにいれて、グラニュー糖を手でよくまぶします。砂糖 の量は、りんごの重量の5分の1くらいで十分です。保存用のジャム作りより、ずっと 少なめにします。
 このとき、芯の部分も、いっしょに混ぜると、コクと粘りがでます。後で芯を除く 手間を避けたい場合は、芯なしでもOK。
 次いで最初の過熱です。
 早くうまく仕上げるには、耐熱ガラスの鍋に入れて、電子レンジでほどよく加熱 します。リンゴの実に火が全体に通り、果汁がたっぷり出てきます。
 そのあと、鍋などで加熱すると、焦げ付きにくくなります。ただし、電子レンジで長 く加熱してはいけません。実がふにゃふにゃして、歯触りが悪くなります。

 4)Aコース 鍋で煮詰める場合

 鍋で煮詰める場合は、ジュースを実によくなじませ、浸らせて、弱火で煮込みます。 皮をむいた場合は、このときに皮を煮汁に浸るように入れておきます。煮汁が赤く染ま り、皮の部分にある香りと酸味が、実に移ります。
 皮は、適当なところで、取り除き、煮詰めに入ります。
 弱火にして、かきまぜず、鍋を揺すりながら、底が焦げ付かないようにします。


 5)芯をのぞく

 その作業をしつつ、りんごの芯を取り出し、これは捨てます。
 紅玉りんごは、ペクチンが強いので、意外に短い時間で、強いとろみがでてきます。こ れが芯と皮を入れてきた効果です。
 この芯からにじみだしたエキスも、とろみを生み出します。
 そのあとで、シナモンとラム酒をふりかけ、出来上がりです。
 




パイ生地に焼きりんごを敷いたところ。
このときは皮をむいたもの を使いました
うっすらピンク色なのは、皮のジュースが浸みているからです。
上から、パイ生地をかぶせて焼きあげれば、アップル・パイになります



 6)Bコース オーブンか、鉄板焼きで、焼きあげる

 手間がかかるようですが、最高においしく仕上がるのは、実をオーブンまたは鉄板で焼き上げる 方法です。
 ここでは、鉄板焼きの方法を紹介しましょう。鉄板で焼くときは、必ず皮つきのまま カットした実を使ってください。
 さきほどの3)の工程で電子レンジで加熱したリンゴの実に、シナモンとラム酒を ふりかけます。そして、全体をよく実になじませます。




ホットプレートで焼きあげます


 鉄板は、電気で加熱するホットプレートを使います。
 温度は高めに。リンゴの実を並べて、ジュース分を注ぎ、ツングか箸で、返し焼き にしていきます。湯気が、もうもうと上がり、水分は飛んでいきます。そして、ジュース はリンゴの実に吸われながら、焼き上がってゆきます。
 甘く焦げる焼きリンゴとシナモンと、ラム酒の香りで、家中が満たされます。
 ラム酒は、香りが抜群のキューバ産「ハバナ・クラブ」の7年物を使っています。大人が 食べる場合は、仕上げに追加で少し加えてもOKです。
 実にほんのり透明感が出て、厚さが半分ほどに締まってきたら、出来上がり。表面に焼き焦げ が少し入ったくらいが、おいしい。油分はいっさい使っていないので、リンゴ本来 のすっきり純な、ものすごく濃厚な味が封じ込められます。
 飴色まで進まずに、白い色が残っていても、調理後、数時間、寝かせるうちに、よい 色になってきます。
 皮つきなので、身くずれがしにくい。ホットプレートにしみ出したエキスは、焦げる 先から実に吸い込まれて、鉄板自体には意外にお焦げは残りません。

 一方、オーブンで使える柄なしのフライパンで、オーブンで160度ほどで15分加熱 します。




これは、皮をむかずに三日月切りにして、オーブンで途中まで焼いたところ。
果汁と砂糖の煮汁を身の全体に均一に混ぜ込むため、
いったん外に出しました。いい色でしょう。





焼きりんごとして、仕上げたもの。赤味と焦げ目が、いい色でしょう。
皮の部分が、とくに濃いうまみと、酸味があります。

このまま食べるのが最高ですが、これをパイ皮に入れて焼けば、アップル・パイに



 7)アップル・パイを焼く

 パイにする場合は、焼きりんごのプリザーブをパイ生地の上にきれいに敷き詰めます。熱風が実の間を抜ける ように、タテにきれいに並べると、仕上がりの見た目も美しい。実はさらに締まるし、もともと 余分な水分がないので、パイ生地は底の部分もしっかり膨らみます。
 事前のリンゴの下準備をして、焼きりんごに仕上げてきたため、余計な水分が出ずに、パイもきれいに仕上がり ます。
 オーブンの過熱は、焼きたてのプリザーブを入れるときは、早めに温度を上げられます。で も冷蔵庫で保存しておいた焼きりんごを使うときは、150度ほどでゆっくり加熱し、 りんごが熱くなって蒸気を噴き出したころあいを見て、温度を180度くらいに上げて、 パイを焼きあげます。加減は状況次第です。
 リンゴに上からかぶせるパイ生地を、写真のように格子状、網目状にすると、熱風はさらに よく通ります。




アップル・パイの焼き上がり。りんごにも焦げ目がついています




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山の便り、大地の恵み (野原森夫)  
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